神戸映像クラブのブログ

神戸映像クラブの催し・お知らせ等

神戸映像クラブ10月例会案内

2018年09月26日 20時25分46秒 | 神戸映像倶楽部

1.10月度月例上映会開催連絡

(1)日時:2018年10月12日(第2金曜日)午後1時30分より。
(2)場所:東川崎町老人憩いの家 (神戸市中央区 東川崎 6-4-13)
     神戸市立盲学校から徒歩3分 
(3)特記:
  ①11月の県民会館県民ホール発表上映会の準備
   (上映プログラム最終確認、案内状ワッペン貼り、役割分担決定、当日のタイムスケジュール確認等)
  ②当日上映作品の最終チェック映写(各自出品作品DVD・預かりDVDを持参の事)
  ③2018年度の前期・後期の会費未納分徴収。
  ④その他 時間が余れば各人最新作の上映。

***********************************

2.9月度月例上映会開催報告

(1) 日時    2018年9月15日(土) 午後1時半から4時半
(2) 出席者   豊田会長、石川、北沢、今井、上中、松谷、横山 計7名
(3) 欠席者       広瀬、和田 計2名
(4) 遠隔地会員 山下、坂井 計2名 ※坂井さんの作品は横山がDVDで持込み上映。

3.講評 (上映順)

(1)山下作品 【女だけの相撲大会】12分45秒 ・・ 11月上映会作品(内容確認)

 

山下さん撮影、豊田会長編集の力作が登場しました。
北海道在住の山下さん、地元の福島町で行われた「女だけの相撲大会」に行ってきました。
本人も楽しんで撮影したという映像は、ラッシュで5時間の大容量です。
ビデオ制作を始めてから1年も経っていない山下さんには、5時間のラッシュを10分前後にまとめるのは至難の業でしょう。
そこで豊田会長に編集を頼んできました。そうして出来上がったのが本作です。
厳密には山下作品ではありませんが、せっかくのダイヤモンドを捨ててしまう手はありません。
こういうのもまた味があっていいものです。

豊田会長は先月よりちょっとだけ修正を加えてきましたが、その箇所がまたいい感じです。
トーナメント表が、主たる映像の透かし絵の様に背景として現れるなかなか憎い演出です。
そのトーナメント表の見せ方に、先月石川さんから注文を貰っていたので、内容を反映させてきました。
とてもいい感じです。ほぼこれで発表上映会用として完成です。

(2)坂井作品 【柴犬ゆき 散歩事情】8分 ・・ 11月上映会用に練上げ提出

 

坂井さんは、高野先生の講評を真正面に受け止め素直に丁寧に追加編集してきました。
坂井さんのご実家・小田家の愛犬柴犬ゆきは、まだ生後1年数か月の若犬です。
身体の中でうねる筋肉を躍動させたくてたまりません。
ご主人様とその家族に連れて行ってもらう散歩が大好きなのです。
しかし、ご実家では坂井さんのお母さんは80代のご高齢だし、すぐ上のお兄さんは膝を悪くして活動量の豊富な若犬を満足させる激しい運動ができません。
少しでも長く激しく運動させてもらいたい「ゆき」と、少しでも楽に早く終わらせたい「ご実家の家族」との、散歩の攻防戦が毎日行われているのです。
それがこの作品のテーマです。愛くるしい柴犬の姿態には、視聴者の目を引き付けて離さない魅力が溢れています。

編集すればするほど映画の様になってきます。作品の進化にワクワクしてきます。
来月の締め切りまでに、もうひと手間かける様子です。
我々神戸映像クラブのメンバーは、最初の1作目から見ているのでその変化には案外鈍感です。
県民会館の会場で初めてこの作品をみるお客様の反応が楽しみです。

(3)松谷作品 【半夏生 七夕夜市】6分 ・・ 11月上映会用に練上げ提出

 

松谷さんも、高野先生の講評を受け(豊田会長の指導も受けた?)丁寧に再編集してきました。
松谷さんがこよなく愛する、我が郷土明石! なかでも魚ん棚はご自身の父親方の鮮魚店が店を出しており活躍中です。
思い入れはとても深い。そんな明石の魚ん棚の夜祭が、毎年半夏生の頃に行われます。
その楽し気な祭りに取材して作成した作品です。

さて、先月に提出してきた内容に比べると、BGMも楽しそうなテンポのいい曲に変わっています。
BGMは個人の趣味だという見方もありますが、楽しい映像には、やはり楽しそうな曲が似合います。
イントロも大きく変わり簡潔になってきました。
高野先生が講評でおっしゃっておられた、子供の楽しそうな顔のアップは、撮り直しが聞きませんが残っている映像の中から吟味して差し替えます。
「松谷さんの作品はスッキリしてきたね」と、遠隔地会員の評判もなかなかいいようです。


(4)北沢作品 【さよなら】7分 ・・ 11月上映会用として作品差替え提出

  

北沢さんは、先月の高野先生の講評を受け、先生の要望に応えられるカットがないとの事で作品の差替えをしてきました。
それが今回の「さよなら」です。タイトルだけでは全く内容を推し量る事の出来ない作品です。

「タイトルは大事だ。何も知らない人はタイトルだけで勝手に内容を想像して観に来る」と、高野先生は先月の和田作品の講評で言っておられましたが、この作品に関していえば「はずれ」た様な気がします。
タイトルと内容が全然結びつかず、じんわりとした抒情性もあり、なかなかいいのです。
ご家族とご自身の思い出がしみ込んだピアノとエレクトーン。
今は長野県の北沢さんのご実家に保管されていますが、当時は芦屋の北沢家のマンションに置かれ、娘さんとご自身が四季折々に暖かなメロディを奏でてきた歴史があります。
北沢さんご自身もエレクトーンではかなりの腕前となり、あと一歩で指導者の資格を得られる所まで上達しました。
「よし、もう少し頑張ってみるか!」と思っていた矢先に、阪神淡路大震災で被災します。
住んでいたマンションは建て替えとなり、ピアノとエレクトーンは長野県の実家に保管される事になりました。
それから幾星霜。いまでは弾く者もなくひっそりと実家で埃をかぶるだけとなってしまいました。
北沢さんご自身もご高齢である事から、無住となっている長野県の実家をどうするのか、決断する日も近づいています。
ピアノとエレクトーンはどうなるのか? 
そして、とうとうその日がやってきました。鍵盤には娘たちとご自身の思い出が染みついています。
実家から丁寧に搬出されるピアノとエレクトーン。それは、物であって物ではなく自分の人生の一部なのです。
映像を観ている者の心の襞に、シンシンと滲みこんでくる哀切の想い。
とてもいい作品だと思います。


(5)今井作品 【少し離れてみる氷河】5分30秒 ・・ 通常視聴用
 

これは、先月上映した「落日のタルチョ」の兄弟バージョンとでもいうべき作品です。
今も未踏峰の高峰・梅里雪山が見える中国雲南省の徳欣(トッキン)という村で「落日のタルチョ」は撮影されました。
この作品は、そこへ行く途中に立ち寄ったミンギョン氷河を見物した時のものです。
険しい山道を長い事、馬の背に揺られながら氷河の見える所まで行きます。
ご本人は、馬の背からビデオ撮影をするのですが、手振れがどうのこうのと作品中では言っていますが、視聴者は、それよりも狭い山道でそんな事をしていたら崖から転げ落ちてしまうのではないかと、ハラハラしてしまいます。

編集をしくじったとの事で、16:9で撮影しているものを4:3で編集しています。
そのせいか馬の映像や、梅里雪山など縦長になっており不思議な印象の映像です。
もしかしたら、今井さんはわざと16:9で撮影した映像を4:3で編集したのではないかしら。
どうなるかを試したのではないの?という気になってくるから不思議です。

(6)上中作品 【書写山 圓教寺を描く】8分45秒 ・・ 通常視聴用

 

上中さんのこの作品は、上中さんが所属する版画の会の撮影旅行で、姫路の書写山に行った時のものです。
新緑の書写山圓教寺の境内を版画の仲間と歩き回り、版画の画題になりそうな場所をスケッチして帰って来たという内容です。
ご本人は「BGMもまだ貼り付けていないラッシュです」と言っておられますが、鰻の白焼きの様なこの品を見ていると素朴な味があって、かえっていい感じに思えます。
もしかするとつまらない映像にBGMを貼り付けて誤魔化しているのは、こっちの方ではないのかな?
という気になってしまいました。


(7)豊田作品 【信仰の山 恐山】7分 ・・11月上映会用として作品差替え協議 

 

豊田さんは、高野先生に講評をいただいた先月発表の「神戸の歴史」の制作続行を断念しました。
替わりに、昔、故坂口さんの撮影素材で編集を依頼された青森県の恐山を描いた作品を持ち込んできました。
豊田さんの枠を使って故坂口作品として上映したいとのご意向です。
しかし、この作品は2年前に坂口さんご自身が、高野先生ご臨席の月例会で上映し先生が酷評された作品です。
皆、その時の事をまだよく覚えており、結局、手直しを入れずに上映するのは無理だとの意見が多数でした。
ナレーションが一切なく霊気漂う映像とテロップだけで、恐山とそこにお参りに来る人たちの雰囲気を伝えよう、との意図は理解できるものの、テロップが映っている時間が短いうえにテロップそのものがはっきり見えない箇所もあるのです。
撮影素材そのものが豊田さんの手元になく、訂正編集する事もできません。
やはり豊田さんこのままでは無理でしょう。

さて、豊田さんは、果たしてどんな作品を来月が締め切りの月例会に持ってくるのでしょうか。


4.編集後記

(1) 今月の作品
上記神戸映像クラブのメンバーの作品以外に、11月の県民会館の発表会で上映される、他友好クラブの作品3作が上映された。
 ①神戸ビデオクラブ【トンビの子育て】7分
 ②明舞ビデオ友の会【春の舞姫 ギフチョウ】6分
 ③兵庫ビデオサークル【まほろば サマーホースショー】9分

※尚、作品の上映以外に下記のテーマで問題提起があり、今後の取り扱いと位置付けについて議論を行った。
【テーマ】
 ①神戸映像クラブのメンバーの作品をSNSにアップする事に関して。
  ・ONEDRIVEでの招待メール、ブログ、facebook等の使い分けとそれらの効用と弊害。
  ・著作権保護されている楽曲のBGMを取り込んでいる可能性のある作品の位置づけと今後の取り扱い。
 ②神戸映像クラブメンバーの過去の名作の今後の取り扱いについて(故人の作品の上映について)

今まで、このような話は上映会後に近くのコーヒーショップで雑談として話される事が多かった。
しかし、このテーマは神戸映像クラブの今後の方向性を展望する重要な要素を含んでおり、いづれはハッキリしておく必要があった。
長い時間を費やした割には、すっきりした結論には至らなかったが、月例会の中で真剣に論議されたのは大変有意義であったと思う。
更に、メンバー個々の、
作品に対する考え方の相違を知る事ができたのは無駄ではなかったと思える。


(2)その他
神戸映像クラブの個別メンバーの作品の内容は、別途、facebookでアップしております。
詳細をご覧になりたい方は、そちらをご確認下さい。
(一部メンバーの作品では本人の希望によりアップロードしていないものもありますので承知おきください)。

 ※facebookアドレス→ https://www.facebook.com/kobe.eizouclub/

 以上



神戸映像クラブ9月例会案内

2018年09月10日 21時57分12秒 | 神戸映像倶楽部

.9月度月例上映会開催連絡

(1)日時:2018年9月15日(第3土曜日)1時30分より。
    
(2)場所:東川崎町老人憩いの家 (神戸市中央区 東川崎 6-4-13)
     神戸市立盲学校から徒歩3分 

(3)特記:11月の県民会館上映会出品予定作品の練上げ中心で行う予定。
     2018年度の前期・後期の会費未納の方は当日徴収します。

***********************************

2.8月度月例上映会開催報告

(1) 日時    2018年8月28日(火)※特別ゲスト 高野先生
(2) 出席者   豊田会長、石川、北沢、今井、上中、松谷、横山 計8名
(3) 欠席者       広瀬、和田 計2名
(4) 遠隔地会員 山下、坂井 計2名 ※遠隔地会員の作品2本は横山がDVDで持込み上映。

3.講評 (上映順)

(1)山下作品 【木古内 ダチョウ牧場】5分30秒
 

山下さん、前月上映分の練上げ作品を提出してきました。長さは1分強縮め、イントロシーン等大幅にカットを追加・差替えし編集ソフト(POWER-DIRECTOR14)の今までわからなかった機能も使い方を修得し編集もグレードアップしてきました。
さて、高野先生の講評はどうだったでしょうか。

【高野先生講評】
①ナレーションの声はよく通っており聞きやすい。
②作品としての構成ができていない。
編集をやり始めてからまだ半年なのによく頑張っているが、撮影した映像の見せ方に工夫がいる。
まずどういうストーリーにするのかという、作品としての構成を決めて、その流れで映像をはめ込んだらいい。
撮影順に編集する必要はない。
③画面の「乗り換え」を覚えなさい。
cf.例えばインタビューの場面では、画面がそのままだと単調で飽きるので、音声はそのまま使い、カットはダチョウが餌を食べるシーンや子供が餌をやるシーン等別なものを流したりする。
インタビュー内容を聞かせるにしても、視聴者が飽きない工夫をする。
④画面にバリエーションをつける。
ダチョウを映しているシーンでは、足元を撮ったり走ったりのカットで変化をつける。卵のシーンでは、卵を撮る角度を変え丁寧に映す。この作品ではカメラの位置が常に決まっている。これでは飽きる。あちこち変えて変化を出す。
⑤ダチョウを見せるシーンでは、もっと長い間撮影してダチョウの姿態を見せる。それも長めに撮る。動物が予想もしていなかった行動をとったりして面白い絵が出来る事がある。
⑥これはダチョウ牧場なんだから、他の動物(イノシシや黒毛和牛等)はこんなのもいるんですよ程度で、後の方でチラチラ見せるだけでいいんです。

※山下さん、高野先生の講評を暗記するくらい覚えてください。
撮影する目線の高低、三脚の位置取り、そして編集(作品の構成力)の地力をつける。これが先生の仰っている大筋です。人様に見てもらっているという目線での製作・編集を心がけましょう。


 (2)坂井作品 【柴犬ゆき 散歩事情】7分

 

坂井さんもまた、前月の持ち込み分に大幅に手を加え、練り上げ作品にして提出してきました。
先輩たちも、その出来栄えに、胸の内で思わず唸ったのではないでしょうか。
カットを大幅に追加・差替えし「作品」としての製作意図を明確にしてきました。どちらかというとスケッチ的な作風だった坂井さんですが、今回は本気で作ってきています。さて、高野先生の講評はどうだったでしょうか。

【高野先生講評】
①なかなかコメントがしっかりしていてとても感動的な内容です。物凄く印象に残る。
ただコメントが先行していて、コメントに対応する映像が不足している。動く映像が欲しい。これが一致すれば素晴らしい作品になる。
②作意(何を訴えたいのか)がはっきりしている作品なので、犬の生態をもっと撮っておく。
犬が生き生きしている所、イライラしている所、しょんぼりしている所、そういうカットを傍にいる人がたくさん撮っておきストックしておく。それを後で編集の時に考え考えして当てはめていく。そういう努力をしてほしい。

③季節が梅雨時に代わるインサートの入れ方もなかなか良い。ただあのカットは1カットだけではなくてサイズを変えて2カットにした方が良い。時間の経過を表わす訳だからより印象がはっきりしてわかりやすい。こういう所は上手く編集している。
④ラストシーンは犬とお婆さんが一緒に遠ざかって行くようにして、長めに撮っておく。
これで印象がグッとまた良くなってゆく。

※高野先生とも思えない手放しの好評価で、持ち込んだ横山もビックリ。
坂井さん、ご主人のお古の性能の悪いパソコン(Core4i )で悪戦苦闘して作っているので大変でしょうが、良い環境になれば良い作品ができるかというと必ずしもそうではありません。幕末の緒方洪庵の適塾の様な、現代から見れば劣悪な環境からでも、日本を支えた綺羅星の如き傑物が多数輩出しています。今回の高野先生の講評を受けての坂井さんの練上げ作品が出来上がるのが楽しみです。

(3)横山作品 【早春の上高地】13分35秒

  

横山は、早く作るだけが取り柄の多作で、何を県民会館の上映会に出すか少し悩みましたが、今まで見ていただいた中で先輩方の評判が一番良かった本作を出品作にする事に決めました。
高野先生の講評をいただけるとの事で、これまた前述のお二人と同じように張り切って手を加えました。
注力したのは、猿の登場場面とエンディングです。ナレーションも映像に即して全面張り替えました。

【高野先生講評】

①映像がきれいである。内容的にも良く撮れている。河童橋へ向かう雪原の中での人との遭遇や、明神池近くでの猿との出会い等しっかり撮れている。上高地のほとんどを見せているから見ごたえがある。
②こういうカット・シーンがあれば更に良くなる。
例えば、雪原の林の中から山を見上げるシーンがあるが、そこに春を待つ若芽が芽吹いているカット。
先に行った連中とはぐれたとのナレーションの後に、彼らが先に行くシーンを横打でいれる。
観光シーズンでは賑わう上高地のバス停も、今は雪に埋もれこうなんですよと思わせるシーン等々。なければ仕方がない。
③もっと短くならないのか。15分近くだと番組になっちゃう。ラストシーンのさよならの後はロングで終わらせる等の工夫をして、せめて10分位にすればどうか。13分30秒は少し長い。

※緊張して先生の口が開くのをじっと見つめていましたが、意外な事に褒めてもらい、思わず「ホントかな?」と疑念さえ浮かぶ心の濁った私(横山)でした。今回先生からご指摘された部分で、見直し対応するカットがあれば編集で追加する等10分を目途に再編集してブラッシュアップしてみます。先生、どうもありがとうございました。

 

(4)和田作品 【群峰先生】12分

 

和田さんは、7月の例会でメンバーからの講評を受けて30秒ほどカットを追加して高野先生への講評に臨みました。
この作品に関しての意気込みが感じられます。さて、高野先生の講評はどうだったでしょうか。

【高野先生講評】
①良くまとまっている。映像もなかなか良い。インサート(場面転換)も上手に使って良く分かる話になっている。
貴重な資料となる作品である。

②ただ欲を言えば、主人公の群峰先生は印象が薄い。カットでアップをもっと使って印象に残る様にする。
良い絵も一杯あります。それを活かす為にも、例えば獅子舞の場面などでは先生がギブアップする場面があるが、そこに密着してアップで撮るんです。習字のシーンでも、先生のアップ子供のアップ、そういうカットが欲しい。
アップを撮るという姿勢が大事。そういう努力をする。
③やってる事はとても大事な価値のある事です。
あと10年も経てばこういう行事はなくなると思います。
わかる人がいなくなっちゃうんだから。
④祭りの神輿が、農村地区から新興住宅街にやって来る、そこが大事。ただ漫然と撮っているようでは駄目で、そこに象徴的な意味を持たす。古き良き時代から新しい時代へ移っていく、アングルを変え象徴的な印象が残るシーンにする。
⑤実際に撮った映像は作品の中では1/3くらいしか使わないものである。
編集が終わった後で、冷静な頭でもう一度考えてみて本当にこれでいいのか。もしかしたら捨ててしまった映像の中にいいものがまだあるかもしれない。編集では、こういう目で何度も見直す事が大事だ。
⑥タイトルは大事だ。知らない人はタイトルを見て勝手に想像して観に来る。内容を体現したタイトルである必要がある。
群峰先生というタイトルでない方が良いかもしれない。サブタイトルの「鄙に生きる」の方が良いかもしれない。

※群峰先生は、総じてこのテーマに取り組む和田さんの姿勢が評価されています。
個別の映像シーンには今後の課題として、必ず中心になる映像を配置するべきであるとのお話もありました。
和田さんが採用しなかった映像カットの中に、先生のおっしゃった最適なものがあるかもしれませんね。


(5)松谷作品 【明石魚ん棚 半夏生 夏祭り】5分20秒

 

松谷さん、地元明石の魚ん棚の夏祭りを新たに撮影し作品に仕立てて高野先生の講評に臨みました。
先生の講評で見てもらう作品という事もあって、心なしかナレーションに硬さがにじみ出ています。
高野先生もは、神戸の鈴蘭台にお住まいですので明石は庭先の様なもの。良くご存知のご様子です。
さて、講評はどうだったでしょうか。

【高野先生講評】

①良く撮れている。魚ん棚らしい絵が撮れている。
②明石駅から魚ん棚までの描写は、通路の説明にちょっと時間を使いすぎている。長い。
昔は歩いて行ったが、今ではこのようにエスカレータを使って直接行けますよ、という感じでさらっと紹介する程度で良い。
魚ん棚と祭りがメインなんだから。

③祭りのシーンはアップの絵ばかりが多い。全体がわかる絵が欲しい。祭りは子供がメインなので子供の喜んでいる顔が欲しい。
④ラストシーンの終わり方は少し工夫する。ロングで長め(30秒位)に撮って、余韻を残して終わらせる事。

※松谷さん、地元だけに先生から「魚ん棚らしい映像がとれている」とお褒めの言葉がありました。
2~3点、先生から「こう直したほうがいい」とのお言葉がありましたが、時間はまだあります。
次の例会は9月15日(土)です。練り直し後の作品を是非見せて下さい。

 

(6)北沢作品 【富士を愛でる 富士五湖からの眺め】5分30秒

 

4月に月例会で撮影してきた、「富士急と富士山(15分)」をベースに「富士五湖から眺める富士山」をテーマに焼き直してきました。作品の長さも5分30秒とかなり絞り、気合のほどがうかがわれます。
さて、高野先生の講評はいかがだったでしょうか。

【高野先生講評】
①絵はしっかり撮れているいい映像です。印象に残る作品です。
②河口湖の映像は特によかった。出来過ぎの映像です。霧が湖面をサーっと覆い視界を遮る箇所は秀逸。
霧が晴れてきた後の河口湖の絵を効果的に使うと更に良かった。

③作品としての評価は、自然のありのままの湖としての富士五湖を順番に見せるだけでは飽きる。
湖にまつわる何かストーリーがあれば映像も生きてくる。
湖にまつわる話題を探して映像にかぶせるんです。
そうする作品がグッと良くなる。

※高野先生は、常に映像にストーリーをお求めになられるようです。
北沢さんの作品は「富士五湖」という事で少し間口を広げ過ぎたのでしょうか。
富士五湖だけでは、作品にならないと仰っておられます。物語を求めておられるのです。
ここは、湖を絞って河口湖からの苦心の映像を、「苦心」の事実をナレーションを効かせて、見せた方が高野先生好みだったかもしれません。
ベテランの北沢さん、県民会館上映に向けて編集でどの様に最終調整してくるか楽しみです。

(7)今井作品 【落日のタルチョ】7分20秒

 

今井さん得意の海外旅行物、その中でももっともお気に入りの作品を持ち込みました。
滅多に日本人が入れないような秘境ツァーです。中国はヒマラヤの高峰・梅里雪山(未踏峰6740m)が聳える、雲南省北端の小さな町”トッキン”にやってきました。ホテルの窓から見える梅里雪山は圧巻で山好きから見れば堪えられない絶景です。
今井さんはカメラを片手に周りの町を散策し風にたなびくタルチョに目を奪われます。
おりしも夕暮れ。夕日に染まる逆光のタルチョは切ないまでに美しい。
物憂げな横笛の主旋律だけのBGMが、タルチョたなびく辺境の町に流れます。
さて、高野先生の評価はどうだったでしょうか。

【高野先生講評】
①知らない所に行って映像を撮るという事は大変難しい事です。その中でも珍しい風景をよく絞り込んで撮っている。
夕陽とタルチョはとても印象に残りました。
②ラストシーンを夕日に染まるタルチョで終るのも良かった。ただ最後のカットで中国伝統の電飾花火の挿入は感心しない。
③タルチョとは、そもそも何であるのかという説明がなかった。その説明を簡単にでも入れた方が良かったのではないか。
知らない人は知らない。
④音は大事である。タルチョをはためかせる風の吹き抜ける音をもっと効果的に使ったら良いのではないか。


(8)石川作品 【良才倹婆】3分30秒

 

神戸映像クラブの石川さんの奇抜な映像作品です。
石川さんが、上映に先立ち珍しく恥ずかしそうに制作の動機を話してくれました。
この作品は、石川さんだけが作れる唯一無二のものといえるのではないでしょうか。
お爺さんの寝ている写真とお婆さんの話しかけている顔。それを補完する静止画の資料数点。
映像としてはこれだです。
全て静止画です。
それを、クレージートーク等の音声編集・映像編集アプリを駆使し、目元・口元だけを動かし変化させ喜怒哀楽を表わし、絶妙の脚本でストーリを被せてきます。
脚本力の勝利といえるかもしれません。
アメリカの短編小説の名手、オー・ヘンリーの作品を読んだような読後感が残ります。

【高野先生講評】
①「なかなか面白かったですね」。
高野先生は、こういう作品は嫌いなのかしら? 講評は、すこし素っ気なかったようです。
こういう作品は、誰でも簡単にできそうですがところがそうではないのです。緻密に計算された、お爺さんとお婆さんの会話は、愛とペーソスに満ちたとても優れた脚本なのです。高野先生には、そういう所をもっと評価してもらいたかったと思います。
ホントのところはどうお感じになったのか疑問が残りました。

(9)上中作品 【八方尾根トレッキング】8分40秒

 

今年の夏に、上中さんご夫婦は、白馬岳の八方尾根にトレッキングに行ってきました。
今回の作品は、その時の顛末が素材となっています。
奥さんは、このトレッキング中、岩場で転倒し頭部・顔面を幾針も縫う創傷を負いました。
山岳救助隊も出動する遭難事故になったのです(後で遭難救助費用も請求されます)。
その一部始終を淡々と撮影する上中さんがいます。幸いな事に奥さんの怪我は軽傷で済んだとの事ですが、夕食のディナーでは、憮然としてデザートを食べている姿を映します。
観ている方は、奥さんの気持ちを思わず推し量ってみたくなりました。
「人が痛い思いをして苦しんでいるのに『なに写してんのよ!』」との心の声が聞こえてきそうです。

【高野先生講評】

上中さんの高野先生の講評中に講評を記録する為のデジタルカメラのバッテリーが切れてしまいました。
交換しているうちにほとんど録音できなくてすみませんでした。
高野先生は「忘れられない思い出になったのは間違いないね」と言っていました。
こんなアクシデントすら、作品にしてしまうとは冷静というか、作家魂を見せつけられました。
・・幸いな事に、奥さんの怪我は軽傷で済んで現在は特段の後遺症もなく日常生活を送っておられるそうです。

(10)豊田作品 【神戸の歴史】5分30秒

 

「慶応3年12月7日、兵庫に港が開港した。」この重々しいナレーションで始まった豊田作品であったが・・。
豊田会長曰く「神戸港の150周年記念という事で何か作りたいというのが動機で「作れる」という自信もあった」。
構想は雄大だったが、ところがいざ資料を集めだしてみると全く集まらなかい事に気付きました。
あっても絵や写真やらで映像は皆目ない。つなぎ合わせてみても紙芝居の様で何とも大変な事になった。
それでも何とかまとめにゃならんと思って作ってみたがとの事です。
豊田会長は、和田さんが良くやる骨組みは作ってみたがこれから先皆さんの意見を聞いて肉付けしていきたい、との魂胆だったようですが、さて、高野先生はどう見たでしょう。

【高野先生講評】

①高野先生は気の毒そうに「大変だったでしょう」とのお言葉です。
②「難しいねコレ。何に焦点を当てるかですよね。ちょっと何か欲しいね、写真も集めにくいし動く絵がないのが致命的だね」。
②「結局、骨組みだけなんですよね、この作品は。肉付けするにしても動く絵がないんです。構想を練らないとどうしようもない。テーマが大きすぎて難しいんですよ」

※他のメンバーからも、この作品の肉付けに関するいろんなご意見も頂戴しましたが、決定的な欠陥は、資料としての動画が揃わない事です。・・後日談になりますが、結局、豊田会長はこの作品のこれ以上の進展は望めないと判断し継続制作を断念しています。新しい資料(明治の頃の神戸の港を描写した動画等)が、入手できない限りこの作品は凍結という事にしたという話です。
後年、このテーマにチャレンジする映像作家が神戸映像クラブから現われん事を祈ります。

(11)広瀬作品 【天空の城 竹田城】10分

 

体調を崩して長らく月例会に姿を見せなかった広瀬さん。
11月の県民会館の上映会には広瀬作品抜きで開催するのかと諦めていた豊田会長ですが、広瀬さんが県民会館出品作という前提で、DVD作品を豊田会長に送ってきました。久々に見る広瀬作品に神戸映像クラブのメンバーの顔が綻びます。
広瀬映像の緻密に計算されたアングルと何度も何度も足を運んで撮影した竹田城のロング・アップ。
ナレーション担当の広瀬茂子さんのキリッとした声が作品のテンポを作ります。
会場は、あのボソボソと静かな広瀬さんの声が聞こえてくるような、懐かしさと穏やかさに満ちています。
映画「ニューシネマパラダイス」のトト少年の様に、スクリーンの新しい映像を息をのんで見つめました。

【高野先生講評】
①映像はいいですね。映像詩ですよね、これは。音楽を流しながら風景の変化を見せる、昔日との変化を見せる。
そういう事だったらこれで十分です。

②映像作品として見るならこれは難しい。
これだけでは足りないんですよ。春夏秋冬、何度も何度も撮影に行っている。映像を撮る苦労というのはわかる。
しかし、これだけで話を紡ぐというのは難しい。

③確かに歴史には触れているけれども、これにストーリーをかぶせないと話にならない。
純然たる戦いの話にするならもっと深い話を掘り起こし映像にかぶせる。そうすると作品として生きてくる。

④最後の城主である「赤松広秀」の絵もある筈なので、大河ドラマなどの映像も集めてきて脚色しないと持って行きようがない。
⑤城壁を作り上げた築城石組集団・穴太衆の話を掘り起こしてストーリーを被せるという手もある。
そういうのが出てくれば、それを中心に展開するという方向もあるのではないか。

※高野先生の講評は、私たちの想像とは異なり私たちから見れば、相当厳しいものでした。
広瀬作品に対して期待するものが大きいのかもしれませんが、「これだけでは作品にならない」とのご発言は、皆を沈黙させてしまいました。
神戸映像クラブのエースの作品を、ここまで厳しい評価をする人を初めて見たような気がします。
プロの要求水準の高さに皆茫然としてしまうのでした。


4.編集後記

(1) 今月の作品

今月は高野先生にご臨席いただき、高野先生中心に講評が
行われました。
先生は最近体調を崩されたとの事でしたが、クラブメンバーの作品を1作1作丁寧にご覧いただきご助言をいただきました。
高野先生ありがとうございました。
先生の視点は、映像の美しさの追及もさることながら、作品に感動的なストーリーを求められているとの印象を強くいだきました。
象徴的な例が二つあります。
一つ目は、坂井さんの「柴犬ゆき散歩事情」では、ナレーションも素晴らしいし話も感動的であるが、ナレーションに見合うカットがない、との事でストーリーに即した映像カットが欲しいとのご注文です。
二つ目は、広瀬さんの「天空の城 竹田城」については、絵は素晴らしいがそれだけでは作品にならない。
人を引き付けるストーリーが欲しいとご指摘です。
我々からすれば、広瀬さんの映像は、クラブの中では一目も二目も置く存在です。憧れを持って鑑賞させていただいている訳ですが、先生は、これだけでは物足りない。ストーリを被せてこそ作品となるとの講評なのです。

映像カメラマン出身の方、作品編集の方、脚本等総監督の方等々、プロにも様々な分野の方がいる事は承知しています。
我々アマチュア映像作家はどこに軸足を置いたら良いのでしょう。「私は作って見てもらうだけで良いのです。これ以上上手くなろう等とは思っていません。ほっといてください。」中にはこういう人もいました。
しかし、それではクラブに入っている意味はないでしょう。今回の高野先生の講評をどう受け止めるかは個人の問題ですが、この道に進んできた以上、一歩でも高みを目指し進んでいきたいものであると思いました。

台風20号の影響で、当初の8月24日(金)予定が流れ8月28日(火)に変わり、先生には大変ご迷惑をおかけしましたが、今回の講評は、11月の県民会館での上映会が念頭にある我々には、本当にありがたい講評でした。
高野先生ありがとうございました。

(2)その他

神戸映像クラブの個別メンバーの作品の内容と先生の講評詳細(音声のみ)は、別途、facebookでアップしております。
詳細をご覧になりたい方は、そちらをご確認下さい。

 ※facebookアドレス→ https://www.facebook.com/kobe.eizouclub/

 以上


 


神戸映像クラブ8月例会案内

2018年09月08日 17時41分05秒 | 神戸映像倶楽部

.8月度月例上映会開催連絡

(1)日時:2018年8月28日(第4火曜日)1時30分より。
     台風20号の影響にて8/24から8/28に順延。
    
(2)場所:東川崎町老人憩いの家 (神戸市中央区 東川崎 6-4-13)
     神戸市立盲学校から徒歩3分 

(3)特記:8月の月例会には、元NHKの伝説のドキュメンタリ作品を制作してこられた高野先生に
     ご臨席いただき、11月の県民会館上映会出品予定の作品を講評いただく予定。

***********************************

2.7月度月例上映会開催報告


(1) 出席者 豊田会長、石川、上中、和田、松谷、北澤、横山 計7名
  欠席者 広瀬

(2) 遠隔地会員 山下 坂井 計2名
  遠隔地会員の作品2本を横山がDVDで持込み上映。

3.講評 (上映順)

(1)山下作品 【木古内 ダチョウ牧場】6分15秒

 

山下さんの前月発表した作品をブラッシュアップしてきました。練上げは概ね高評価されています。
しかし、男性新人に対する歯に衣を着せぬ舌鋒鋭さも、女性新人に対する時には若干遠慮もあります。
山下さんは、そこら辺りをよくよく見抜いて真の評価を掴み取る必要があります。
私(横山)が思うには、最後の仕上げが雑です。登山でも登ればいいだけではなくて下山までが登山です。
ヒマラヤ登山でも遭難事故の大半は下山中に発生しています。最後の仕上げにエネルギーの6割をかけて下さい。
そうすればもっと良くなるはずです。まだ上手くなる人です。制作本数が上がるたびに上手になってゆくでしょう。


(2)坂井作品 【柴犬ゆき13作目 お花見・明石公園 】5分30秒

 

坂井さんの実家の愛犬ゆきシリーズも13作目を迎えました。
新人とは思えない、と映像をまとめるテクニックは先輩方も評価していますが、この作品については
まだ手を加える余地があるとの事です。北沢さんなどは別のジャンルの作品にも挑戦してほしいと仰っています。
ナレーションも耳ざわりが良いと好評だし、豊田会長も「自分の撮影した素材を作品にある程度のまとめる力がある」
と一定の評価を持たれています。
11月の上映会までにはまだ日数があります。高野先生に見ていただいたら何と講評していただけるのかも楽しみです。


(3)横山作品 【2018年の紫陽花と20クロス】7分45秒

 

先輩の皆さんには、2018年の紫陽花を3回見ていただく機会がありました。飽かずの講評ありがとうございました。
2018年の6月は、紫陽花に始まり紫陽花に終わりました。
6月だけで合計3回、六甲山20クロスの登山道に入りました。
花を映像で見せるのは、簡単なようでとても難しいと感じました。人間は単調な映像が続くと飽きてしまうのです。
飽きさせず、その花の美しさを表現する為には幾通りもの技術が必要だと感じました。また、何度作っても新たな感動を
味わってもらえるような映像技術。そういう映像を作れるよう常に心がけたいと思います(横山)。

 

(4)松谷作品 【花の寺 円照寺】8分10秒

 

松谷さん仕事で忙しい中、活発な撮影行・映像制作お疲れさまです。
今回の作品は、花のお寺として有名な加古川市志方の円照寺というお寺に撮影行に行ってきた話をベースに作られました。
残念ながら、5月~7月の大雨で目当てのノウゼンカズラは花も蕾も落ちていたとの事です。
それでは、残っていた花を一生懸命撮影します。先輩方の講評で印象に残った一つには、
円照寺の場所が、最後のシーンで説明されるのは良くない。前に持ってきて円照寺がどの様な所にあるのか、
視聴者を意識した作品作りが必要だとの言葉です。

今日は、更に、神戸映像クラブの黒帯・和田さんが、松谷さんの講評の一環として、横山・坂井・山下等映像制作の
初心者にとって
極意ともなる大変いい話をしてくれました。
「自分で撮った映像をつないで並べていくだけでは、自分が味わった感動を人に伝える事はできない」。
和田さんご自自身が映像制作の道に踏み入ってきた動機から説き起こし、どういう視点から作品を制作していくべきなのか
こんこんと諭していただきました。
この事は、初心者には雷電の様な響きと閃光を放つお言葉だと思います。
座右の銘として記憶して置きたいと思います。
和田さん、ありがとうございました。


(5)北沢作品 【京の秘境 保津峡下り】13分

 

北沢さんの作品は、最近、だんだんと長くなってきてます。
この作品も13分という事で比較的長いものになりました。印象からいうと、やっぱり少し長いと感じました。

さて、内容は、背景に保津峡の川下りを映した少し風変わりな落語を聞いているような内容です。
場所も京都とあっては、吉本新喜劇ではないものの
話術の巧みさは、さすがは関西の客商売のプロです。
この船頭二人の客への「振り」が命のムービーですが堪能しました。
嵐山・保津峡は知っていても川下りの船に乗った事のないものには新鮮です。

「もう最後だから・・」というコメントを、例会の中で数か月連続で聞いたような気がします。
ご自身の年齢的な事を考えておられるのだろうなと思いますが、松谷・横山・坂井・山下の4人には、まだまだ
先輩方のご助言・ご指摘が必要です。まだ老け込むには早い。足腰もしっかりしておられるし頭も身体もまだ若い。
初心・後継の者の前に立ちはだかり、
「俺を乗り越えてみろ!」というくらいの気迫をもって、今後もご指導を
よろしくお願いします

 

(6)和田作品 【鄙に生きる 群峰先生】11分13秒

 

神戸市西区玉津町。この地区では今も農業に生きる伝統が息づいています。
この和田さんの静かにして凛としたナレーションで始まるこの作品は、昔ながらの農村田園地帯と近隣に
広がり始めた新興住宅街との間にほのぼのとした農村伝統芸能が今も息づいている事を伝えます。
しかし伝えられている伝統芸能は、実に細い糸でつながっている事を感じさせます。

ある意味では、団塊の世代中心で担ってきた日本的な良き伝統が、日本のあちこちで静かに消滅している
現状を浮かび上がらせている様でもあります。宗賢神社の村祭りの夜。
群峰先生と呼ばれるご老人が
夜の闇に灯篭の灯で境内が浮かび上がる中、村人たちとお神酒を飲みながら、談笑してフェードアウトする
カットをロングで描写します。ラストシーンも抒情的で実に味わい深い。

しかし和田さんは、まだこの程度の内容には満足していません。もっと良くなるはずだ。
それには何が欠けているのか、皆さんのご意見をお尋ねしたい。この姿勢は実に見習うべきものです。

この作品はなかなか奥行きの深い実はとても難しく玄人好みの作るのは難しいテーマです。
先輩方も、どんな要素を付け加えるとどう良くなるのかなかなか助言を与える事すらできません。
結局、8月の月例会でご臨席いただく高野先生にまず見てもらおうという事になりました。
しかし、これはこれで恐ろしい・・。何といっても、高野先生の現役の時の作品は、あの有名な「新日本紀行」ですから。
和田さんのテーマは完全にかぶってますよね。
8月の月例会で和田さんの作品を見た高野先生が、どんな事をおっしゃるのか、実は
興味津々です。

(7)上中作品 【大宮鉄道博物館】6分40秒

 

ジオラマものは、神戸映像クラブでは上中さんの独壇場です。大宮の鉄道博物館は、ジオラマだけではなく
おおよそ鉄道に関するあらゆるものが陳列されている場所で、見て歩くだけでたっぷり一日以上はかかると
仰っておられます。上中さんは、その中でも鉄道のジオラマにフォーカスして作品に仕立て上げました。

神様からの目線を持っている人が魅せられる人造物なのでしょう。何となくそんな気がします。
北沢さんが、強烈な第一声を放ちました。「上中さんの作品としては雑すぎる」。
雑とは少しきつい言葉かなと思いますが、北沢さんもよくご存知の場所だったようで思い入れもある場所なのでしょう。
北沢さん自身も、京都の鉄道博物館を数か月前に作品にしたご経験があるので、尚の事、その感があるようです。
上中さんであれば、もっと味付けに工夫を凝らし、さぞかし手の込んだものに仕上げてくれるのではという
期待があったのかもしれません。
何となくもう一度再編集して練り上げてもらいたいような気分になりました。

 

(8)豊田・山下協働作品 【女だけの相撲大会】12分46秒

 

この作品は、山下啓子さんが故郷の北海道福島町主催で行われた「女だけの相撲大会」で撮影したものです。
山下さんの嗅覚で探り当てた面白い素材「女相撲」です。山下さん自身が「楽しんで撮った」という約5時間の大容量。
しかし、フラッシュで延べ5時間に及ぶ長い素材。山下さん自信もその中の一部を抜き出し、作品に編集した
ものもあるものの、予告編の様なもので満足できるものではありませんでした。
映像制作の
道に足を踏み入れまだ半年の者にとって、5時間のフラッシュというのは手に余ったのです。
素材は素晴らしいので、これはぜひ県民会館で上映できるものにしたいとの思いで、2テラのUSBに収められた
映像データが豊田会長宅に持ち込まれました。
山下さんが豊田会長に編集をお願いし、豊田会長も「これは面白い作品になる」
という直感で、鋭意ご努力をいただき、完成にこぎつけたという背景があります。


月例会での先輩方の顔色を見ていると概ね良好です。
石川さんからは、更なる練り直しの注文。トーナメント表の映像処理が観ているものにとってわかりづらいのではないか
とのご意見。5時間のフラッシュを13分弱の尺にまとめてもまだ手を加える余地はあるのです。
豊田会長もご自身の作品を11月の上映会に向けて制作しなければならず、ここは苦しいところです。
とりあえず、8月に月例会に臨席いただける高野先生にみていただき、ご見解をいただいてから対応を考えるという
事になりました。さて、この作品も高野先生は何と仰るでしょうか。

4.編集後記

(1) 今月の作品
  今月の作品の中では、和田さんの「鄙に生きる 群峰先生」が秀逸でした。
 フィックスのどっしりとした三脚映像は、20年にわたって撮り貯めてこられた映像ストックを再編集して作った
 とのお話を伺いましたが、この作品の背景には20年物長い歳月が横たわっているのです。
 初心の者にはとても眩しいものでした。
  和田さんの作風は、実直な農夫の様な地道で執拗な細かい作業をコツコツと積み上げて結晶させたものです。
 正面から正々堂々と制作するNHKの先生に教えられた通りの姿勢が見て取れ、いつも大変勉強になります。
 「自分の映し気に入ったものをつないで並べても、それは作品とは呼ばない」とのお言葉は耳が痛いものでした。
  次に、山下撮影・豊田編集という面白い組み合わせは、見ごたえのある楽しい「女だけの相撲大会」となって
 結実しました。山下さんの「作品にすればこれは面白そうだ」との嗅覚が、活きた事例です。自分で撮影したものは
 自分で編集したいでしょうが、素材を活かすためにはこういう方法もあるという事ですね。

(2)その他
 各メンバーが発表した作品の講評の様子は、横山がFacebook「神戸映像クラブ」のグループにアップしています。
 詳細は別途そちらをご覧ください。ここでお願いなのは、BGMで著作権フリーでないものはfacebookのチェックで
 はねられます。回数が多くなれば投稿者(この場合は横山)のアカウントが削除されるリスクがありますので、
 極力歌詞のついたBGMは避けてください。また演奏だけでも最近リリースされたものは、曲自体に著作権ガード用の
 信号が埋め込まれているので、引っ掛かる事があります。著作権のある音楽でも正しい手続きを踏めば使用可能です。
 現在、横山が研究していますので、その方法の提示にはもうしばらくお待ちください。

 ※facebookアドレス→ https://www.facebook.com/kobe.eizouclub/

 

以上



神戸映像クラブ5月例会案内

2018年06月26日 10時52分02秒 | 神戸映像倶楽部

1.神戸映像クラブ 2018年5月例会案内

 (1)日時:2018年5月19日(第3土曜日)1時30分より

 (2)場所:東川崎町老人憩いの家 (神戸市中央区 東川崎 6-4-13)
      神戸市立盲学校から徒歩3分 

***********************************

 2.4月度月例上映会開催報告


(1) 出席者 豊田会長、今井、和田、松谷、北澤、横山 計6名
  欠席者 石川、広瀬、上中

(2) 遠隔地会員 山下 坂井 計2名
  遠隔地会員の作品2本を横山がDVDで持込み上映。

 

3.講評 (上映順)

(1)坂井作品 【柴犬ゆき13作目 お花見・明石公園 】5分30秒

  

お花見の季節がやってきました。
坂井さんは、ゆきを実家の母親と次兄と3人で明石公園に連れて行きます。
往復の車中では、お母さんと次兄の間のスペースにちょこんと座り、同じように前を見ています。
いや~癒されますねぇ。なんて可愛い奴だろう。
明石公園に来たのは、昨年まで飼っていた同じ柴犬の「さきとゆう」の2匹の思い出がない所だからだそうです。
実家のご家族の中にはまだ故サキと故ユウの思い出が根をおろしているのです。
明石公園もお花見シーズンとあって花見客で溢れています。ゆきは大勢の人混みに落ち着かない様子で戸惑っています。
春の花吹雪の明石公園を家族と暖かく過ごした映像でした。さて、先輩方の講評はどうだったでしょうか。

①  「犬も一緒にお花見に行く」こういう前提で作品を作っている。擬人化というかこういう前提での作品化は面白いと思う。
②  お城のやぐらの上から俯瞰してパーンしている部分は、静止から入りパーンし静止で終わる。
 それとカットとカットの間のつなぎ目で、手振れが残っている部分がある。こういう事をきっちりしないと画面が荒くなる。
③  三脚でフィックス望遠撮影しているのに微妙にぶれるのは何故なのか、疑問に思っていると横山が代弁して
 先輩諸氏にお伝えすると、三脚撮影時には「手振れ補正」をOFFにするように取説に書いてあるとの事。
 坂井さんも山下さんも、まだ手持ち機器(Sony-HandyCAM)の手振れ補正(空間光学補正機能)の知識が浅く
 この情報はとてもタメになりました。

 

(2)山下作品 【大阪城の梅林】5分16秒

  

 山下さん、北海道からビデオ修行に関西にやってきました。今月の発表は孫娘の居住地の近く大阪城公園での撮影。
映像制作からまだ日も浅くすべてが勉強です。勉強も全て独学。理解のスピードは遅いけれども決してあきらめません。
北海道では梅がほとんどないそうです。だからとても珍しい。さて、どんな作品になったのでしょうか。
たっぷり講評してもらいました。(順不同)

①  処女作からまだ数か月しか経っていないのに、映像とナレーション・テロップ等のバランスが良くなってビックリしています。
②  山下さんとても良くなってきましたね。映像も三脚を使って非常に安定してきました。
 残念だったのは、1~2カット手持ち撮影映像があった事。徹底的に三脚のフィックスで撮って欲しかった。
③  大阪城と梅林の位置関係の説明映像が不足している ・・ 誰に見てもらうのか、第三者に対する説明が不足。
 例えば「大阪城の梅林」は大阪城公園のどこにあるのか、何度も行った事のある人はわかっているがそうでない
 人にはわからない。誰に見てもらうのか、常にそういう事を意識して作ると大分印象が変わってくる。
④  ナレーションの事 ・・ 映像制作は映像が主であるけれど文学的なセンスも必要です。
 声は落ち着いて聞きやすいが文章が冗長で重複している部分がある。例えば「大阪城の梅林は~」のくだりは
 何度も何度も出てくる。タイトルにも「大阪城の梅林」とあるので、カット毎に繰り返す必要はない。
 ナレーション間の、間の取り方も繰り返しチェックしないと2つのセンテンスが1つのセンテンスに聞こえまったく違った意味に
 解釈されてしまう。
ナレーションはシナリオを作り全体をよく読んで不自然な部分がないかどうかチェックしてから音入れをする等
 丁寧に吹き込んでほしい。特にラストシーンのナレーションは全体の印象を左右しかねない大事な締め括り。
 手垢のついた常套句で台無しにしないで、自分の言葉で大事に作ってほしい。
⑤  テロップもまた映像の一つ。画面の人物の顔が潰れる様な位置に入れない事。
⑥  梅の花だけで5分の映像は長すぎる。大阪城の夜景のシーンも必要ないのではないか?


(3)
横山作品 【雌岡山の桜】3分30秒

   

 

横山は、春になるとメランコリックになります。野山が浅黄色に萌え立ち、しばらくすると火のついた様に花々が咲き出します。
春の先触れの梅の花が人々の目に馴染む頃、今度はバーンと音がするように桜が吹き出てきます。
今回は、そんな想いを「箏」のBGMで表現して詩を作る様に映像にしてみました。
さて、先輩方の講評はいかがだったでしょうか。

 ①  桜の花を凄いような美女に擬人化したなかなか面白い作品でした。ただ人によって好き嫌いはあると思います(爆笑)。
 出だしのナレーション「コブシの花にうつつを抜かしているうちに、とうとうその花がやってきました」で
 期待を持たせる構成は良かった。ただタイトルに「雌岡山の桜」とあるので、そこを少し変えると更に意外性が増すのでは。
②   ただ桜を撮るだけでは面白くないと、その映像に自分の感情を乗せ違ったものを作ろうとしている。
 そういう意味では実験的な作品だと思う。成功しているかどうかはわからないが(失笑)。

※概ね好意的な、生暖かい揶揄の中講評いただきました。ありがとうございました。

 

(4)松谷作品 【生駒山 宝山寺】 6分

 

松谷さんは70代ですが現役の個人事業主です。商売の仏さまとして有名な「生駒山 宝生寺」にお参りに行ってきた時の
様子を作品にしてく
ました。松谷さんが初めてDVDに自分の作品を焼いた記念すべき作品でもあります。
3
回も練上げをしてし、かなり気合が籠った作品である事はひと目でわかりましたが、同時にこれは先輩方が今まで
得意としてきた自家籠薬中のジャンル、つまり先輩方の土俵なのです。
ふらふらと迷い込んでしまった松谷さんを、先輩方はどう「可愛がって」くれたのでしょうか。

①  カットの切替時間が短すぎて多すぎる。主要なカットはもっとゆっくり見せるようにしないと見た気にならない。
②  パーンの場面ではパーンの途中で場面が終ってしまっていて、何を見せたいのかがわからない(パーンの基本)。
 パーン・ズームの場面(視界移動の際)はもっとゆっくり見せてほしい。
③  説明文(看板・由来書き等)を画面に映しているけれど、長すぎて見ているものはそれを読めない。
 作品としてどうしても必要なものなら、要約したナレーションで説明する工夫をしてほしい。
④  お寺の作品には選曲したBGMは派手すぎる。境内の鐘の音や人々のざわめき等、お寺の雰囲気を表わすには現録は
 必要だが、
その場合BGMは消さないとだめ。お寺の雰囲気を伝える現地音の邪魔になる。

※結構厳しい講評が終った後、心なしか、がっくりと肩を落としたように見受けられた松谷さんですが、
 ここで講評をいただいた先輩方の
指摘事項は、良くみると映像制作上とても重要な事ばかりです。
 それをご自身の作品内容で照合できる訳ですから、
上達へ急階段を一挙に駆け上る事が出来るのではないでしょうか。

 これは、ある柔道家の話ですが、地方ではトップクラスの実力者といわれていた男が、夏休みを利用してひと夏の間
 東京の講道館に武者修行に行ったそうです。その男は、毎日練習に講道館に通ったけれども乱取りになると全く歯が立たない。
 誰と組んでも連日連日投げられてばかりでどうしても勝てなかった。とうとう夏が終わり国元に帰らざるを
得なくなった。
 男は帰りの汽車の中で悔しくて男泣きしたそうです。しかし帰ってきて地元の者たちと練習を再開すると
誰もこの男の相手に
 ならない。投げられてばかりいたけれども、その男はひと夏の講道館への武者修行の前後では数段
強くなっていたという話。
 松谷さん、神戸映像クラブでの講評は「映像世界の『講道館』」だと思って頑張ってください。

(5)北沢作品 【富士急行と富士山】 11分50秒

 

北沢作品としては珍しく長い作品となりました。
今年の2月にバスツァーで一度行ったけれど、運悪くスカッとした富士山を見る事が出来なく心残りだった。
そんな折、信州で学生時代の同窓会があり、いい機会だから帰りにもう一度行ってやろうと思い立ち寄ってきたとの事です。
河口湖に朝霧のカーテンがサァ~とかかる美しい映像を「合成ではないの?」等と失礼な事をいう方もおられましたが、
早送りはしているものの全て実写です。
北沢ムービーの特徴は「正々堂々」という言葉がいつも頭をかすめる程、三脚を据えてのフィックス映像にあるのでしょう。
時々「そんな事はないぞ」と茶目っ気を出して歩き撮り映像を見せてくれたり、高角度からの映像を見せてくれたりしますが、
基本はフィックスなのかなと思うのです。
「もう二度と行く事はないと思い富士急ハイランドの遠望なども入れておいた」との事でやや長めになったそうです。
さて、先輩方のご感想は、「観光ビデオとして見せていただきました。私自身も行ってみたいなという気持ちに
させてくれる楽しい作品です」との事です。80歳代のご高齢にもかかわらず、撮影対象を最高の映像で自分が納得できる
まで粘ってものにしてくる根気は、初心の映像制作者は見習わないといけないと思います。

 

(6)今井作品 【長崎 軍艦島】 6分30秒 

   

長崎の軍艦島に行って来られた折の作品です。「今井さんは本当にいろんな所に行って来られているんだなぁ」と思う作品です。
珍しいところへ行っているだけではなく、よく調査をしています。軍艦島の名称の由来を独特のナレーションで説明、感心します。
最近でこそ、テレビのドキュメンタリー番組で何度か取り上げられているので、物珍しさは薄れていますが、
今井さんがいかれた頃は、一般者の立入が条件付きで開放されたばかりだったので、さぞ新鮮な話題だった事でしょう。
さて、上映に先立ち「一番やっちゃいけない事をやってしまった見本のような作品です」と、今井さん本人から謎をかけてきます。
もう最初からミステリー仕立てなので、見ている我々にも緊張が走ります。
さて、結末はどうだったのでしょうか。

① ムービーに登場するガイドの説明が長いし良く聞こえないのでカットした方が良かったのではないか。
② 軍艦島の採炭量が衰退してゆく状況をグラフの様なもので表す事が出来たら面白くなると思うが。
③ 「画面が斜めになっている」との豊田会長の指摘に「ソフトで直ると思ったら直らなかった」と今井さんの回答。
 どうやらこの事が今井さんの謎かけの答えだったようです。しかし豊田会長の追及の手は更に厳しさを増します。
 「音声をどう編集しているのか不明だけれどナレーションの音声とBGMが別々のスピーカーから聞こえる。
 何か変わった事をやっているのなら、その音声編集の工程はおかしい。今までは何ともなかった。前のやり方に戻すべきだ。」
 ・・ 我々は豊田さんが何を言っているのか理解できなかったけれど、意固地なまでの追及の手に今井さんがついに告白します。
 「編集ソフトをあれこれとNetで検索しPower-Directer14ではなく、中国製の「フィモラ」というのを使って作った」という
 事が判明。それが原因だったようです。豊田会長の眼力というか聴力というか、映像作品を鑑別する能力の物凄さに改めて感心。

 

(7)和田作品 【播磨国 太山寺】 5分

  

神戸映像クラブきっての辛口の講評者、和田さんの作品。

「人の作品には厳しい事を言っているが自分の作品はどう作っているのか」とご自身の発言に爆笑が沸き上がります。
今日上映の為に持ってこられた作品は、神戸市西区にある、ラジウム温泉で有名な「太山寺」をテーマにしたものです。
このテーマでの制作の動機は、一度戦国時代に三木合戦で焼失し江戸期に再興したこの古刹を誰が支えているのかを
描きたいが為との事です。まだ作品として完成されたものではなく、荒編集された映像にBGMを乗せた白地図の様な内容でしたが、
春の陽気をうまく捉え、太山寺の周辺の景観や天台宗の寺院としての歴史の重みを漂わせた、いかにも出来上がったら
さぞかし重厚な名作になるだろうなという予感を感じさせます。
和田さんの意図は、映像を観ていただいた皆さんの声を参考にして練り上げていこうと考えているとの事でした。
なかなか賢明なやり方だなと思います。独りよがりにガシガシと作り上げても観ている者が「何を言いたいのかわからない」と
思われる作品になっていたら失敗だと思うからです。作り込みの時から、視聴者の声を取り入れる事によって失敗しない
作品に作り上げるという事なのでしょう。しかし反面、人の意見に振り回され自分が訴求したい作品ができるのかという
危険を孕んでいるような気がします。その制作姿勢は、スポンサーが資本力に物言わせた横やり入れてくるのを、
かわしながら制作するハリウッド大作映画の監督の様です。
どんな風に作り上げて行かれるのでしょうか。完成時の姿が楽しみです。さて、講評です。

①  お寺の映像にふさわしくとてもゆったりしたムードが漂う、素晴らしい映像だと思います。
 特に阿弥陀様が仏堂から、すうっと出てくる場面転換の使い方が効果的だった。

②  この映像にホシ(訴えたいテーマ)が欲しいと思います(どういう時代設定でこの寺を語るのか)。
 ナレーションで表現するにしてもなかなか難しく、ナレーション次第でガラッとこの作品は変わる可能性がある。

 

(8)豊田作品 【新型ドローン登場】 約1分 

   

豊田さんのドローンへの情熱は、曝されているリスクを想像し皆ハラハラしていました。
今回の作品は、命を危険に曝す落命リスク、ドローンを失う経済的損失リスク、更にドローンを操縦している際に
無許可飛行で通報され警察に捕まるという航空法違反の逮捕行リスク(?)、を乗り越えてきた果ての結果が結晶しています。
豊田さんが購入してきた今までのドローンには、自動静止機能がなく手動で静止していました。
その為、静止させるだけで精いっぱいで、撮影するどころではなかったというのが実情だったのです。
今回は、豊田会長のポケットマネーで買えるドローンの中から初めて自動静止機能が付いた機体を手に入れる事が出来ました。
ついに豊田ドローンの空撮劇場が始まりそうだという期待が一挙に膨らみます。
豊田さんの様子はまるで、初めて自転車を買ってもらった小学生の様でもあり、アルバイトで貯めたお金で初めてオートバイを
手に入れた高校生のようでもあり、運転免許を取って初めて自動車で運転している青年の様ではありませんか。
さて、皆さんの声はどうだったでしょうか。

① ドローンの操縦にすっかり習熟して上空から見下ろす映像にも不自然さがなく素晴らしい。
② 素晴らしい。是非私の作品の空撮映像にもご協力をお願いしたい(空撮の画質が低いそうですがそれでもいいとの事)。
  我々のカメラでは広いお花畑の映像でもパーンで振るしかないが、お花畑との距離感を維持したまま帯の様にスライドして撮影が
 できる。そのカットを得られるだけでも奥行きの出る作品になる。

等々、もろ手を挙げて歓迎する声多数です。果たして今後の豊田さんの映像にはどんな変化が起きてくるでしょうか。乞うご期待。

4.編集後記

(1) 今月の作品
 今月は3名も欠席しており、ちょっと寂しい月例会になりました。
 その分、新人や遠隔地会員への講評が丁寧になったのは皮肉な結果ですが、ありがとうございました。
 災い転じて福となす。物事は常に表裏一体ですね。
 今月の作品の中では、豊田作品が話題性として頭抜けていました。
 作品としての完成度は全くないテスト映像でしたが、豊田さん新型ドローンの空撮映像鮮烈のデビューでした。
 自慢気な様子も、今までの苦労を知っているだけに微笑ましいものでした。
 また、今井さんの作品の音声処理の不自然さを見破った
豊田さんの映像作品鑑別能力にも驚かされました。
 何千本もの映像作品を観てこられた歴史のなせる業ですね。

(2)その他
 各メンバーの講評の様子はFacebook「神戸映像クラブ」のグループにアップしています。
 詳細は別途そちらをご覧ください。

 ※アドレス→ https://www.facebook.com/kobe.eizouclub/

 

以上



神戸映像クラブ6月例会案内

2018年06月23日 21時58分42秒 | 神戸映像倶楽部

神戸映像クラブ 2018年6月例会案内

1.予定日時 2018年6月16日(土)13時30分開始

2.場所  東川崎町老人憩いの家(JR神戸駅南・神戸盲学校から徒歩5分)

3.5月度 月例会報告

(1)参加者  豊田会長、石川、北沢、上中、今井、和田、松谷、横山 計8名
(2)準会員  坂井順子、山下啓子 計2名(月例会参加しない遠隔地会員等)
(3)欠席   広瀬(体調不良)

 4.上映作品(発表順)

(1)「柴犬ゆきシリーズ第14話 笑顔一杯」(坂井作品 約5分) 

① 撮影機器・編集ソフト等 (Sony-Handy・Cam/Video-Pad)
② 講評

  
坂井さん柴犬ゆきシリーズ第14話、笑顔いっぱい。
いつもお母さんと一緒に三木周辺で待ち合わせ、運動量豊富な柴犬ゆきの散歩に連れて行ってあげるのが
身体の弱ってきた母親への坂井さんの一風変わった親孝行の一つです。 今回は加古川の梁瀬園という、
チューリップで有名な庭園に、ゆきを連れて行きます。 
散歩をさせながらゆきを見守る温かい視線が画面
を通して伝わってきます。
その映像だけでも心癒されますが、坂井さんの計算した巧みなカットとナレー
ションが効果を増します。
今回の散歩は、ゆきを徹底的に疲れさせるという事にあったので、いつもは持っ
ていくビデオカメラを置いて
とにかく ゆきと全力で走ります。その結果は、どうだったでしょうか。
いつもは午後3時に散歩を催促する
ゆきですが、その日はお腹を見せてぐっすり寝入っていたそうです。
 さて、先輩方は、坂井さんと加古川の河川敷を走り回っているゆきの映像がないのが不満だと言っています。
柴犬ゆきが加古川の瓦を 無邪気に走り回っている姿と、疲労のあまりお腹を出して寝ている姿の映像が
あればこの作品はぐっと内容が濃くなるというのも
また事実です。
その辺りの講評を踏まえ、次作で内容の濃いものをお願いします。


(2)「早春の上高地」(横山作品 約15分) 

① 撮影機器・編集ソフト等 (オリンパスTG-4/Windows8.1ムービーメーカー)
② 講評
 
今までなかなか行けなかった厳冬期の上高地の様子です。釜トンネルから河童橋。
さらに河童橋から明神池までを約15分強の長い作品にして作成。別途作成の予定。
この時期の上高地は めったに晴れない季節なのですが、日頃の 行いが良かったのでしょう。
稀な好天に恵まれました。 上高地ですれ違うどの人々もみなこの好天に喜び顔がほころんでいました。
さて先輩たちの講評はどうだったでしょうか。
釜トンネルの中の映像が冗長であるという指摘や、ナダレの注意の看板の説明が省けるのではないか
という声がありました。河童橋から明神池に向かう途中で遭遇した 日本猿の群れの映像写真が少し
長すぎるので整理した方が良いとの声がありました。
山小屋のご主人と奥さんとのインタビュー場面の画像が、ピンボケなので残念と言うご指摘が何件が
ありました。この作品を11月の県民会館の上映会に出したらどうかと言う先輩もいました。
いずれにせよ県民会館用には、あと何回かブラッシュアップをする必要があるようです。


(3)「わたしの自己紹介」 (松谷作品 8分50秒)

① 撮影機器・編集ソフト等 (キャノンXA30/Fainal-Cut Pro)
② 講評

 

松谷さんの自己紹介ビデオです。
松谷さんは昨年の11月に神戸映像クラブに入会しましたが 、ご自身の自己紹介も兼ね、明石の街の映像
を撮ってくれました。やはり自分の愛すべき故郷である明石と、父上の実家が今も経営している明石の
魚の棚の鮮魚店の様子等、愛着を持ったいとおしい目線で紹介してくれました。
ナレーションも松谷さん年相応の落ち着いたトーンで終始穏やかに聞かせてくれます。
名人たちの好評では、この作品から二つ作れるのではないかという声もありました。
一つは松谷さんのご先祖様の家系を辿って行く作品。
一つは「わが町明石」の街の紹介。
今回の作品は、この二つが一緒になっているのでちょっと盛り込みすぎたかなというご指摘でした。
石川さんから、明石の名所が色々と案内されているけれど、それらの場所が 明石のどの辺りに位置している
のかという事が分かる地図の様なものが欲しいなという事でした。
この作品は、長さをあまり 感じさせない良い作品だったと思います。


(4)「背割堤の桜」  北沢作品(6分)

①撮影機器・編集ソフト等 (Sony-ActionCam/Adobe)

②講評

 

京都の木津川に背割り桜を取材に行った時の作品です。
快晴の中、SONY のアクションカムを使って桜並木を歩き撮りした映像と船に乗って川から撮った映像
と絡めて、とても綺麗な作品になっています。 今回北沢さんはアクションカムを初めて使われたようです。
その広角映像が 豊田会長のツボにはまり興味が爆発したようです。
なにはともあれ、新しい撮影機器を使っての新鮮な映像製作に挑戦している姿は常に若さを感じます。


(5)「九尺藤もいいけれど」  今井作品 (5分)

①撮影機器・編集ソフト等  (LumixGH3/filmore)

②講評

 

今井さんが住んでおられるご近所の藤の花で有名なお寺に行った時の様子を取材し作品にしたものです。
今井いわく、今回の作品は藤の花やシャクナゲ等その他の花も含めて、全て映像だけで表現したかった
とのことでした。作品にして思った事は、ナレーションで語ってしまえば簡単に済むところを、映像だけ
で表現するのはとても難しいという事だそうです。たまたま今回の作品は花なのでその必要性はそれほど
強くは感じなかったけれども、これが他の対象であったらどうだろうかという事をしみじみと思いました、
と語っておられます。
 さらりと語っておられましたが、映像製作の根幹に触れる深い話ではないかなと思います。
他には、ナレーションがない6分は長いなとの率直な声もありました。 豊田会長からはやはり何も喋ら
ないよりは簡単なコメントでもいいからナレーションが欲しいという指摘がありました。


(6)「港町神戸 1/80レイアウト」 上中作品 (3分)

①撮影機器・編集ソフト等  (Sony PJ-590/Edius-Neo3.5)

②講評

 

神戸のハーバーランド川崎重工の一般客向けのショールームのある場所で撮影してきた作品です。
神戸の街を1/80の縮尺ミニチュアモデルにしたものを展示しています。 それを撮影したものを動画で
観ていると、ぼーっと見てるぶんについてはまるで本物であるように見えるから不思議です。
私を含め、普通の人はなかなかそういうものに興味がわかないのですが、上中さんの芸術家としての目は
釘付けになります。 やはり 芸術脳と言うか 頭の中の物事を鑑別する才能が余人よりも違う方向に優れて
いるのだと思います。
いみじくも北沢さんからは「 なかなかこういう発想は私にはないかなと思いました。 感心して見ていました。」
という声あり。反対に、こういうジオラマというもののどこに面白さを感じさせるかというのはなかなか難しい
という声もあります。
この作品も、ナレーションが全くない作品だったのですが、ナレーションがないととても理解しづらいという
ご指摘もありました。 この作品に、もしナレーション入れるのであればどういう語りになるのかな❓
10人がそれぞれのナレーションを入れたら、十人十色の全く違った作品が出来上がってくるような気がします 。


(7)「浜辺の風景」  豊田作品(3分50秒)

①撮影機器・編集ソフト等  (Sony/Edius-Neo3.5)

②講評

 

豊田さんが 今のところ静止ホバリングのできるミニドローンで撮影した最新の作品です。
豊田さんのドローンにかける 投資方針は、まず1万円以上のものには手を出さない事(小遣いの範囲でやる事)。
人の居ない所で人の居ない時間に撮影する事。その制約の中でついに辿りついた作品がこの須磨浦海浜公園の
人のいない時期に行ってきて空撮したこの作品です。
 さて、クラブの皆さんの講評は❓
まだ太陽が十分に上がりきっていない暗めの海岸で撮った映像は、画像がやや乱れる「コンニャク」と言って
おりましたが、そういう状態になっているシーンもありました。太陽の光の強弱と電波の関係よくわからない
説明がありましたが、豊田さんの最新ドローンはドローンの中にメモリーカードが内蔵されておらず wi-fi で
操縦桿代わりのスマホに画像データを飛ばしている関係でそうなるのだそうです(よく理解できませんでしたが)。
あまりドローンを感じさせない「浜辺の風景」そのものの映像だと思いましたと言うご感想が上中さんからあり
ました。これもまた豊田作品の一つの方向を鋭く示しているのではないかしらと私は思います。
ドローンからの映像はいろんなものと組み合わせることによって、初めて統合されて生きてくるのではないかと
いうご意見の方もおられます。ドローンをやるからには正々堂々と本格的にやればいいのではないか、コスト的
に厳しくなったとしても、正々堂々とやるべきだと思う。 そうでなければ誰も人のいない所に誰も居ない時間に
コソコソと行って、言い訳をしないといけないような映像しか取れないという事になる。 と今日一番の厳しくも
本質的なご意見がありました。
さて、ここまで進化した豊田ドローン映像は、果たしてどこへ行くのでしょうか。動向を注目したいと思います。


(8)「藤まつり」  松谷作品(8分)

①撮影機器・編集ソフト等

②講評

 

本日二つ目の松谷さんの作品「藤まつり」です。 藤の花を見に岡山の和気町、兵庫県北部の宍粟市等
数ヶ所を巡り取材した作品です。
松谷さんの魅力的な声がやや重く聞こえます。ナレーションにまだ肩に力が入ってるのか。滑舌を良く
すればだいぶ印象が変わるでしょう。 和気町藤公園の藤の花は 見事に膨れ上がるように咲いていますが
せっかくの藤の花ではありますが、アップが少ないので薄紫のモヤが垂れ下がってるように見えてる
のが残念です。 藤の花だけでの8分は長いと感じます。ナレーション挿入時のBGM処理に少し工夫が必要です。


(9)「お隣のローズガーデン」  横山作品(4分30秒)

①撮影機器・編集ソフト等  (オリンパスTG-4/Windows8.1 ムービーメーカー)

②講評

 

横山本日二つ目の作品。「お隣のローズガーデン」。
横山の自宅から歩いて10秒のところに、毎年春のバラのシーズンになると、庭から駐車場から全体を
バラの花で埋めるすばらしいローズガーデンが出現します そこにかねてから目をつけていた横山は
ある晴れた日の朝、そのお宅の庭の撮影を許可してもらい、その見事に咲き誇る薔薇を撮影してきました。
ショートショートの 短い作品です。先輩方のご意見はバラの花をとっているんだから、バラの花の一つ一つ
のアップが欲しいとの声が多数ありました。


(10)「油絵修復」  上中作品(8分)

①撮影機器・編集ソフト等  (Sony PJ-590/Edius neo3.5)

②講評

 

上中さん本日2本目の作品です。
「 油絵修復」。
これは上中さんの趣味の一つ、油絵に関する話です。かなり昔に上中さんが製作し寄贈した先から、
汚損した油絵の修復依頼があります。それを受けて上中さん本人が修復を果たすまでの話です。
 上中さんは木版画が趣味というのは承知していましたが、油絵もやっていたとはこの作品を見て初めて
知りました。 そしてこの題材そのものの奇抜さと言うか 、上中さんは油絵を描く事は言うに及ばず修復
までできるのか!と、驚いてしまいました。修復のために必要な化学薬品や修復道具、それを使用する技術
これも素人ではできない事ばかりです。改めて上中さんという人物に対する驚きがこみ上げてきました。
 そして修復を果たした際に、その依頼された油絵は若き日に北アルプス乗鞍岳を春浅い里から遠望した
ものである事が古い写真とともに わかります。この構成も劇的で、まさに起承転結そのものでよくわかり
ました。 今日の月例会で最も素晴らしい作品だと私は思いました。


5.編集後記

(1)今月の作品について

  今月の作品はバラエティに富んでいて楽しめました。季節柄、桜・バラ・藤など花をテーマにした作品が
  多かった様です。その描き方は十人十色で各人の個性が出ていて興味深いものがあります。
  異彩を放っていたのは上中作品です。今月2本上映していただきましたが、大変ユニークです。
  一体いくつの引き出しがあるのか?深い井戸を覗き込んでいるような気持にさせてくれました。

(2)その他

  講評の詳細については、facebookの講評ムービーをご覧ください。

   ➡ https://www.facebook.com/pg/kobe.eizouclub/community/

以上