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ポール・ルカ 《上着があろうが無かろうが》

2003年11月02日 | 歌っているのは?
 ポール・ルカPaul LoukaのLPに《上着があろうが無かろうが Avec ou sans veston》(RCA PL37.369)というタイトルの1980年に発売されたレコードがあるが,これがどうやら本邦の巷間では大変な「お宝レコード」に相当するらしいことを比較的最近になって知った。無論,ごくごく一部の限られたチマタにおける話ではあろうけれど。あるいは,チマタというよりもむしろタニマチといった方が適当なのかな(で,誰のタニマチじゃ?)。

 事のきっかけは二,三ヶ月ほど前だったか,インターネットのYahoo! Auctionで,このLPレコードが何と28,000円などというトンデモナイ高値で出品されているのを見付けたことによる。しかも,それに対して入札する人物が存在して立派に取引が成立したりするのだからさらに驚いてしまう。まったく,どういう連中じゃ! なんでだろ,なんでだろ? 謎は謎を呼ぶ。

 それ以来,ネット・オークションにおいては,もともと興味のある図書資料関係やパソコン関係のみならず音楽関係の出品取引動向についても少しばかり丹念に注目するようになった。すると,超バカ高値段の出品物に共通して見出される特徴として,「サバービア」とか「オルガンバー」などという訳のわからんレッテル,というかオマジナイが添付されていることに気が付いた。それによって高値出品がOKとなるらしい。あるいは,そのことにより入札価格が高騰するらしい。

 ちなみに現在,ヤフオクの音楽・レコード・ジャンルにおいて「オルガンバー」というキーワードで検索をかけてみると,7万円以上(!)の売値が付けられた商品が2件,7万~4万円の商品が5件,4万~2万円のものが14件,2万~1万円のが18件ほど出品されている。「サバービア」で検索しても概ね似たような結果が得られる。このことは極めて特殊日本的な現象なのかどうか,その辺の事情は無知な私にはよくわからないが,いずれにしてもまことに不思議な世界におけるまことに気が滅入る話ではある。単にコバンザメ商法というにとどまらない,強請・集り,脅し・好かしの跳梁跋扈する不純な渡世であるといっても差し支えあるまい。もちろん,サバービア氏とかオルガンバー氏には何の落ち度も悪気も思惑もないのかも知れないが(実はあったりして?)。 想像するに,水先案内人(パイロット)としての本来の重要な責務は立派に果たされているのだろうが,そもそも当該水域内の水象や微気象や地形等の環境要因(それはすこぶる閉鎖的環境である)が著しく歪んでいるため,あるいはカンジンの本船操縦者にチャランポランな輩が少なからず存在するため,結果としてしばしば「着岸失敗」が発生している(それも,かなりの頻度で)。大体そんなところだろうか。

 あ,以上のグダグダは無知に基づく勝手な妄想でありますからして,関係者は気にしないで下さい。で,当のLPレコードについてであるが,本邦のチマタではもっぱら標題曲のみが特にモテハヤサレテいるらしい。


  僕はやって来た
  君に希望を語るために
  オロカな夢や
  クソマジメな心を語るために

  僕はやって来た
  君の住むイル・ド・フランスに
  ほら,君はそこにいる
  約束に対しては誠実な君だから

  僕はやって来た
  夜空の星を見上げながら
  補助椅子のあいだを通り
  中央に置かれたマイクロフォンを通って
  君のバルコニーまで

  君を招待しよう
  さあ,僕の庭においで



 なかなかにオシャレでノリの良いアレンジで飾られており,その渋い骨太の声色とあいまって,いかにもタニマチでの受けが良さそうな佳曲に仕上がっている(で,そのマチは全体何処にあるんかいな?)。 ポール・ルカにおけるこのような一面を私とて決して否定するものではない。ただ,私の本来の嗜好としては,《世界を止めてくれ》《いじけた心》などの歌に見られる少々古風で不器用な,しかしあくまで真っ正直な人格(=デクノボー的人格)から滲み出るリリシズムをより好ましく思っており,また,そうあればこそのポール・ルカだと思っている。要するに,どこかに宮澤賢治との共通項を感じているのだ(我ながら,相も変わらず青臭いなぁ)。

 ところで私が現在所有しているこのLPは,以前古レコード屋で14ユーロ(約1,700円)で入手したものである。そんなに昔の話ではない。海外のマーケット相場なんて,だいたいこんなものだろう。で,もしこれをネット・オークションに出したら,一体幾らに化けるのだろうか? もともとモノに対する執着心はない方なので,今後もし当方の懐具合が淋しくなったりしたら,この「お宝」をひとつオークションにでも出品してみようか知らん(いや冗談デス)。

 それにしても,昨今はこんなネタばかりが続いて我ながら少々ミットモナイとは思うのだが,ま,これもいわゆる「世直し」の一環である(苦笑),と自ら肝に銘じておきたい。
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