БЛОГ/Bava44

ロシア映画の他、日本では主流ではない、非公式的な映画作品や映画批評等の紹介。

映像コンテンツの現状

2012年07月30日 | Weblog
●家庭における映像コンテンツの現状
地デジ化によって、一般家庭のテレビは高画質・多チャンネル化しているわけだが、映画業界の方はこの影響をどの程度認識していたのだろうかと疑問に思う。多チャンネル化でテレビ放映枠が増え、高画質化でブルーレイが普及する下地が出来たぐらいにしか考えていなかったように思う。しかしながら、60年代にテレビの台頭で映画産業が衰退したことを考えれば、地デジ化が多少は興行に影響を与えた可能性があったはずである。それは今後、結果的に検証されうると思う。
さらに悪い状況として、家庭用の録画機がHDDの大容量化で、見るよりも録る・残すよりも消すの傾向が強くなっていることが挙げられる。こんな状況では映像コンテンツに対する健全な需要が発生することはありえないと思う。映像製作には大金がかかるのに、その権利は二束三文になりつつある。



●映像ソフト市場の現状
日本映像ソフト協会の資料を見ると、セルBDの売り上げは前年同期比143%と意外と健闘しており、映像ソフトの売り上げ全体で見ても前年同期とほぼ同じ金額で、(BDの採否によって業界内格差が広がっているとはいえ、)全体としてはうまく推移しているように見える。
ただし、新作タイトル数がそれを超える勢いで増加しており、作品一本当たりの売り上げはかなり落ちているという事実がある。つまり(タイトル数の)薄利多売で経済規模を維持しているのに過ぎないわけで、需要の先食いも起きているはずである。今後もその傾向は続くと思われ、独立系はかなり資金繰りが悪化しているのではと心配である。



ちなみに、BD録画再生機の出荷台数は、前年同期比で半減しており、BDソフト販売の大幅な増加は望めそうにない。パッケージ・ビジネスはあと2~3年で衰退すると思う。



●レンタル市場の現状
レンタル最大手ツ●ヤの貸出枚数が過去最高を記録しているというニュースを見た。レンタル店で起こっているのが、薄利多売と供給過剰のスパイラルであることを考えると全然良いニュースではない。
韓流ドラマやアダルト作品を充実させたり、中高年層の需要を開拓したりしているが、産業構造的には焼け石に水であり、ツ●ヤの場合、最終的には自社ポイント制度の普及で逃げ切るつもりなのだろう。ここまで映像産業が空洞化してしまえば、呆れて笑うしかない。


最新の画像もっと見る