Yuumi Sounds and Stories

シンギング・リン®️セラピスト「藍ゆうみ」のブログ。日々の覚え書き、童話も時々書いています💝

お話妖精ルーモと風さんの冒険お話㉔

2016-08-24 14:46:22 | 童話 ルーモと風さんのお話
8月24日(水)二十三夜 カナダ

カナダは国の半分が森です。落葉樹のシュガーメープル,レッドメープル,レッドオーク,バスウッド,ホワイトエルム,イエローバーチ,針葉樹のイースタンホワイトパイン,レッドパイン,イースタンヘムロックといったたくさんの木々が紅葉を迎えたときの美しさはこの世のものとは思えないほどです。

野生の動物もたくさんいます。カリブーがツンドラ地帯に移動する様は、畏敬の念を覚えるほどです。川にはベニザケの大群がいます。ジャコウウシやセイウチ、シロクマなどの北極にしかいない生き物もしますし、自然公園や自然保護区にはエルクやバイソン、鹿、オオカミ、ビーバー、クマ、野鳥などがいます。

風さんは、森に聞きました。「面白いお話を聞かせてくれる友達を探してるんだ。知らないかい?」森はこたえました。「それなら、オンタリオの針葉樹の森に住むオオヤマネコがいいだろう、彼ならインディアン時代からの昔話を教えてくれるだろう」
風さんとルーモは、オオヤマネコのいる森に向かいました。針葉樹の夏の森は青々としてそれは美しく凛とした空気を周りに放っていました。風さんはその中でも一番高い木の上に立ち、オオヤマネコを呼びました。ルーモと風さんは雲の上で遊びながら待っていたのですが、オオヤマネコは一晩待っても二晩待っても来ませんでした。

風さん「もしかしたらもういないのかも……」
ルーモ「どうして?」
風さん「カナダの森も最近は木が少なくなって、動物も減ってるんだ」
ルーモ「どうして?」
風さん「人間が使っちゃうんだ、木が必要なんだ」
ルーモ「木は動物にも必要よ。人間も動物もどちらかが多く取るのはおかしい、半分づつがいいわ」
風さん「人間の心はまひしているんだ」
ルーモ「まひ?」
風さん「大事なことがわからなくなってる。昔はまだわかってる人がいたよ。たとえば、インディアンとか、オーストラリアで会ったアボリジニとかね。オオヤマネコが来てくれたら、きっとインディアンのお話をしてくれただろう。」
ルーモ「インディアンってどんな人なの?」
風さん「空と大地を愛し、生きとし生けるものすべてを大切にして、ともに分かち合うことのできる人々だった。彼らは神さまとも友達だったし、話もできた。優しく賢い人々だった。」
ルーモ「私が聞くお話の中にはそんな人たちがたくさんいるわ」
風さん「そうさ、だから君がお話を聞くことはとっても大切なことなんだ。本当の優しい気持ちをみんなの心に思い出させることができる力なんだよ」

オオヤマネコは3日待っても来ませんでした。それはとても残念なことでした。でも、ルーモは風さんが言ってくれた自分の力を信じていれば、いつかオオヤマネコと会える日が来るような気がしました。