木々の葉が柿色に染まるこの季節。
山並みを背景に、紅葉が『日本の秋を語るに必要な風景』であることは疑う余地はありませんが、都会のビルの谷間の、くすんだコンクリートで護岸された水路沿いの広葉樹の色づきも、それはそれでまた都会らしい秋の色です。
さて、都心の散策がてら白金まで足を伸ばすと、イチ子は急に思い出したように『サン・モリッツ(洋菓子店)』に寄ってガレット・デ・ロワでお茶にしましょうと言う —— 確か、店のレンガ造りの階段を下れば、巴里の石造りの店を思わせる、割かしこざっぱりしたカフェもあったような気がするのだが...。