goo blog サービス終了のお知らせ 

わが庵は 都の辰巳 しかぞすむ ~通り土間と薪ストーブの家作り記~

通り土間と薪ストーブのある家を建てる新婚夫婦の物語
→通り土間と薪ストーブのある家で暮らす農業日誌的ブログ
夫時々妻

延焼ライン

2010年08月28日 | 法律・手続
延焼ライン(正しくは、建築基準法第2条第6号で定義されている「延焼のおそれのある部分」というが、
設計者と建築確認の審査者とのやりとりの中では、建物の一部が延焼の恐れのある部分に
入っている場合、「延焼ラインにかかる」という表現をよく使う)とは、
隣地や隣接する建物からの火災が延焼する可能性の高い範囲を示すもの。
なので、隣地境界線や隣接する建物から一定の範囲(1階は3m、2階以上の階は5m)内が
「延焼の恐れのある部分」となる。ただし、道路や川など火災が発生する可能性の低い場所に
面している場合は、前述の「一定の範囲」が緩和されることになる。
で、何故延焼ラインを取り上げたかというと、建物が延焼ラインにかかっている場合、
建物外部の意匠が制限される可能性があるから。
その制限とは、建物を建てる場所(地域的なもので、防火地域・準防火地域・法第22条区域・
それ以外の地域、の4つに分けられる。前二者は都市計画法によるもの、法第22条区域は
建築基準法第22条によるもの。)や建物の規模・構造・用途などによって様々。
我が家の場合は、準防火地域で木造2階建ての一般的な住宅なので、
延焼ラインにかかる建物外部(外壁・軒裏・外壁の開口部)に一定の防火性能が課せられている。
具体的には、外壁・軒裏は防火構造(建築基準法第62条第2項)、
外壁の開口部は防火設備の設置(建築基準法第64条)が求められている。
色々専門用語が出てくるが、要するに、
・延焼ラインにかからない部分は特に規制がないので、外壁に木材を使用したり、
 軒裏をあらわしたり、外壁の開口部に木製建具を使用したりすることが自由にできる、が、
・延焼ラインにかかってくるとそれらが困難になる、
ということ。
前述の「法第22条区域」であれば、軒裏及び外壁の開口部の制限はかかってこないし、
「それ以外の地域」であればいずれも制限はかかってこなかったりするので、
土地の購入の際にその辺りを考慮して選定するのもあり。
我が家の場合、準防火地域だが土地が広いので、クカニアさんが最初に提案してくれたプランは、
何と延焼ラインに全くかからないものだった。これにはびっくりしたが、
贅沢にも敷地の真ん中に建物が配置され、流石に土地利用がもったいないので、却下となった。

※画像クリックで拡大


それでも、延焼ラインにかかっていたら、外壁に木材を使用したり、軒裏をあらわしたり、
外壁の開口部に木製建具を使用したりすることが全く不可能になる、ということではない。
先ほど記した通り、困難になるだけである。
外壁に下見板を使用する防火構造が告示に規定されているし、軒裏から建物内部へ
火が延焼しないようにすれば軒裏をあらわしにできるし、木製建具でも防火設備として
認定を受けているものがある。実際にこれらをするには、手間や費用がかかってくるし、
一定の基準の中で可能なので、自由にはできない。
だから、個人的には、これらを実現するためには設計者と施工者の能力・質
(外壁に木を使用した防火構造があること、延焼ラインにかかった軒裏をあらわしにできること、
防火設備の認定を受けた木製建具があること等を知っていて、施主に説明・提案できるか。
また、それを施工できるか。)にかかっていると思う。
こんなことはやって当然なのだが、それができない・やらない設計者・施工者が多いと思われる。
そもそも、こういうことができる、という選択肢を施主に与えることができる設計者・施工者に
建築をお願いしたい。その点では、いの一番に、土塗り壁+下見板貼りの外壁(防火構造)
でのプランを提示してくれたクカニアさん、防火構造が求められる軒裏部分をあらわしに
してくれたハチセさんに設計・施工を依頼したのは良かったと思う。


記事が気に入ったらぽちっとな→人気ブログランキングへ


最新の画像もっと見る