goo blog サービス終了のお知らせ 

竹林亭白房

扇辰「さじ加減」★落語

□本日落語一席。
◆入船亭扇辰「さじ加減」(NHK-Eテレ『日本の話芸』)。
東京渋谷NHK放送センター、令和7(2025)年4月11日収録。
珍しい噺だ。もとは講釈ネタだとするこれを、初めて聴いた(たぶん)のは、2007年で番組も同じ『日本の話芸』だった。ただし、こちらは上方として四代目桂文我の高座だった。公演情報は、NHK大阪ホール、平成18(2006)年10月11日(第259回「NHK上方落語の会」)。その後、東京落語として、三遊亭わん丈、二代目柳家蝠丸。この三席のみである。

四代目文我は、『復活珍品 上方落語集』に「さじ加減」を収録している。これによれば、文我が教わったのは東京の林家正雀だとしてある。してみると、純粋に上方の系統として演じられた「さじ加減」はないのかもしれない。

ちなみに、今回の扇辰は、オープニングトークで亡くなった五代目三遊亭圓窓に習ったと言っていた。扇辰はそれに自分なりのくふうを入れたと言っていたが、落げのことだろうか。長屋の大家に金の取り立てにくる男が、芸者の年季証文でやいやい言い、書いたものがものを言うんだと言っていた。大家は、前回男が訪ねてきて、騒ぎたてて茶碗を壊したのでそれを弁償しろと言い、欠いたものがものを言うとやり返して落げである。

ただ、これで終ってしまうと、演目の「さじ加減」の意味がなくなる。これは、大家と取り立ての男の件(くだり)の前に、奉行による裁きで救ってやる件(くだり)がある。人を救う奉行のさじ加減がみごとだとのひと言があって、「さじ加減」だけに「掬う」のが巧いと言って落げになる。

講釈ネタなので、もとに落げはない。落語として演じる者の自由である。「欠いたもの」でも、「掬う」でもよいのだけれど、演目から離れてしまうのはちょっと残念かもしれない。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る