青磁紀

a fairytale's diary - 或るフェアリーテイルの雑記

さらさらと崩れていく世界

2007-09-08 03:58:37 | アクス系
「セラ」
「何?」
「今俺の右手が無くなるのと、右目が無くなるのと、どっちがヤバイ?」
「手じゃない? 商売道具なんだし」
「左手とか足とか口とかで」
「無理でしょ。貴女が描いてるのは漫画で、芸術じゃないのよ」
「芸術家にシフトしたらいい?」
「できないんじゃない?」
「…できないな」
「それ以前に、……訂正するわ。貴女が『描きたい』のは漫画で、芸術じゃない」
「ご名答」
「はあ。…何の話?」
「最近、死んだ時のことばかり考える」
「…………」
「死ぬくらいなら右手を潰す方がマシか? 描けなくなるくらいなら死んだ方がマシか?」
「勘弁して頂戴。その手の話を逢魔に聞かせるなんてやれやれだわ」
「人間…いや俺は魔属か、んじゃ『生きとし生ける者』は、終わり方を自分で決められると思う?」
「…無理ね。自殺が赦されるほど世界は甘くないわよ」
自殺とかはしない!
「じゃあそれ以外にどうやって終わるのよ!!」
それを聞いてんじゃねえか!!

知らないわよ。知りたくも無いわ!!!
「セラ一緒に死んで?」
「言われなくても死ぬわよ!フルオートで!!!」

「……」

「……」

「やめよう。アホらしくなってきた」
誰が言い出したのよ

「……」

「……?」

「……寝るか」
「……そうね」
「……セラ、そもそもセックスというのは一発ギャグでしかないよな」
「……それはひょっとしてギャグで言ってるの?」
「いや、言ってみたかっただけ」
「知ってるわ。電気消すわよ」
「セラ、今日は部屋じゃなくてここで寝ろ」
「いいけどカラスマスクしてくれる? 貴女寝言凄いから」
「その分寝相激しくなるけどそれでもいい?」
「縛るわよ」


相変わらずの私たちだった。
世界が終わる音が、遠くに聞こえている。


"もしも願いひとつだけ 叶うなら
 君のそばで眠らせて どんな場所でもいいよ"

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