念願かなって、 ビリーザキッドのお墓に手を合わせて来ました。
ので、
谷川俊太郎といえば、何といっても ”鉄腕アトム”
空を超えて~ ららら 星の彼方
ゆくぞ~ アトム ジェットの限り
・・・
その谷川俊太郎さんに、”ビリーザキッド” という一篇があります。
ビリーザキッド 谷川俊太郎
細かい泥が まず俺の唇にそしてだんだん大きな土の塊が 俺の足の間に腹の上に 巣を壊された蟻が一匹
束の間 俺の閉じられたまぶたの上をはう 人人はもう泣くことをやめ 今はシャベルをふるうことに快い汗を
感じているらしい 俺の胸に あのやさしい眼をした保安官のあけた二つの穴がある 俺の血はためらわずに
その二つの逃げ路から逃れ出た その時初めて血は俺のものではなかったことがはっきりした 俺は俺の血
がそうしてそれにつれてだんだん俺が 帰ろうとしているのを知っていた 俺の上にあの俺のただひとつの
敵 乾いた青空がある
俺から全てを奪ってゆくもの 俺が駆けても 撃っても 愛してさえ俺から奪い続けたあの青空が最後に一度
奪いそこなう時 それが俺の死に時だ 俺は今こそ奪われない 俺は今初めて青空をおそれない
あの沈黙 あの限りない青さをおそれない 俺は今地に奪われてゆくのだから 俺は帰ることができるのだ
もう青空の手の届かぬところへ俺が戦わずにすむところへ 今こそ俺の声は応えられるのだ 今こそ俺の銃
の音は俺の耳に残るのだ 俺が聞くことが出来ず撃つことが出来なくなった今こそ
俺は殺すことで人をそして俺自身ををたしかめようとした 俺の若々しい証し方は血の色で飾られた しかし
他人の血で青空は塗りつぶせない 俺は自分の血をもとめた 今日俺はそれを得た 俺は自分の血が
青空を昏くし やがて地へ帰ってゆくのをたしかめた そして今俺はもう青空を見ない憶えてもいない 俺は
俺の血の匂いをかぎ 今は俺が地になるのを待つ 俺の上を風が流れる もう俺は風をうらやまない もうすぐ
俺は風になれる もうすぐ俺は青空を知らずに青空の中に棲む 俺はひとつの星になる すべての夜を知り
すべての真昼を知り なお廻り続ける星になる
詩はどこあるのか(谷内修三の読書日記) 谷川俊太郎の10篇(3 ビリーザキッド)
不思議な詩です。
谷川俊太郎の魂が離脱して 埋葬される瞬間のビリーザキッドの屍の中に入り込んでいる!?!?
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