こたつdeみかん

みかんの国産まれの吾輩が綴る八百八町江戸日記

吾輩、東欧ぶらり旅 の巻(11)

2005年04月08日 | 旅~ゆけ~ば~
【Round17:バベルの塔と神の兵法】

早起きOK 朝飯OK いざ行かんウィーン美術史博物館へ。
ウィーン美術史博物館はリンク西側方面、市外中心から程近い。嬉々として入場。
絵画、彫刻、工芸、古楽器などの他、エジプト、ギリシャ、ローマなどの古代美術も充実。フェルメール・ベラスケス・ルーベンス・レンブラント・ラファエロなどの誰でも名前くらい聞いた事のある巨匠の傑作、さらに世界最大のブリューゲルコレクションを所蔵している。
「極上ダゼ(≧∇≦)b 」

時間帯のせいなのか館内の空気はキーーーンと音がするほどに静かで、美術鑑賞に最高のコンディションである。素晴らしい時間が流れる。
程よい硬さのソファが随所にあり、また二階にカフェテリアが設置されており、そらもう優雅にのんびりと時間を過ごす事が出来た。

欧州の作品展示の仕方を見る度に、日欧の美術品と鑑賞者の関係性の違いを感じる。
日本の美術館はたかだか数百万の美術品ですらガラスケースで後生大事に囲っておる
一方、欧州の美術館では美術品と鑑賞者の間には何にも無い。ン十億円級の絵画が、手の届く距離にあり、鑑賞者と絵画とを隔てるものは無く、あってもロープ一本に過ぎない。例えゴッホの自画像であろうと、である。
そこまで信頼されたらば、一個の鑑賞者として真摯に向き合わざるを得ない。一見何も無いように見えるが、作品と鑑賞者の間には"作者への敬意と畏怖という緊張感"があると言えるのかも知れん。

芸術とは受け取り手がその素晴らしさを感じ取ってこその物である。
作者の筆遣いを感じられる位の距離で見られる欧州、芸術品をガラスで隔てて単眼鏡が必要な程遠くに据える日本と、どちらが良い環境かは言うまでも無い。

とはいえ、日欧問わずフラッシュばしばし焚くおばさんとか、ややもすると触りそうなガキンチョとか居る訳だ。
吾輩なら…ガラスで囲って銃携帯の警備兵配置で踏み越えたら射殺である。相当額の保険をかけているんだろうが、館長いい度胸であるな。


さて、ブリューゲル作品は絵の端々に至るまでストーリーが流れており、多くの人物がそれぞれの行動を取っている。よく見る事で「ウォーリーを探せ」的な楽しさがある。日本式の展示では十分に味わえない作家といえるだろう。
ブリューゲルコレクションの中に「バベルの塔」があった。会社にてとある困ったさんのプレゼン資料一枚目でドアップ見せられて面食らった事もある思い出深い作品だ。現物を見られてとても嬉しかった。

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"バベルの塔"の伝説を知っているだろうか?旧約聖書 創世記11章にある。
概略を述べると以下のような話である。
①むかーしむかし、人々は皆は同じ言葉を使っていた。みんな仲良し。
②相互協力によりどんどん人類発展。神様びびる。
③ある時、人の王が"神の国に届く塔の建設"を提案。建設ドンドコ進む。
④神様怒る。雷で塔を破壊。人々の言葉を乱した。
⑤人々は互いに争うようになり、神を脅かすような力を結集する事は無くなった。
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吾輩子供の時分にこの伝説を知り、遥か紀元前の昔にも情報戦の重要性が説かれていた事に大いに感心したものだ。

「敵の三分の一を力で討ち、三分の一を諜報で惑わせれば、残り三分の一は自ずと滅ぶ」と兵法にある。
雷(力)と言語の撹乱(諜報)を駆使し、人類を自滅の道へ誘った。実に優れた兵法である。
思えば、キリストもマホメットもブッダも、人々の安寧をそれぞれに考えただけで、大きなベクトルを同じくしている訳であるから、アラブ世界とキリスト教世界の千余年に及ぶ泥沼の争乱も、言葉さえ通じれば・相互に正しく理解し合える素地さえあれば、その多くは回避できたものなのかも知れん。
げに恐るべきは神謀鬼策、哀れな人類、である。


【Round18:甘味と望郷】

美術史博物館での濃厚な時間を終え、想定したミッションの全てを完遂した吾輩。明日はいよいよ帰国の途、という事でお土産を買いに行く事にした。
吾輩甘い物があまり好きではないので良く分からんのだが、ウィーン名物らしいので"ザッハートルテ"に決定した。
HOTELザッハーの位置はリンク南側から程近い。帰り道だしちょうど良い。
記述によると
・HOTELザッハーのある天才菓子職人が作ったチョコレートケーキ
・秘伝のレシピが流出し、コピー商品が発生。商標を巡って「甘い7年戦争」と呼ばれる裁判になった事もある。
・観光名所の一つとして観光客でにぎわっている。
吾輩が到着したのは日も沈みかけた夕刻。
カフェで茶をシバいておる客はそこそこ居るが、観光客の群れの姿は無く良い感じだ。せっかくであるから吾輩も茶をシバくとしよう。
記述によると「手加減無く甘い」との事。重ねるが、吾輩甘い物好きではない。だが"郷に入ってはサルも木から落ちる"という。
席に通され、注文完了。程なく到着したザッハートルテとメランジェを食す。

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【ターゲット分析】
[名称]ザッハートルテ
[外部]上部・背部のチョココーティング装甲の厚さ1.5~2mm、ツルリと黒光りの光沢有り。
[内部]スポンジ部は高さ3.5~4cm、深いこげ茶色。下部から1.5cmの部分に2mmの赤黒い層が挟み込まれている。アンズジャムと思われる。
[備考]横に生クリームがたっぷり添えられている。
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戦闘開始・・・あまぁぃょう・・・ 。・゜・(ノД`)・゜・。
チョコ部分、ザラメでも混じってるのか?ジャリジャリ音がする。スポンジ部分もヘヴィーに甘々である。アンズジャムが僅かに甘酸っぱさを醸し出すが、一口で吾輩の舌は昏倒しておる。甘過ぎると舌が痛くなるとは・・・これは予想以上であった。

メランジェで口直しをする。隣の人は砂糖をドバドバ入れていたが、吾輩ノンシュガー。
ザッハートルテとはこういうものらしい。そして本来の味わい方は、添えられた"無糖"の生クリームと合わせて調整しながら食すのである。多めに合わせて再挑戦。

・・・ホウ、殺意すら感じた甘味が旨く緩和されている。甘味の洪水の為に感じ取れなかったアンズの酸っぱさが、生クリームに乗る事で広がりを見せ、主張しておる。上部のザラメについても甘味が緩和された事で初めて、食感のアクセントとして楽しむ為の存在である事を理解できた。こいつは単体で食うものではないのだな。一個完食までに生クリームお代わりを頼んだのは言うまでも無い。
お土産にいくつか購入しておいた。


さて甘く苦しい時間を終え、吾輩、晩飯を食いつつふと思う。
「そろそろコメのご飯が食べたい・・・カレーと納豆と味噌汁とコーンスープが食いたい。」
大体旅も終盤になると日本に帰りたくなる。吾輩はコメを求め、コメも吾輩を呼ぶのである。地球の裏に居てもアナタが恋しく思えるのである。

・・・コーンスープはメニューにあったので頼んで食っといた。

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