1年生向けにカケの資料を作成。
1.下カケについて
① カケからはみ出ないようにすること。
手のひら側に出るのは仕方ないが、手の甲側や手首側からは見えないようにする。下着が見えているのと同じこと。
② 複数枚持つこと。
何枚か持っておいて、汗をかいたら早めに交換する。カケ本体の鹿革に汗がしみると革が硬くなったり変色したりする。5枚くらいは持っておきたい。
2.カケ紐について
① きつく締めないこと。
巻き始めは緩めにして、最後に締めるようにする。巻いて結んだあとは、手首に最低指1本入ること。カケが新しいうちは2本入るくらい緩く巻いた方がよい。
帽子が動くように巻いておかないと、離れで帽子が抜けないため軽く離れない。
② くるぶしの手の先側に巻くこと。
手首と手のひらの境目に巻くことで、カケ全体が抜け出ることを防止する。
③ 紐の最後は手首の内側で小さく結ぶこと。
長く垂らすと緩む原因になる。カケ紐を留めるピンもあるが、高校の競技規則では禁止されている。
3.ギリ粉について
① 白い膜を作る。
新品のカケは、ギリ粉を革が吸っていくので少しずつ補給しながら、カケ帽子の頭に乾いた白い膜ができるまで中指の第一関節の下あたりで何回かに分けて擦り付ける。ギリ粉の膜ができることで革同士が擦れず、穴が開きにくい。また、離れのキレが良くなる。
一度に大量につけると、こぼれて他に付いた部分が黒くなるので、ゴマ粒程度に少しずつ地道に中指と帽子のところだけに付けて、何回も擦って白い膜を作る。
② 立ち毎に補給する。
立ちに入る前にゴマ粒程度ずつ補給して乾いた白い状態を保つ。ベタついてくるとキレが悪くなる。
4.カケ帽子の中の親指について
① 腰を折らないこと。
取掛けのとき、カケ帽子の中の親指で帽子を強く押さえつけないようにする。あまり強く抑えつけると、帽子の根本が折れて、帽子の反発力が無くなって軽く離れなくなる。
手首に近いところから親指を倒すようにして帽子を寄せるようにするとよい。新しいうちはカケ紐を緩めにして、帽子の腰が折れるのを防止する。
② 引いている間は帽子を自由にする。
取掛けた後は、カケ帽子の中の親指で帽子を押さえないようにする。引くにしたがって、カケ帽子から親指は抜け出てくる。会では帽子から半分くらい親指が抜けて、帽子が自由に動くから軽く離れる。押さえてしまうようなら、親指の背中を帽子の内側に付けて引く。
5.カケ帽子の押さえ方について
① 中指だけでも、中指と人差指の2本で押さえてもよいが、いずれにしても中指と人差指は先が割れないように揃えてカケ帽子を押さえること。
② 帽子の先端が少し見える程度の場所に、中指の第一関節の内側あたりを乗せる。浅いと暴発しやすいし、深いと滑り出る弦に障る。
6.矢の押さえ方について
① カケ帽子から矢の太さの半分~1本分くらい離して矢を押さえる。カケ帽子に付けると離れのときに矢に障る。カケ帽子から離し過ぎると離れのときの弦の動きが矢に障る。
② 矢を押さえる方向はカケ帽子と矢が平行になるのが基準だが、帽子の向きや弦枕の向きで若干変わる。矢口が開く場合は、矢に対して帽子が少し上向きになる方向に調整して押さえれば、引込むに従って矢は下向きになって矢口が空きにくい。筈こぼれする場合は逆に帽子を少し下向きにする。
7.カケの保管について
① カケの使用後は風通しの良いところで陰干しして、軽く乾かしてから布の袋か木箱に収納する。
② 乾燥剤と一緒に収納してもよいが、ナイロン袋などで密閉しないこと。乾き過ぎると革を接着しているノリが割れてはがれる。乾燥剤は少し使い古したくらいのシリカゲルがよい。
③ 濡らしてしまってもドライヤーなどで乾かさない。熱で縮む。
④ 胸当てで巻いたり、下カケを入れたまま収納したりしない。カビる。
8.その他
① パッと手を開いて弦を離さない。
指から自然と力が抜けて弦が滑り出てくるようになるために、手から離すことを考えず、伸合の流れからそのまま体を開くように心がける。
② カケを付けることは「差す」という。
立ったままカケを差したり外したりしない。正座するのが正式。急いでいてもせめて腰を下ろしたい。服を着たり脱いだりするのと同じで、上座に向いて差したり外したりするのも無礼な時代もあった。
③ カケを差して素引きをしない。
カケの中の親指を押さえる癖が付くし、危険。矢の無い状態で手首の力が抜けていれば、カケから弦は普通に外れるはずで、外れない方がおかしいというくらい危険。素引きは素手にハンカチ等握って行うこと。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます