中国生活の基礎知識~中国史の入門講座~

中国で生活するための基礎知識として、中国の歴史・文化を、楽しみながら学んでいきましょう。

劉邦について~どーやら「赤帝の子」らしぃぜ

2011年12月06日 | 秦・漢
第5回の講義で話した「項羽と劉邦」。
本来は登場人物も多く、そしてそれぞれにエピソードが豊富である。
しかし、それらすべてを話していては、何日かかるか分からない

ということで、ブログ上で少しずつ紹介しようと思う。

まずは劉邦。

苗字は「劉」だが、「邦」は名前というより「アニィ」といった意味合い。
字は「季」というのだが、これも「末っ子」という意味でしかない。

つまり、本名不詳

出身は沛。旗揚げと同時にこの街を占領したので
「沛公」
とも呼ばれている。

出自は、まぁなんというか、「やくざ」である。
こういうと語弊があるが、「遊侠の徒」と呼ばれる、
アウトロー集団の出身。

要するに、住所不定無職

そんなかなりカエノワカラン男であったが人的魅力は豊富で
彼が飲み屋にいると他の客も寄ってくるというので
彼の飲み代はタダだった。

さらには自慢は左の内股にホクロが72個もあるのだが、
それを「高貴の印」と、資産家の呂公が娘を嫁にやってしまう。
(これが後の呂皇后となり、漢王朝2代目の恵帝や魯元公主を生む)

ただ、ずっと仕事もせずにいられるわけではいられんので
小役人に就職。万里の長城に参加する労働者を護送する仕事を任される。
しかし、護送途中に1人逃げ、2人逃げ…。このままでは到着しても「打ち首」確実。

そこで、「みんな揃って逃げちまえ」と言ってしまうのが劉邦である。
結局彼は労働者(すでに逃亡者)たちを連れて、山賊へと転職する。

そんなさなか、1つの伝説が生まれる。

山中へ移動する際、劉邦は酒を食らって寝てしまう。
しょうがないので、部下(になった逃亡者)が道を探して進んでいると
一匹の白い大蛇が道の真ん中でとぐろを巻いている。

驚きあわてた部下は、劉邦に報告。
なぁにぃ? ヘビだぁ? そんなもん怖がって逃げてきたんかいワレ!と大激怒。さらには、
ヘビが怖くて山賊ができっか!!!
と大蛇のところへ。

見れば、道をふさぐほどの大きさのヘビが
とぐろを巻き、さらには舌をチロチロと出して威嚇している。

だが、とぐろを巻いているのは劉邦も同じ。
この体温調整もできん変温動物の分際でっ!!
と化学的なコトを怒鳴りつつ(ウソ)、一刀のもとその白い大蛇を切り殺してしまった。

「すげぇ、さすがアニキだ!!」
ヤローどもは大喜び、すぐさま先の方を偵察に向かった。

偵察の部下がしばらく行くと、今度は1人の婆さんが道で泣いている。

ヤロー1「婆さん、どうしてぃ?」
婆さん「息子が、息子が殺されました…」
ヤロー2「なにぃ、そいつはフテェやつがいたもんだ。どこのどいつでぇ?」
婆さん「息子は白帝の子でヘビに化けて道で休んでおりましただ。そこへ赤帝の子が通りがかり、一刀のもとに息子を切り捨ててしまったがですぅ…オヨヨヨヨ
ヤロー1「白帝の子? ヘビ?」
ヤロー2「赤帝の子? 一刀?」

見れば、婆さんの姿はどこへも見えず、ただバカ2人、ヤロー2人が残るのみ。

こうして劉邦は「赤帝の子」として、ますます周りの尊敬を集めたのだった。

しかし、当の本人は
ゲ~…飲み過ぎたぁ、頭イテェ…
まったく覚えていなかったとさ。

ちなみに、この話は劉邦に神秘性を持たせようとした
周囲による作り話。
実際にこの話が広がって劉邦を頼る人が増えたとか。


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