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地方都市における公共事業予算配分 (シアワセの在庫量)

2000年04月06日 | 日々のアブク
 数日前,家に届いた市の広報に『平成12年度予算のあらまし』という一般市民向けの本年度予算の概要説明が載っていた。そこでは,総額約740億円の予算が「自然と調和した快適なまちづくり」,「心のかよいあう健康なまちづくり」,「環境にやさしい安全なまちづくり」,「文化と創造性をはぐくむ心豊かなまちづくり」,「活力ある産業を基盤とする豊かなまちづくり」といった施策テーマのもとに分配されるとして,主要な事業内容及び予算額が列挙されていた。ちなみに,私が住んでいる町は人口約17万人,都心から70キロ近く離れた神奈川県下の地方都市であり,県庁所在地である横浜市の平成12年度予算(約3兆1,600億円)などと比較すると40分の1以下のごくごくツツマシイ予算規模である。

 我が住む町の経営内容チェック,というか,自分の払った税金がどのように使われてゆくのかを紙上で検証するのは,それはそれでなかなかに興味深い作業である(私事ながら昨年度はとりわけ沢山の税金を払ったような気がするものであるからして,尚更のこと)。

 基本的な構図としては,恐らくどこの地方自治体においても普通に見られるような『土建行政と福祉行政のせめぎ合い』であるわけだが,それでも「通学路やガードレールなど交通安全施設整備のために:5億8,789万円」とか「民間保育所増改築の助成として:8,225万円」とか「防犯灯の設置・維持のために:5,787万円」とかいう項目を目にすると何やら嬉しくなって我知らず目を細めてしまう。反対に「鶴巻日帰り温泉鶴の湯(仮称)の建設のために:2億4,848万円」とか「弘法山公園展望台等の整備のために:1億7,944万円」とか「赤十字病院の移転を支援するために:5億円」とか,さらには「男女共同参画社会の実現のために:851万円」とかの項目には,ヲイヲイ何じゃそれは,と思わず眉をしかめてしまう。

 全体としては,残念なことに眉をしかめる割合の方が多いような気がする。その代表例を挙げれば「本町中学校前人道橋の架け替えのために:2億6,000万円」なんてヤツがある。若干の説明を加えると,これは当市のほぼ中央部を貫流する水無川にかかる人道橋で,市役所や警察署,赤十字病院などにほど近い,すなわち比較的目立つ“ハレの場所”に存在する。付近の河道幅は約45m,流れ幅はせいぜい10m位だろうか。現在の人道橋は,少なくとも私が見る限りでは,特に老朽化しているようにも,ましてや今にも崩壊の危険があるようにも全く思われない。その人道橋を2億6,000万円もの大金をかけて架け替えるという。別に新たに車道橋として改築するというわけでもないのに(既存の道路網から見てもそれには少々無理がある)。

 最初,その予算額は一桁間違っているのかと思った。次に,これは誤植であってほしいと切に願った(真偽のほどは定かではない)。毎年11月に行われる『市民の日』の時期になると,水無川の流域には工事現場の足場を組むようにして鉄パイプとコンパネによる仮設人道橋が何本か掛けられるのだが,その程度の人道橋ならは数10万円もあれば作れるでしょうに。もっとも,それでは幼児やジーサンバーサンに対する安全が覚つかないだろうから,もう少しフンパツして500万円,いや1,000万円もあれば充分に安全かつ実用に適した人道橋が作れるだろう。

 それでもなお,上記の金額が正しいというのであれば,その向こう側には何やらイヤーな将来像が蜃気楼のように予見されるような気がする。京都・賀茂川の芸術橋(ポン・デ・ザール)計画ではないが,目をそむけたくなるようなオブジェが出現しはしまいかという恐怖心さえ抱いてしまう(まさか黒川紀章あたりに既に設計を頼んじゃったなんてことはないでしょうな!)

 どのような密室謀議の末にその人道橋の架け替えが決定されたのかは私ごとき一市民には全く関知せぬところである。単に自分が無知なだけか? いや,大部分の市民(推定95%以上)にとっても恐らく同様だろう。しかしねぇ,それだけの大金,例えば「預かり保育の施設改修のために:1,000万円」とか「図書館資料検索機の設置のために:44万円」とかの方には何故回らなかったのだろうか? さて,誰が得して誰が損した? プラス・マイナス仕合せの在庫はいくつ? (c)中島みゆき

 おっと,何やら『吉野川第十堰改築』反対論者の口調になってきちまったぞ。春先はこれだからイケナイ。改心改心。
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