ドイツ・ベストセラー・ウォッチングと翻訳日記

ベストセラーの向こうにドイツの今が見えてくる

Buchpreis 2010(ドイツ書籍賞)決定

2010年10月05日 23時41分55秒 | 文学賞
10月4日、2010年のDeutscher Buchpreis(ドイツ書籍賞)が発表になった。

受賞者および受賞作は
Melinda Nadj Abonjiという人の„Tauben fliegen auf“(鳩が舞い上がる)

メディアの反応を見ると、「サプライズ」受賞だったらしい。

まず「SPIEGEL」誌が„Überraschung“(=surprise)であるとし、
「Focus」誌も“ Außenseitersieg(アウトサイダーの勝利)でセンセーションなことと言い、
「Tagesspiegel」紙は最高の作品であるThomas Lehrの „September. Fata Morgana“が受賞してしかるべきだった
と伝えている。

著者のMelinda Nadj Abonjiはセルビアの出身。1968年生まれ。現在はチューリヒ在住である。
この作品は、Jung und Jungという小さな出版社から今年の7月末に出たばかりで、
ベストセラー・リストにも載ることはなかったが、
ドイツ・アマゾンを見ると、さっそく書籍全体で6位に入っている。
ベストセラー・ウォッチャーとしては、買わないわけにいかない。

ちなみに、外国人によるドイツ語作品に対する授賞ということで、
どうも出版業界の戦略的な思惑も絡んでいるような気がしないでもない。
一昨年、この賞のプロモーションで来日した担当者が、
この賞を通して世界に通用する作家・作品を育てたいというようなことを
言っていたからだ。
ドイツ国内で売れるだけでなく、各国語に翻訳されヨーロッパ全体で、
ひいては世界で売れる作品を、というわけだ。

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