お疲れ様です。
鍋が恋しい季節となりましたがいかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は雑誌記事のご紹介と若干のコメント。
知る人ぞ知る雑誌ZAITEN(月刊財界展望)2009年1月号に
『レポート:公認会計士・細野祐二が読み解く
食用きのこ・ホクトの「減価償却費マジック」 』という分析記事があります。
細野先生は、拙稿「法廷会計学vs粉飾決算vs財務アナリスト」でご紹介したように、今や粉飾分析の第一人者。
リード文を見てみますと・・・・
----------------------------------------------------------------
設備投資しても減価償却が減っていくという、不可思議な事象が起きている。
マジックマッシュルームによる幻覚をみているのか。
平成11年からほぼ右肩上がりで伸び続け、純利益も高い水準を保つ。
同時に毎年のように新設する工場、この18年間に16もの数を増やした――。
---------------------------------------------------------------------
・・・てな具合で、ホクトのミステリーをプロの視点で分析されております。
詳細は実物でご確認ください。
現象面を決算短信で確認します。
H20/3期決算短信のp.39「製造原価明細書」
確かに経費が前年の127億円から124億円へと減少。
同じページの脚注※3経費の内訳を見ますと、
減価償却費 1,849百万円→ 2,214百万円
リース料 2,378百万円→ 1,020百万円
当社は数年前から設備を簿外リースから自社保有に切り替えたことが大きく影響
しているようですが、リース料の減少幅が減価償却費の増加幅を大きく上回って
おります。リース料も大半が減価償却費ですから、細野先生の言う
「増収なのに、減価償却費が減っている!」ことになりますね。
で、同氏の分析結果をざっくり申し上げれば・・・・、
簿外のリースは損金メリットの取れる限度の耐用年数5年で計算されており結果と
して高めに計上(そのため償却も進みやすく、このまま行けばリース契約残高が
3年後に消えることになると)。
一方、自社保有の償却資産は7~8年と長めの耐用年数で年間の減価償却費を
抑える、といった具合に、合法的に使い分けながら費用処理しているということが
背景にあるとのことでして、
これ自体は大きな問題はなさそうな印象がしました。
ただし、リース契約残の減少ピッチの早さは釈然としませんでしたが。
もう一つの論点が、連結対象外ですが、当社の社長さんが100%出資している
親密な会社「九州興産」の存在。
(長野県長野市にあるってところがいい。何かをカモフラジューしたがっている
ような雰囲気を醸し出しております。)
で、この会社は、第三者のリース会社から当社がリースを受けていたきのこ栽培
設備を買い取って、当社に賃貸していたのです。
当社から九州興産への支払リース料は、H18/3期に173百万円、H19/3期に
164百万円。そしてH20/3期には当該取引は解消・・・・・。
第三者に転リースしたとのこと。
確かに何だかよく分かりませんね。
細野先生氏は同社は「緊密な者」であるのだから、そもそも同社も連結して
見るべきであり、当社の連結経常利益72億円というのは額面通り受け取れない
のでは・・・・との意見表明で論考を締めくくっておりました。
ざっとナナメ読みして覚束ない記憶で書き記しているため、曲解していたら
申し訳ありませんが・・・・、
確かに何か釈然としないものを感じた財務諸表だとは思いますね。
実際、私も某メーカーでオーナー系の連結対象外の会社が某メーカーの
リースを請け負っていたというケースを見たことがあります。
かように、同族系・連結対象外のリース会社ってのは一定の旨味が
あるかも知れませんね。邪推ですけど。
ただ、短信段階ながら単体の製造原価明細や関連当事者との取引の注記を添付する
など、その開示姿勢は一定の評価ができるのではないでしょうかねぇ。
というのも、会社によっては、リースの注記すら付けない短信がありますから。
まっ、こうした指摘を受けて、当社IRサイドでも疑問を解消してくれれば
いいかなと思いますけどね。
それよりも何よりも、私は、細野先生が一歩、大きく踏み出したという点を
(誠に僭越ながら)評価したいですね。
つまり、これまで同誌で取り上げた企業は、
リーマンや石川島播磨やニイウスコーなど「すでに問題が表面化した会社」ばかり。
それが、特段火の気が無かったと見られる「ホクト」を取り上げたワケですから、
相当に覚悟と勇気が要ったと思います。
・・・・であれば、そのうち取り上げて下さいね。ヤ○ダ電機のポイント処理を。
鍋が恋しい季節となりましたがいかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は雑誌記事のご紹介と若干のコメント。
知る人ぞ知る雑誌ZAITEN(月刊財界展望)2009年1月号に
『レポート:公認会計士・細野祐二が読み解く
食用きのこ・ホクトの「減価償却費マジック」 』という分析記事があります。
細野先生は、拙稿「法廷会計学vs粉飾決算vs財務アナリスト」でご紹介したように、今や粉飾分析の第一人者。
リード文を見てみますと・・・・
----------------------------------------------------------------
設備投資しても減価償却が減っていくという、不可思議な事象が起きている。
マジックマッシュルームによる幻覚をみているのか。
平成11年からほぼ右肩上がりで伸び続け、純利益も高い水準を保つ。
同時に毎年のように新設する工場、この18年間に16もの数を増やした――。
---------------------------------------------------------------------
・・・てな具合で、ホクトのミステリーをプロの視点で分析されております。
詳細は実物でご確認ください。
現象面を決算短信で確認します。
H20/3期決算短信のp.39「製造原価明細書」
確かに経費が前年の127億円から124億円へと減少。
同じページの脚注※3経費の内訳を見ますと、
減価償却費 1,849百万円→ 2,214百万円
リース料 2,378百万円→ 1,020百万円
当社は数年前から設備を簿外リースから自社保有に切り替えたことが大きく影響
しているようですが、リース料の減少幅が減価償却費の増加幅を大きく上回って
おります。リース料も大半が減価償却費ですから、細野先生の言う
「増収なのに、減価償却費が減っている!」ことになりますね。
で、同氏の分析結果をざっくり申し上げれば・・・・、
簿外のリースは損金メリットの取れる限度の耐用年数5年で計算されており結果と
して高めに計上(そのため償却も進みやすく、このまま行けばリース契約残高が
3年後に消えることになると)。
一方、自社保有の償却資産は7~8年と長めの耐用年数で年間の減価償却費を
抑える、といった具合に、合法的に使い分けながら費用処理しているということが
背景にあるとのことでして、
これ自体は大きな問題はなさそうな印象がしました。
ただし、リース契約残の減少ピッチの早さは釈然としませんでしたが。
もう一つの論点が、連結対象外ですが、当社の社長さんが100%出資している
親密な会社「九州興産」の存在。
(長野県長野市にあるってところがいい。何かをカモフラジューしたがっている
ような雰囲気を醸し出しております。)
で、この会社は、第三者のリース会社から当社がリースを受けていたきのこ栽培
設備を買い取って、当社に賃貸していたのです。
当社から九州興産への支払リース料は、H18/3期に173百万円、H19/3期に
164百万円。そしてH20/3期には当該取引は解消・・・・・。
第三者に転リースしたとのこと。
確かに何だかよく分かりませんね。
細野先生氏は同社は「緊密な者」であるのだから、そもそも同社も連結して
見るべきであり、当社の連結経常利益72億円というのは額面通り受け取れない
のでは・・・・との意見表明で論考を締めくくっておりました。
ざっとナナメ読みして覚束ない記憶で書き記しているため、曲解していたら
申し訳ありませんが・・・・、
確かに何か釈然としないものを感じた財務諸表だとは思いますね。
実際、私も某メーカーでオーナー系の連結対象外の会社が某メーカーの
リースを請け負っていたというケースを見たことがあります。
かように、同族系・連結対象外のリース会社ってのは一定の旨味が
あるかも知れませんね。邪推ですけど。
ただ、短信段階ながら単体の製造原価明細や関連当事者との取引の注記を添付する
など、その開示姿勢は一定の評価ができるのではないでしょうかねぇ。
というのも、会社によっては、リースの注記すら付けない短信がありますから。
まっ、こうした指摘を受けて、当社IRサイドでも疑問を解消してくれれば
いいかなと思いますけどね。
それよりも何よりも、私は、細野先生が一歩、大きく踏み出したという点を
(誠に僭越ながら)評価したいですね。
つまり、これまで同誌で取り上げた企業は、
リーマンや石川島播磨やニイウスコーなど「すでに問題が表面化した会社」ばかり。
それが、特段火の気が無かったと見られる「ホクト」を取り上げたワケですから、
相当に覚悟と勇気が要ったと思います。
・・・・であれば、そのうち取り上げて下さいね。ヤ○ダ電機のポイント処理を。
結局、普通の会社じゃないのよね^^
本件のタイトルは、かなり最高でした。dancing-ufoさんの最高なセンスに感動です(^o^)/
ただ、一転気になったのは、短信での注記の開示姿勢について。私が会計士(補)ですが、過去に監査法人にいたときの経験からprobablyな確信で言えることは、
「ホクトの短信注記が充実しているのは、投資家重視が理由ではなく、有報作成時の作業を減らすため」
ということです。
今は、タカラや亜細亜のシステムを使って、短信をそのまま有報にコンバートできるので、短信でフル開示してしまえば有報作成時の手間がかなり減らせます。そのため、決算早期化をやる気がなく、かつマンパワーもない新興市場の会社でときどき見られる現象です。
そもそも、ホクトが投資家へのディスクロージャーを重視しているのであれば、5月15日という短信発表日は遅すぎるのではないでしょうか。
ちょっと気になったのでコメントさせていただきました。
私もホクトのキノコにはよくお世話になっているので、あまり悪口はかけないですが。
ちなみに、キノコにはこんな効用があるらしいです。
http://www.hokto-kinoko.co.jp/karada/index.html