最近さぼり気味のレース回顧、日本ダービーぐらいはきちんと書いておかねば。9レースが終わった時点で芝競争のすべてが36秒台の決着であることを確認。これはもはや実力通りで決まる馬場ではないと認識した。当たり前の話だが重馬場が得意な馬などいるはずもなく、従って重適性の有無というのは重馬場によるマイナスが他馬に比べて多いか少ないかということに過ぎない。しかも昨日のダービーはただ馬場が悪いだけではなく、叩き付けるような雨中の競馬であり、これはもう末脚ではなく、ひたすら精神力の勝負となるに違いないと読んだ。この予想は当たった。不良馬場において34秒台の末脚を繰り出した1着と2着の馬の末脚を除いては。
馬にも人間にも、大きく分けると二通りあって、それはがんばるやつとがんばらないやつ。ただし、がんばるけれども才能がなかったり、やり方を間違えたりして結果が出ないやつや、逆に努力はしないけれども才能でカバーしたり、金ですべてを解決する者もいて、ゆえに世間は複雑にしておもしろい。ただでさえ過酷なG1で、しかも大雨の不良馬場によるダービー、これは才能よりは精神力による勝負だと見立てた自分の眼力は今も間違っていたとは思わない。
本命対抗に推したユニバーサルバンクとベルシャザールはそういう馬だった。良馬場の日本ダービーだったら絶対に買わなかった馬たちだが、この泥々のダービーだからこそ買ってみようと思えた馬たち、鋭い脚にこそ欠けるが、決してレースを投げることなく走るタフな馬たちだ。
昨日はやや感傷的かつ希望観測的な文章を書いたが、個人的にはそれを裏切る日本ダービーではなかったと、あれから時間が経った今もそう感じている。あの2頭が最後に見せた脚は誠に見事なもので、自分は終生この日本ダービーを忘れないだろうと思う。3角から直線坂を越えるあたりまで、この2頭は別の戦いをしていた。特にオルフェーヴル池添は、珍しく気迫満点の柴田と坂下でつばぜり合いをして何とか進路を確保しようともがき、一方のウイン安勝は4角ではケツから3頭目におり、ここから栄えあるダービーの栄冠を手にするためには、この不良馬場で14頭をごぼう抜きにしなければならないという絶望的なポジションにいた。
彼らはあきらめなかった、そのことは強調しておきたい。彼らはあきらめなかった。
この2頭の戦いは、馬場の内を通った馬を映した鈍感なカメラマンによってJRA(グリーンチャンネル)の映像には収められていないが、4角から坂の途中までのわずかな距離にこの2頭はすさまじい脚を使った。カメラがとらえるのはほぼ2頭のマッチレースとなってからだ。NHKを観ていた人はもう少しまともな映像を観ることができたはず。
あそこまで追い詰めたのならば、自分も会員であるウインの馬に勝って欲しかったが、最後の100mにオルフェーヴルはさらに脚を使った。まさに完勝であり、2011年の日本ダービーに相応しい優駿だと思う。母父がメジロマックイーンであることも何だかうれしい事実だ。
2着のウインバリアシオンは本当に惜しかったとはいえ今回は完敗。だがこの馬が完成するのはもっと先のことだろうから、きっと雪辱する機会はくるはずだ。ただの2着ではなく、後ろをぶっ千切っての2着、ここは大いに胸を張っていいと思う。それにしても安勝という人はすごいし、騎手は本当に大事だと思った。
多くの人は読んだと思うが、モハメド殿下のコメントは記念にここに記しておきたい。俺はその言葉に素直に感動したし、競馬はやっぱりすばらしいと思えた今年のダービーだったからだ。
「私は競馬を心から楽しんでいます。日本以外でもたくさんの国で馬を所有していますが、日本でも所有したいとずっと思っていました。その国で馬を持ち、日本ダービーに出る意義は大きいです。今回、愛馬が日本ダービーに出走することになり、ようやく来日することができました。日本ダービーを観戦し、東京競馬場の雰囲気、そしてダービーを応援するファンの大歓声に感銘を受けました。私はホースマンであり、競馬とは何かを知っています。レースの結果がどうなるのかは、誰にもわかりません。でも、勝つことを夢見るのが競馬なのです。今年ダメなら、また来年、そしてまた次の年へと夢が続くのです。いつも夢を持てるのが競馬です。来年もぜひ戻ってきたいと思います」
2012年のダービーに向けての戦いが始まる。そして我々はまた来年の日本ダービーを楽しむべく、日々の役割に戻る。それは地味でつまらないものの連続かもしれないが、きっと行きつく先にはあの高揚があり、またあの大歓声と地響きが聞こえ、馬たちが懸命に走る直線の攻防を観ることができるはず。それはほんのささやかな願いや希望かもしれないが、来年のダービーを楽しみに日々をがんばりたいと思うし、このブログを読んでくれている人にも伝えたい。それまでそれぞれの人生で、いろいろなことがあろうとも、また来年のダービーで会おうと。
馬にも人間にも、大きく分けると二通りあって、それはがんばるやつとがんばらないやつ。ただし、がんばるけれども才能がなかったり、やり方を間違えたりして結果が出ないやつや、逆に努力はしないけれども才能でカバーしたり、金ですべてを解決する者もいて、ゆえに世間は複雑にしておもしろい。ただでさえ過酷なG1で、しかも大雨の不良馬場によるダービー、これは才能よりは精神力による勝負だと見立てた自分の眼力は今も間違っていたとは思わない。
本命対抗に推したユニバーサルバンクとベルシャザールはそういう馬だった。良馬場の日本ダービーだったら絶対に買わなかった馬たちだが、この泥々のダービーだからこそ買ってみようと思えた馬たち、鋭い脚にこそ欠けるが、決してレースを投げることなく走るタフな馬たちだ。
昨日はやや感傷的かつ希望観測的な文章を書いたが、個人的にはそれを裏切る日本ダービーではなかったと、あれから時間が経った今もそう感じている。あの2頭が最後に見せた脚は誠に見事なもので、自分は終生この日本ダービーを忘れないだろうと思う。3角から直線坂を越えるあたりまで、この2頭は別の戦いをしていた。特にオルフェーヴル池添は、珍しく気迫満点の柴田と坂下でつばぜり合いをして何とか進路を確保しようともがき、一方のウイン安勝は4角ではケツから3頭目におり、ここから栄えあるダービーの栄冠を手にするためには、この不良馬場で14頭をごぼう抜きにしなければならないという絶望的なポジションにいた。
彼らはあきらめなかった、そのことは強調しておきたい。彼らはあきらめなかった。
この2頭の戦いは、馬場の内を通った馬を映した鈍感なカメラマンによってJRA(グリーンチャンネル)の映像には収められていないが、4角から坂の途中までのわずかな距離にこの2頭はすさまじい脚を使った。カメラがとらえるのはほぼ2頭のマッチレースとなってからだ。NHKを観ていた人はもう少しまともな映像を観ることができたはず。
あそこまで追い詰めたのならば、自分も会員であるウインの馬に勝って欲しかったが、最後の100mにオルフェーヴルはさらに脚を使った。まさに完勝であり、2011年の日本ダービーに相応しい優駿だと思う。母父がメジロマックイーンであることも何だかうれしい事実だ。
2着のウインバリアシオンは本当に惜しかったとはいえ今回は完敗。だがこの馬が完成するのはもっと先のことだろうから、きっと雪辱する機会はくるはずだ。ただの2着ではなく、後ろをぶっ千切っての2着、ここは大いに胸を張っていいと思う。それにしても安勝という人はすごいし、騎手は本当に大事だと思った。
多くの人は読んだと思うが、モハメド殿下のコメントは記念にここに記しておきたい。俺はその言葉に素直に感動したし、競馬はやっぱりすばらしいと思えた今年のダービーだったからだ。
「私は競馬を心から楽しんでいます。日本以外でもたくさんの国で馬を所有していますが、日本でも所有したいとずっと思っていました。その国で馬を持ち、日本ダービーに出る意義は大きいです。今回、愛馬が日本ダービーに出走することになり、ようやく来日することができました。日本ダービーを観戦し、東京競馬場の雰囲気、そしてダービーを応援するファンの大歓声に感銘を受けました。私はホースマンであり、競馬とは何かを知っています。レースの結果がどうなるのかは、誰にもわかりません。でも、勝つことを夢見るのが競馬なのです。今年ダメなら、また来年、そしてまた次の年へと夢が続くのです。いつも夢を持てるのが競馬です。来年もぜひ戻ってきたいと思います」
2012年のダービーに向けての戦いが始まる。そして我々はまた来年の日本ダービーを楽しむべく、日々の役割に戻る。それは地味でつまらないものの連続かもしれないが、きっと行きつく先にはあの高揚があり、またあの大歓声と地響きが聞こえ、馬たちが懸命に走る直線の攻防を観ることができるはず。それはほんのささやかな願いや希望かもしれないが、来年のダービーを楽しみに日々をがんばりたいと思うし、このブログを読んでくれている人にも伝えたい。それまでそれぞれの人生で、いろいろなことがあろうとも、また来年のダービーで会おうと。
馬たちには過酷な馬場だったろうと思いますが、記憶に残るダービーでした
入場者が少なかったのが寂しかったですが、ダービーは最高のレースです
できれば、来年もナマでレースを見たいと思いました
ダービーはいいですよね。
今年もやっぱりそう思いました。
ただ、指定席のないG1生観戦は億劫になってきました(苦笑)。
我ながら情けない…。