2013年3月10日
今日は午後から茶谷十六先生の講演会でした。
前回に続き『一揆の心、芸能の心』という演題です。
百姓一揆の盛んな土地には必ず民俗芸能が伝承されています。
そして日本で一番百姓一揆が多発したこの岩手には、日本で一番多くの芸能が伝承され、かつその水準・完成度は大変高いものだと言われています。
百姓一揆、民俗芸能、貧困、それがかつての岩手の姿なのですが、この3つが単に繋がるのではなく、そこにはこの土地に生きる人々の生き様との関連があるのではないかと考えられました。
岩手の芸能はその8割が供養のためのものです。
そして、その供養は単なる鎮魂ではなく魂奮いなのだと考えられています。
『やすらかに眠ってください』ではないのです。
二子鬼剣舞の師匠、及川充さんの言葉ですが、『鬼剣舞は踊るんじゃない、踏むんだ。剣を持つから剣舞なんじゃない、これは反閇だ。』
墓前で反閇し、笛や太鼓を打ち鳴らし、『眠っていないで起きてください。そしてあの世まで持って行った無念な気持ち、やりたかったこと、我慢出来ないことを私たちに話してください。生きている私たちがその無念を晴らしますから。』と魂で語りかけます。
岩手の芸能は生きている人間と亡くなった人間のコミュニケーション、魂の伝達なのです。
一方、一揆というのは心をひとつにすることであり、相手を信頼することこそが結束の要。
自らが極限状態であっても苦難を分かち合えることが結束の要。
遠い昔から岩手にはそれらが存在していたのですね。
そして、それは今も脈々と行き続けているのでしょう。
本当に厳しい時にこそ、心ひとつに祈り心を合わせて戦ったのだと思われます。
かつて生きていくのが困難だった岩手という土地で、一人一人の願いを皆の願いへと想いを繋ぐもの・・・それが一揆や民俗芸能であり、昨今では震災復興に関しても『頑張ろう』という通い合う心の中核として、苦難を分かち合い乗り越える力の原動力であり命となっているのですね。
2013年の3月11日を目前にした今、このお話を改めてお聞きすることが出来たことに感謝しています。
そして最後に・・・
なんと茶谷先生自ら南部牛追唄を歌ってくださいました。
このようなファンサービス(笑)は初めてで、心打たれる歌声に感動し帰って参りました。
追記:2013年4月16日 記事にしていただきました。
http://tohoku-fukko.jp/files/11/11-3.pdf