小学校の時から今まで趣味で曲を作ってきて、自分の作ってきた曲を思い出し、ふと思うことがある。
それは、短調の曲が、長調の曲に比べて少ない・・ということ。
それなりに短調の曲も作ってきてるのだが、長調の曲と短調の曲の数を比較すると、やはり短調の曲のほうが少ない。
それは、ずいぶん前から自分で気づいていることで、意識して短調の曲を作ることもある。
自分の中から自然に浮かんでくる曲を、メモ録音したりすると、それは無意識のうちに長調になっていたりすることが多い。
もちろん、短調の曲が、自然に浮かんでくることもあるのだが。
それは、ギターを無意識のうちに手にした時に、つい無意識のうちに押さえてしまうコードというものがあり、それはたいがいメジャーコードであることが多いのが影響してるのかもしれない。
案外、短調の曲ができる時は、ギターを弾いて作るのではなく、頭の中に浮かんできたメロディにコードをつけて出来る場合が多い。
そう、短調の曲は、ギターを弾きながら作るというよりも、まず先に頭の中にメロディが浮かんでいる場合が多いのだ。
自分としては、短調の曲よりも長調の曲の方が好き・・ということはないのだが・・。
私が好きになったミュージシャンは、長調の曲の割合が高いミュージシャンが多かった気がする。
とはいえ、私が好きになったミュージシャンは、ちゃんと短調の曲にも名曲を残していた。
というより、長調の曲を作ることが多いミュージシャンが、たまに短調の曲を作ると、それは大傑作だったりもした。
その分かりやすい例が、ブライアン・ウィルソンだった。
彼がビーチボーイズ名義で作ってきた曲は、・・というか、ビーチボーイズのレパートリーのほとんどが長調の曲である。
だが、ビーチボーイズが珍しくマイナーキーで始まる構成で作った曲「グッド・バイブレーション」は、とびぬけた超名曲であった。
ビーチボーイズといえば長調の曲のイメージが強かったので、「グッド・バイブレーション」を聴いた時は、すごく新鮮だったし、異色にも思えたものだった。
今でも、あの曲は、ビーチボーイズの曲の中では異彩を放っている気がするし、その素晴らしさを私は敬愛してやまない。
先ほど「私が好きになったミュージシャンは、長調の曲の割合が高いミュージシャンが多かった」と書いたが、もちろん、短調の曲の素晴らしさが目立つミュージシャンもいた。
洋楽では、ハードロックやプログレに、短調の素晴らしい曲が多かった気がする。
例えばハードロックでは、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」、ユーライヤ・ヒープの「ジュライ・モーニング」、グランドファンクの「ハートブレイカー」、レインボーの「スターゲイザー」、その他。
プログレでは、マイク・オールドフィールド(当時彼はプログレ扱いされていた)の「オマドーン」、ピンク・フロイドの「エコーズ」、キャメルの「ゆるやかな飛行」、などなど、その他。
で
邦楽では、なんといっても!
井上陽水さんだった。
ともかく陽水さんのアルバムを聴いた時は、その短調曲の多さに目を見張ったし、しかも名曲ぞろいだった。
陽水さんの初期のアルバムでは、短調曲の素晴らしさや、威力にうちのめされた思いだった。
「傘がない」「人生が二度あれば」「白い船」「夏まつり」「夜のバス」「東へ西へ」「いつのまにか少女は」「心もよう」「桜3月散歩道」その他、その他。
これでもかこれでもか・・というぐらい、短調の名曲が連続で出てきた。
こうまで短調曲を揃え、しかも名曲ぞろいのミュージシャンは、私にとって衝撃であり、その短調曲の洪水は圧巻だった。
で、大きな影響を受けた。
陽水さんに影響されてた頃に私が作った「自作曲カセット」には、短調の自作曲が大半。それだけ、陽水さんに心酔した頃に私は短調の曲を作りまくっていた・・といことだ。
それまでの私の「自作曲カセット」には長調の曲が多かったのだが、陽水さんの音楽に触れた途端、短調の自作曲が私は増えたのだった。
つくづく私って奴は、心酔したミュージシャンの影響を受けやすいたちだった・・ということなのだろう(笑)。
その後。
色んな音楽を聴きまくるにつれ、私の自作曲は、また長調の曲の割合のほうが多くなっていった。
だが、陽水さんから受けた「短調曲の魅力」の影響は、しっかり自分の心の襞に刻まれている。
今では、長調の曲が多めではあるが、長調の曲を作るのが続いた時には、あえて意識して短調の曲を作るようにしている。
20代の頃に組んでたポップスバンドでは、短調の曲はなかった。
なんというか、バンドの方針として、短調の曲は避けていた感がある。
それは、そのバンドで短調の曲を作ったら、歌謡曲みたいになってしまいそうだったから。
私は歌謡曲も嫌いではなかったのだが、バンドの方向としては、そういう路線は避けていた・・そんな感じ。
だが、今となっては、そういうバンドが、レパートリーのセレクトをして、練って短調の曲を作りあげたら、もしかしたら代表曲みたいな曲になっていたかもしれない・・・などと思ったりすることがある。
割と短調の曲は悲しかったり、重かったり、暗かったりすることがあるが、そうはならない短調の曲なら、ポップスバンドでは大化けしそうな気はする。