竹林亭白房

菊千代「厩火事」★落語

□本日落語一席。
◆古今亭菊千代「厩火事」(寄席チャンネル『粋 らくご』)。
両国門天ホール、平成31(2019)年4月24日(「菊千代門天百夜噺の会」第25夜)。女流落語家が演る「厩火事」を聞くのは、桂右團治に次いで二席めだと思う(たぶん)。菊千代のくふうは、亭主との仲を不安に思う女お崎が、その相談にのってもらおうと訪ねたさきがお崎の姉貴分という人物だったところだ。ふつうは兄貴分。確か右團治もそのように演っていたはず。

確かにこれでいくと、この落語の登場人物は三人中二人が女ということになって、女流落語家には演りやすくなる設定だ。昨今、女流落語家が古典を演る際に、登場人物をかえられるものなら、女にして再構成するというのが、一つのトレンドになっていると言えるかもしれない。

ただ、安直にこのアレンジに頼り過ぎると、ただ演りやすくしただけじゃないかという批判にさらされることになるだろう。それが証拠に男の落語家は、登場人物が女であるものをあえて男にかえたりしないからだ。

だから、登場人物の性をかえるなら、かえただけの何か必然性がほしい。お崎が相談した相手が同性の女なら、そこから展開する何か一つでも心情的な掘り下げがあるとよいのだがと思った。女どうしということでお崎に共感しあえるような語りが、姉貴分から出てくるときっとおもしろくなるだろうにと。
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