思い出し帖

忘れっぽいんで、個人的な思い出しメモ。

手塚治虫文化賞10周年記念イベント「マンガ未来世紀」その2

2006年09月13日 22時55分59秒 | 漫画

前の記事で、手塚治虫文化賞10周年記念イベント「マンガ未来世紀」に行って来たことを書いたら、思わぬ方のブログにリンクが張られててびっくり仰天。なんと夏目房之介さんのブログにリンクが張られてた。

うぁぁぁぁぁ本人に読まれたー。こんなつたない文章が。しかも一部引用されてる(/_;)まだ、2つしか記事書いてないのに、アクセス数が伸びてて、おかしいと思ったんだ。なんか、イベント当日のことを書き留めたくておきたくて、開設したブログだから、うれしいといえばうれしいんですが。不特定多数の人に読まれるというのは、思った以上に恥ずかしいことかもしれない。

ただ単なるマンガ好きの私みたいな一般人は、普段はマンガ雑誌や単行本などの上で接する漫画家しか知らない。マンガを通しての漫画家しか感じることは出来ない。西原理恵子さんのように、私生活を題材にしている方もいて、まるで近所に住んでいるような「身近な存在」として錯覚を起こすようなこともあるが、それでも漫画家という「創造者」は私にとっては「雲の上の人」の存在。

私は、こういうイベントに参加するのは初めてで、生身の漫画家というのをはじめて見た。本当に実在する人なんだ、あの右手で原稿書いてるんだ、とか小学生が憧れのプロ野球選手を見るような感じで見ていた。イベントに参加する前は、本人から直接お話を聞けることがうれしかったが、会場にいる時は絵をその場で即興で描いていることに感動していた。あの場で、浦沢さん、萩尾さん、西原さん、しりあがりさんが書かれていた創造された絵を見ることができて、感激も一入だった。紙に生命が吹き込まれる瞬間というか、そういった生々しい感じを見ることができたからだと思う。

実際の本人を目の前にして、絵を見ることができるのは、もうないかもしれない。それでも「雲の上の人」が地上に降りてきて、あの場だけでも「身近な存在」としてその作品を見ることが出来たというのは本当に感動した。それを大多数の人と共有できたことは、とっても良い思い出として残る。

数日たって今更思い出した話も、書き留めておこう思う。

荒俣宏さんの「何度読んでも『NANA』がわからない」という話。売れてるかし、大多数の女の子に支持されているから、そこには何かあるだろうと思って何回も読んでいるが、良くわからないとの話で。「この登場人物たちは老人になったらどうするんだろう」という発言(笑)私も周りの友達に進められるがままに読んだけど、あの作品はイマイチ乗れないので、面白い話だった。私が乗れない理由はよくわからないけど、読んでいて登場人物に腹が立つからでしょうか。先の話が全然気にならないからでしょうか。

西原理恵子さんの「サブカルの壷」発言も面白かった。確か『ユリイカ』の西原理恵子特集のとき対談相手のみうらじゅんさんに同じようなことを言ってた気がする。西原理恵子しりあがり寿みうらじゅんリリー・フランキーという「サブカルの壷」で一括りにされて、そこで仕事を仲良く分け合っていたのに、リリーさんが『東京タワー』でサブカルの壷を1人抜け出したことに文句(?)を言っていた。リリーさんと対談したときには愚痴ったら、話を「うんうん」ときいてくれて慰められたとのこと。その時のリリーさんの姿が思い浮かぶ。でも西原さんも、マンガ以外にNHKの番組に出たり、朝ドラ「ファイト」の挿絵を書いたり、活動範囲が広げていると思う。(テレビに出ていると、私はなぜか発言にハラハラしちゃう。)みうらじゅんさんも流行語大賞とったりテレビでたり、しりあがり寿さんもマンガが映画化されたり。物凄くおもしろい「サブカルの壷」だからそんなにリリーさんをひがまないでも。西原さん本人は、自分のマンガはマンガの本流として外れているという認識からの発言なのかな。

最後に萩尾望都さんの話。「なぜ人は物語を求めるのか。」萩尾さんからこの発言を聞けて感動した。それは読み手として求める立場から言えば、「貴方の作る物語が面白いからですよ」とつっこみたくもなったけど。

確かに、伝承されず消えてなくなった作品もあっただろうが、日本では「竹取物語」以降、あらゆる物語が作られ、残されてきた。それは、物語を創作して送信する立場と、物語を欲し求める受信する立場両方に言えることだと思う。なぜ頭の中の想像を他人に見せたいのだろう。なぜ他人の頭の中の想像を見たいのだろうか。それは見たいと欲する立場がいるから、という答えではないし、物語が絶えず生み出されているからという答えでもない気がする。送信する立場と受信する立場、どちらの欲が強いか弱いかの話でもないと思う。思わず「鶏と卵」の話になってしまった。

でも本当になんででしょうかね。

日曜日は色々な話が聞けたし、本当に行ってよかったと思う。

あぁ、楽しかった。

 


生萩尾、生浦沢、生夏目、生西原、生しりあがり、生いしかわ、生荒俣

2006年09月10日 22時47分59秒 | 漫画

手塚治虫文化賞10周年記念イベント「マンガ未来世紀」に行ってきた。

第1部『極私的マンガ事情2006』荒俣宏×いしかわじゅん

両氏は手塚治虫文化賞当初から選考委員を務めている。それでも10年やってて未だに賞の選考基準が分からないらしい。しかも、いまは談合で作品が決められてるんだって(笑)賞は審査員は趣味がものすごく反映しているけど、手塚治虫文化賞の選考はものすごく審査員の趣味が反映されている。私の嫌いな趣味ではない。

10年間の受賞作についてそれぞれ語っていた。

荒俣さんは、夢枕獏原作・岡野玲子著『陰陽師』(2001年第5回マンガ大賞)が受賞したときはものすごくうれしかったそうだ。岡野玲子の取材力はすごいらしく、漫画の中に出てくる題字を、さる寺の偉いお坊様に書いてもらっているほどらしい。取材していく上で、関係を作ってるみたい。随所にこだわりがある。13巻ではエジプトと平安京を五角形の図で関連付けて終わるらしい。(『陰陽師』を読んでない私には意味不明。最終巻の岡野玲子の解説に書いてあるのかな?)そのことを例に出して、生きる百科事典の荒俣さんが、「『陰陽師』は研究書として成り立つ」(←ちょっとうろ覚え)と言わしめるとは、すごい。原作の夢枕獏さんは「本当にこれは俺が書いた本か。」(←これもうろ覚え)と、荒俣先生に言ったらしい。(場内爆笑)(この本は、5巻ぐらいまでしか読んでなかったので、完結したことだし、私の中で読まなければいけない漫画の箱に入れる。)

あと、ほったゆみ原作・小畑健著『ヒカルの碁』(2003年第7回新生賞)の話では、選考委員のフレデリック・ショットさん(2000年第4回特別賞)が、「うちの息子が大好きだ」と言って、ものすごくプッシュしたという話。たしかに、息子さんがファンだといわれて、押し切られては他の人は何も言えないよ。だって、読者が面白いって言ってるんだから。井上雄彦『リアル』も両氏ともにほめていたけど、『バガボンド』(2002第6回マンガ大賞)を超えないと中々賞を挙げにくいと話していた。作家はどこで、賞を貰うかが大事だということですね。『リアル』も丁寧に、障害者心理、バスケ、人間関係を描いていて、すばらしい本だと思うので、何らかの賞はとってほしい。

あと、賞にはいたらなかったけど、それぞれ押す作品を挙げていた。いしかわじゅんさんは、五十嵐大介『リトルフォレスト』『魔女』福島聡『少年少女』黒田硫黄『大日本天狗党絵詞』。荒俣宏さんは諸星大二郎『西遊妖猿伝』(2000年第4回マンガ大賞)、岡野玲子さん、唐沢なをき『怪奇版画男』、岩明均『ヒストリエ』の話をしていた。(←ちょっとこの辺もうろ覚え。これも読んでいない本は、私の中で読まなければいけない漫画の箱に入れる。)なかでも五十嵐大介にちょっと興味がある。面白そうだ。

第2部『画力対決七番勝負 ~二人とも、ほんとに美大出身なんですか?』 しりあがり寿×西原理恵子

西原理恵子著『人生一年生2』の中で書かれていることを、観客の前でやってましたね。「お笑い担当」とはご本人たちの弁。一緒に小学館の八巻編集が司会進行をされてました。関係者席には『できるかな』のバース党・新保信長さんや小学館の水野さんの姿を見かけました。新保さんは西原さんのマンガと違ってものすごく男前な人でした。でも、髪型とひげですぐ分かりましたけど。この2人、休憩時間にホールを出たとこで、「~2ページがあって…」という話声を聞いたので簡単な打ち合わせでもしてたんでしょうか。

手塚治虫文化賞ということもあり、手塚キャラクターを描いてました。2人の絵に会場は爆笑。一番盛り上がってた。お二人の絵はキャラクターの雰囲気は良く似てました。でも、時々出る、浦沢直樹さん作の「鉄腕アトム」「あしたのジョー」は本当にうまかったため、それと比べて、うまいとは言えません。でもホント、雰囲気は似てます。私は、特に「口の付いた戦艦ヤマト」が好きでした。しりあがりさんは手塚さんに「この人はこんな絵だけど、本当は絵がうまいんです」みたいなことを言われたことがあるらしく、それでだいぶ助かってるそう(笑)西原さんも言われたいとうらやましがってました。いしかわじゅんさんには褒められたらしいですが「小さい小さい」と。西原さんらしい言い方。絵の方は今年の10月に今回のイベントの関連本が出るということなので、そこでもう一回確認しようと思う。

西原理恵子さんのしゃべりは最高。やっぱり大好きだ。『毎日かあさん』の格好して出てきたので、うれしかった。しりあがりさんも手塚治虫の格好で、ベレー帽と黒ぶちメガネ(これは元々っぽいね)で登場。しらふでこの企画をやるのは恥ずかしかったらしく、次の企画のときでは、酒を飲みながらと話していた。また、『人生一年生』の企画でやってくれないかな。

第3部、『手塚治虫から続く道 21世紀のマンガ家たち』萩尾望都×浦沢直樹×夏目房之介

それで、生萩尾、生浦沢を拝んできました。いやー本物だよ、とひとりで興奮。 夏目さんもお2人の前では霞んでしまうぐらい豪華な顔合わせ。浦沢さんの009と大友克洋らしい絵をさらさらと書いてましたけど、ものすごく書くの早い。夏目さんも言ってたけど、どういう風に描こうかと、きちんと絵が頭に描かれているから、サラサラっとっ書かれているんだと思う。

色気の話で、手塚治虫の場合は、なんともいえない表情から曲線に色気があるという話をしていた。浦沢さん曰く、大友克洋の色気は背中の肩甲骨とか筋肉のあたりらしい。そこで、大友風の絵を描いていたんだけど、なんとなく分かるかな。でも、作家さんの感性はものすごく敏感で、独特なものを持っているなと思う。今度大友克洋を読むときはそこに注目して読もっと。

私が特に面白いなーと思ったのは、萩尾さんの妄想話。手塚治虫の「新選組」「火の鳥」で、なんでもないひとコマ、ひとセリフから妄想で話を膨らまして作り上げてしまうそうだ。それで、一晩中考えてしまうと。浦沢さんも、中学生の時、なかなか続編が出ない「火の鳥」を夢にまで見て、自分で創作していたと。本人は面白かったらしいが、今では何も覚えていないとのこと。覚えていたら、「プルートゥ」(ゥが大事)みたいにリメイクしてたら面白いのにね。でも、2番煎じだから、浦沢さんはやらない気もしますが。それこそ、読み手は、浦沢が描く、「火の鳥」を妄想すればいいのかも。

最後の質問コーナーで、3人のオススメマンガを紹介していたので、メモ書き。

夏目房之介さんはよしながふみ、浦沢直樹さんは本秀康・水木しげる(特に最近は水木しげるがお気に入りで、見かけると買ってしまうと言っていた。)、萩尾望都さんは岩明均『ヒストリエ』を挙げていた。

帰り、有楽町の本屋で、『へうげもん』1~3巻と『ヒストリエ』1~3巻を買う。

まだ読んでないけど、読むのが楽しみだ。

 


gooブログはじめてみた。

2006年09月10日 21時23分17秒 | weblog

ブログに興味あったので、始めてみた。文章書く練習。なんつったって最初はgooだ。

gooブログちょっと使い方分からないけど、個人的な日記だし、誰も見ないからいいかなと。もうちょっと慣れたら色々いじりたいなと。

出来るだけ更新したい。

誰しも最初はそう思ってブログをはじめるのだけれど、結局終わっていくのよね。三日坊主にならないようにしないと。