
最晩年の埴谷雄高が、大好きなハンガリーの貴腐ワインをチビチビ飲みながら、細々とノートを付けている写真が残っている。
どうやら『死霊』の次章のためのメモのようだ。
飲みながら、書きながら、哲学する作家の楽しさが想像できる。メモの量も膨大で、インタヴューには、
「いろいろ考えているだけで、まとまったものにはなりゃしませんよ」のようなことを平然と答えている。
まとまったものに昇華するか否かは別として、創作のプロセスを踏んでいる間の楽しさは、作家にとって何物にも代え難い。
【Yukino / We Are The World】