竹林亭白房

志う歌「真景累ヶ淵 豊志賀」★落語

□本日落語一席。
◆三遊亭志う歌「真景累ヶ淵 豊志賀」(寄席チャンネル『鮮(あざやか)』)。
新橋内幸町ホール、令和3(2021)年8月24日(三遊亭歌太郎独演会「処暑 乾坤一擲」)。
まだ真打になって日が浅い、若手真打による「真景累ヶ淵」である。大ネタへの果敢な挑戦といったところか。志う歌は「文七元結」なども手がけているので、昨今真打になっている何人かの若手真打のなかで、お笑い芸を極めようというよりは、本格的な江戸落語で演っていきたいという意欲をもっている若者なのかもしれない。

それでも、最近の若手落語家にありがちなウケたいという願望は心の底にあるようで、今回もこの「豊志賀」の本ネタに入る前では、自身の近況にまつわるマクラを語って、ここでいくばくかのウケをとっていた。いちおう語りのくふうされたおもしろいマクラだった。

でも、「真景累ヶ淵」のような、シリアスな噺を演る前にはちょっとじゃまになるような気がした。確かにこの落語には笑いがないので、こういったマクラあたりで客を楽しませようというサービス精神かもしれないが、自分の感覚からすると不要だ。もしマクラを語るなら、この落語の全体像にかかわる噺や、当時の世相みたいなものを語ればよいのにと思った。
もちろんそのようなものを語っても、笑いはいっさいにない。でも、語りかたによっては、客の興味をひきつけることができるし、本編への聞きかたの奥も深くなる。

さらに、演出的にも、語りの途中でとつぜん声を大きくする(寿司屋の部屋でお久の顔が急に豊志賀にかわる場面など)というのも、あまり効果的ではない。もっと押しの強い語り口で客をドキリとさせるほうがよいのにと思われた。柳家喬太郎や立川志の輔のように。

また、「真景累ヶ淵」の他の部分も聞いてみたいものである。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る