どんな取引関係であれ、相手から信頼されない人間は必ず淘汰されます。ことは人間関係だけでなく、技術革新や法律などの変化で業界そのものが消滅する事態が現実に起こっています。いつまでも1つのビジネス・モデルが続けられるなんて、誰にも予測できないのが現実です。
世の中は、そう甘くは出来ていないのです。たとえ、どんなに悲惨な状況に突き落とされたとしても、何度でも立ち上がれる精神力と行動力がなければ、野垂れ死にすることになります。知識偏重の頭でっかちで、生命力や行動力もなければメンタルもひ弱な人間では生き残れません。
また、小利口に立ち回る世渡り上手な人間なんて、まず相手にされません。スタートするに当たってまず最初にやらなければならないことは、ゼロから人間修行を始める腹をくくることです。
そして、人間の根源的な問題(人間として生きる価値や目的を問うこと)に真っ向から取り組む覚悟を決めることです。まず最初にできるようにならなければならないことは、新しいことに学ぶか、あるいは過去に学んだことを再度NLPとともに、学び直すに際して、今までに持っていたり、固執していたものを一旦手放すことです。
それは人生観や価値観、あるいはNLPといった哲学的要素の類です。これを一旦「空」の状態、あるいは「無色透明な状態」にして、自分の今あるがままを漏らさず正確に、しかも総合的に捉える心の準備を整える必要があります。もっと別の言い方をすると、自分を「無」の状態にすることです。数字で表現すると「ゼロ」の状態にリセットすると言ってもよいでしょう。昔から言い伝えられてきた「1から学ぶ」という表現の真意はここにあります。
これができない人は、何を学んだとしても、真の学びを得ることはできません。真の学びを得るということは、自分のこととして『自得』することです。この『自得』ができなければ、何一つ自分の現場で生かしたり、実践することができないのです。言い換えれば、他人事として眺めていることしかできないのです。もっといえば、知識として記憶に留めることしかできないのです。これでは、何を学んでも、何の役にも立たない、無駄な知識が増えるだけなのです。
NLPでも心の中に何らかのこだわりや、思い込み、固定観念などが存在していては、目の前に見えているものさえ見えなくなってしまいます。「目には見えない心の世界」を覗こうというのですから、心して取り組むことです。これを別の言い方で表現すると、「心眼で見る」といってもよいでしょう。ここまで読んだ読者にはすでにおわかりだと思いますが、それは決して容易なことではないのです。
雑駁な知識をかき集めるようなことでは、お話しになりません。また、単なる理屈で「論理」をもてあそぶくらいならやめたほうがいい。それは人間の「情理」の世界を学び、「自得」することができなければ、「真理」に到達することもできなければ、「道理」を悟ることもできず、ましてや、一人の人間にとって、あるいはリーダーにとって、最も大切な「心術」を操ることなどは、とてもできるようにはなれないからです。