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💠幸せ時間💠

想像作話 自由の羽(2)

★画像は、愛蔵版「キャンディキャンディ」いがらしゆみこ先生 原作水木杏子先生より



ローズマリーは、粘り強く説得すれば大おばさまや他の親戚達に、いずれ自分達の気持ちをわかってもらえるだろう、結婚を認めてもらえるだろうと思っていた。
しかしあの朝の喧嘩以来、エルロイはローズマリーが話をしようとすると、
「おまえの話は聞きたくありません」と言い拒絶した。
ローズマリーは何度もエルロイの部屋を訪れたが、扉を開けることはなかった。

一方、アードレー家に毎日のように花や贈り物が大量に届くようになった。宛先は全てローズマリーだった。
エルロイがパーティーの招待状を配ったので、参加する旨の手紙と共に贈り物が届けられたのだった。
ローズマリーの美しさの評判は知れ渡っており、一度ローズマリーの姿を見ただけで恋焦がれる者が大勢いた。
誰もがあの緑色の美しい瞳に魅了されたのだった。さらにアードレー家の権力や財力がつくとなると周りは放っておかなかった。

ローズマリーは焦り出した。パーティーの日はジョルジュに車で連れ出してもらい、逃げようと考えていた。そんな気持ちを察しているのか、エルロイと廊下ですれ違った時に、
「パーティーの日はジョルジュは出張に行かせるのでいませんよ。他の使用人達は私に絶対服従ですから、あなたの頼みは誰も聞きませんよ。」と冷やかに言われた。エルロイに先手を打たれた。
~ 大おばさまは本気だ ~
自分で逃げたとしても追いつかれて連れ戻されるのは目に見えている。
愛する人と自由に結婚できない、家柄や名誉やお金で人を判断する上流社会に激しく嫌悪感を持った。

日増しに元気のないローズマリーをアルバートは心配した。
「ロージー、最近元気がないね。」
「そ、そんなことないわよ。バートの気のせいじゃなくて?」
ローズマリーはぎこちなく微笑む。
「僕がエルロイ大おばさまに、ロージーがヴィニーと結婚できるように頼んでみるよ。」アルバートはローズマリーの結婚話が進んでいないことを察していた。
「ありがとう。心配かけてごめんなさいね。大丈夫だから。ね!」ローズマリーはアルバートの頭を優しくなでた。

夜、バルコニーにローズマリーは出た。
「ヴィニー・・・」
白い眩しい月を見上げながら、恋しい人の名をつぶやいた。


続く
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