いやぁ素晴らしい。冒頭から褒め言葉しか出てきませんが、期待を遥かに上回ってきました。ホントに凄い。
嵐
「復活LOVE」
2016/2/24リリース
ジェイ・ストーム
JACA-5579（通常盤）
嵐の今年第一弾シングルが山下達郎作品であることは驚きと期待と、ほんの少しの不安を感じさせました。そして１月に行った達郎のコンサートで、イントロは御大自身が弾くカッティングだという話を聞いて不安は薄まり期待は更に増していきます。
ラジオで最初にオンエアされたものを聴いて、期待以上の出来に痺れましたが、こうして出来上がったCDをヘッドホンで楽しんでいると、その拘りっぷりに頬が緩んでしまいます（笑）
作曲・アレンジ・ギター・そしてコーラスまで山下達郎が手掛けた作品、悪かろうはずはありませんが、これ程までとは・・・・
冒頭、たった５秒のギターカッティングが全てを持っていってしまう。間髪いれず流れ出すダイナミックで流麗なストリングスと相まって一気に“あの頃”の世界に誘われる。ストリングスアレンジは牧戸太郎さんでストリングスは今野均さんの様です。インスト聴いてるとストリングスの素晴らしさが際立ちます。
大野くんのヴォーカルを中心に、相葉ちゃんのフックの強いボトムとニノの安定したミッドロー、翔くんの素直でフラットな歌唱、潤くんのハモなど、各人の歌声が活かされた歌に、グルーヴィなサウンドと親しみやすいメロディが完璧に噛み合った日本でしか生まれない至高のジャパニーズグルーヴです。初期の青い歌唱とグルーヴィな楽曲のコントラストも好きですが、経験に裏打ちされたアダルトでアーバンな歌声とグルーヴチューンの相性の良さは格別でした。初期ディレクターの鎌田俊哉氏が思い描いた世界が、この２０１６年に結実したのではないかと勝手に想像していたりします。
そして、このシングル通常盤が素晴らしいのは、カップリングの充実ぶりにあります。タイトルチューン以外の３曲、そしてインストルメンタルを含めた全８曲全てがカッコいいという稀有な１枚。
２曲目「愛のCollection」は最近の嵐楽曲の主流派であるEDM。しかしイントロにアンビエントな風味を塗したり、ファンキーなスラップベースを印象的に使ったり、非常にJ-POP的に細かい拘りを感じられる。作曲はサウンドグラフィックス社の提携クリエイターであるスウェーデンのChris Meyer、アレンジがお馴染みの吉岡たく氏ですから、この辺りの色々と詰め込んで飽きさせない感じは吉岡氏の仕事かなと。インスト聴いてから本編に戻ると更に楽しめる感じがします。
３曲目「Bang Bang」に至ってはウッドベースが印象的なビッグバンドジャズ風味の曲。ストリングスやクラリネットの音がオトナな世界を垣間見せる。古のハリウッドやラスベガス的世界観が“ザ・エンタメ”って感じなんですが、Bメロとサビ後半のメロディアスなバッキングが柔らかくて実に良い感じ。作曲は４名の外国人によるコライトですが、アレンジは安定の石塚知生氏。素晴らしいお仕事をまた見せていただきました。
そして４曲目「Are you ready now?」ですが、私はこの曲がタイトルチューンに匹敵するくらい好きです。「Love Wonderland」をブラッシュアップした様なアーバン・オリエンテッド・グルーヴで気持ち良いことこの上ない。インスト聴いてみると好きなファクターが満載です。小気味良いギターカッティング、グルーヴィなベースライン、歯切れのよいホーン、ダイナミックに高揚感を演出する鍵盤、そして何よりもエモーショナルにアダルトな空気を支配するサックスソロ。どうも、このサックスは山下達郎のツアーメンバーで同じ事務所に所属する宮里陽太くんが吹いているとのこと。作曲とアレンジは先のアルバムで「イン・ザ・ルーム」を作ったJeremy Hammondだが、達郎氏も少し噛んでいたりするのか？なんて想像してしまう（笑）いや、それくらいのクオリティなんです。めっちゃカッコいい。
この充実したシングルを聴いてて薄っすら思う事は、このシングルに収められた曲たちには今までジャニーズポップが積み重ねてきた輝かしい楽曲が根底にあるという事なのだ。Kinki KidsやV6や少年隊やSMAPが築き上げてきた世界が全てこのシングルにある様に思う。
これはアルバムもこの世界観で作ってくれたら幸せだな～、なんて期待しつつ、このシングルが今までジャニーズを敬遠してきた様な層にも届いて欲しいと願うのみ。
勿体ないですよ、これだけの楽曲を先入観で敬遠するなんて（笑）
