クレムナの予言( 副題 その根底に流れる信仰とは? )
19世紀のセルビアの小さな農村クレムナ村に生きた農夫ミロシュ・タラビッチとその甥, ミタールタラビッチ。
二人のタラビッチは, 当時の人たちには理解不能な予言をいくつも残しました。
二人の代父(正教会の後見人)であるザハリヘ・ザハリッチ司祭は, その「予言」の内容を伝承し, 広く知られるようになりました。
1915年の第一次世界大戦中, セルビア軍の部隊副官としてクレムナに駐留したラドヴァン・カジミロビッチは, ザハリッチ司祭に直接会って予言の内容を記録し, 後に「クレムナの予言」として本にまとめ出版しました。
激動するセルビア国内の政権抗争やセルビアを巻き込んだ数々の戦争, 紛争などの予言は, 詳細な部分まで次々に現実のものとなり, 予言者タラビッチの名前は国外にまで知れ渡りました。
「クレムナの予言」は, 今では世界中で翻訳され, 論争も引き起こしているが, 日本ではごく一部だけが切り取られ, 間違った内容や解釈が混じった紹介が多いと思います。
特に金融を支配したアメリカ主導の経済世界が崩壊し, 資源と人口という実質的な国力を背景にしたBRICS中心の世界に移行していくことや現在目の前に差し迫っている「世界最終戦争」の危機など, 現代人が直面している問題により焦点をあてられています。
しかし, ふたりのタラビッチが透視した未来(予言)そのものよりも彼らが限られた知識と語彙力で表現したものから感じ取れる世界観,宇宙観のようなものにより自然と共鳴させられます。
例えば, 次のようなものです。
「人は本当の自分を知らない, 本当の力を知らない, 真実はきわめて単純なことなのに……」
彼らは, 予言のなかで, こう告げます。
クレムナの予言の根底には, こうした思想というか「信仰」があります。