ドイツ・ベストセラー・ウォッチングと翻訳日記

ベストセラーの向こうにドイツの今が見えてくる

ボン大学の日本学(Japanologie)

2010年11月03日 14時05分06秒 | 日記

翻訳にあたって常に心強い味方である友人のアンドレアス君は、旧西ドイツの首都ボンに生まれ、ボンで育った。大学も地元のボン大学を卒業し、現在はその大学に勤めるという、故郷を愛してやまない筋金入りの(?)ボンっ子である。
彼の修士論文「Bonn-Berlin: Die Debatte um Parlaments- und Regierungssitz im Deutschen Bundestag und die Folgen」(ボンとベルリン―ドイツ連邦議会における議会および政府の所在地に関する論争の顛末)は一冊の本にもなっている。

そんな彼が、あるとき、ボン大学には「日本学」(Japanologieヤパノロギー)という学科があるんだよと教えてくれた。オリエント・アジア研究所内の一部門で、Koreanistik(朝鮮文化研究)とセットになっている。(なお、友人はこの「日本学」を専攻したわけではない)
興味のある方は以下のURLにアクセスしてみてください。
http://www.ioa.uni-bonn.de/abteilungen/japanologie-und-koreanistik
「日本人留学生のためのオリエンテーション」という日本語での案内サイトもあります。

で、どんなことをやっているのかというと、以前、修士論文の一覧を日本語で公開していたことがあるので、そこから拾ってみると、こんなタイトルが並んでいる。
「日本の新興宗教と阿弥陀仏教」
「80年代におけるビデオ文化の社会学的分析」
「日本連合赤軍における永田洋子の役割と責任」
「徳川時代における農民社会の女性」usw.(etc.)
PDFを添えておきますので、関心のある方はこちらを。
一読しておわかりのように実に多彩である。しかも、ここに掲げたのは全部一人の教授が18年間の在職中に指導したものだそうだ。
要は、日本をまるごと理解しようという姿勢である。日本のように文学部のなかのドイツ文学とか、哲学科のなかのドイツ哲学とかといった区分ではない(今は日本の大学も変わってきているのかな?)。

そして、この「日本学」の存在を知り、その中身を知って以来、改めて感じたのが、自分がやりたかったのは、「ドイツ文学」ではなく「ドイツ学」(Germanistik)だったのだなということ。そこには、いろいろな書物を通してよその国を丸ごと知ることの面白さがある。いつまでも、ゲーテ、カフカじゃないだろう、自分が生きている今の、同時代のドイツを知ったほうが面白いじゃないかというわけだ。


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