高知・コスタリカ友好交流を創って行く会

この会の趣旨目的は、平和学の調査研究。特に、国連平和大学のカリキュラム「ジェンダー&ピースビルディング」です

胎児差別の撤廃への立法改正(案)

2009年10月10日 14時03分35秒 | 胎児の公民権運動

胎児差別の撤廃への立法改正(案)

 唯一人女性として日本国憲法制定に参画したベアテ・シロタ・ゴードン女史が取り残した課題。それが、非摘出子差別の撤廃であった。男女同権は彼女の貢献で日本にもたらされたが、子の立場の同権は、家族関係の神聖性を優先する男性陣営に反対され、実現が見送られた。非摘出子の相続差別に関する先の最高裁判所の立法不作為の勧告は、やっと日本社会に、子の福祉が理解されようとしていることを示している。

 ところで、それに関連して、民法では私権の享有は出生に始まり、児童福祉法は児童を出生以後の新生児からと規定しているのをご存知だろうか。この規定のゆえに、日本では妊娠葛藤の女性や胎児には実質的保護が届いていない。ところが、国連の「児童の権利条約」は、胎児を児童の一員として認知した。それは、国際人権宣言が、自然法に則り、全ての人間には生まれながらに平等に生きる権利があるとの自然権思想を基盤としているからである。

さて、「胎児の公民権運動」が活発に展開中の米社会から、妊婦さんへの殺害行為は、胎児と女性二人分の殺人に相当するとの刑法改正が実現した。ところが、日本では、妊婦の交通事故に関し、胎児の一生涯の補償が認められた判例と胎児は人ではないと切り捨てられた判例が存在し、「胎児の存在」の理解に大きな開きがあり、裁判官によって真っ二つに分かれている。「法の下の平等」と「胎児の人権」という法益への理解不足が、これらの差別的矛盾の原因だと考えられる。また、赤ちゃんポストは例外的な保護法益圏であるが、乳児院への新生児置き去り事件では、母親の遺棄罪だけが問われ、父親の保護責任者義務違反は訴追されなかった。 

マザーテレサは、現在国際社会の様相を「胎児が虐殺の標的にされている」と表現した。母体保護法に経済条項を取り入れた日本では、中絶の99%は経済的理由による。諸外国では、妊婦の命に危険が及ぶ医学的理由のみを刑法の堕胎罪の違法性阻却事由として容認する国が多い。私達は、胎児を日本の法律が見殺しにしてきた事実を告発する。これを放置していては、正義と平和を築けるはずはない。

コスタリカ共和国にある、国連平和大学では、「ジェンダー&ピースビルディング」としてこの問題が研究されている。そのコスタリカからは、「責任親権法」が誕生した。その内容は、母親に父親を指名した出生届を義務づけ、男性が事実を争う場合は国は国費でDNA鑑定を実施し、子の父親を確定し、親権養育義務者の法的地位を戸籍登録。指名された男性が外国人の場合、出国を許さない強制力を持つ。

私達は、共同体全体に通用する法益として、どの立場をとるべきなのだろうか。今の法務大臣は、立法改正に積極的であると報じられている。ならば、子の福祉、特に胎児の差別の撤廃に関して、民法、児童福祉法、刑法、母体保護法にも関心を向けて、子供と家族を応援する法改正を政府にとって最優先課題としていただきたい。

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