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初矢一筋に習いあり

日置流浦上系射法の極私的な覚書

反動力と直動力

2019年04月29日 | 語録
反動力とは、弓の復元力。
直動力とは、人力で弓を押す力。

矢を飛ばすのは反動力+直動力。
反動力は弓によってー定。ただし、直動力の影響を受ける。
直動力は人力であるがゆえ変化する。その変化次第で矢の行方は影響を受ける。

直動力を安定させるためには応分の力を用いる。弓の抵抗力の分、押せばよい。

会の時、100の復元力を弓が持っていれば、矢を半分送り出している時50、矢が離れたとき0となる。体の直動力も同じく100→50→0と漸減し、力の抜けた残身となる。力の抜けたとはいえ、弓が弦張りの分緊張を残すように、残身にも締まりはある。

つまり、角見、詰合等の直動力が応分に働けば、それらは弓の一部となり、反動力として働く。

弓が矢を的ヘ真っ直ぐに押せるように応分の正しい直動力を付与するのが理想的か。

しかしなにしろ、自分も含め世の中は自分勝手な直動力が多い。与分に過ぎればリキみのある残身となるし、逆に自ら積極的に力を抜いて離した腑抜けの残身もある。また、弓を積極的に操作して直動力を主体に中てる向きもあるだろう。いずれにせよ、そこに冴えはない。弓の正しい復元を邪魔しているから。

詰合の力行からリキみを抜き、応分の直動力のみ残して延合い、離れに至る。正しく組み立てられた直動力でなければまた、難しい。

参考:月刊武道「死ぬまで弓道」小牧教士著

2018/9/9


応分の力で「押す」と言っている時点で応分にはならない。

材料力学に応力という考え方がある。柱を押したとき、柱は動かない。動かないのは、押す力に対抗する応力が柱の中に生まれるから。応力は、荷重に対して180度逆方向に同じ大きさで生じる。応力が材料の強度を超えたとき、曲がったり折れたりする。

人体も同じで、弓に押されるとき、体内に応力が生まれている。たいていの人は自分で押したり引いたりしているから気が付かない。

弓に押されても変形しない詰合ができていれば、押し返したり引っ張ったりしなくても弓の力を支えることができる。その時、体内に生まれている応力を感じ取れるかどうか。

ただし、応力は弓の荷重が無くなればその瞬間にゼロになる。離れても力なく射開きもしないだろう。いわゆる只矢束である。

そこで延合が必要になる。延合ではその応力方向に開くことを想像準備しておく必要がある。そうすると、弓の荷重が無くなっても応力の働きを残すことができる。

例えばジャンプするとき、脚の力を貯めたまま屈んでいないと、高く跳べない。ただ受け止めるだけでは、座り込んでいるのと同じである。

高く跳ぶ、つまり勢いのある離れを出すには、体幹の張り、胸の中筋の張りが必要で、その張りがスプリングになって弓力を受けておくことで、応分の力によるバネ射になるものと思う。

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