小須戸の火事で、古い町屋が焼けてしまったのは、あまりにも惜しい。
でも、その火事で全てが焼けてしまったわけではない。
これは、無事だった町屋風景。
古い建物が立ち並んでいる。
なにやら、川越を思い出した。
もっとも、川越は、古い建物が小須戸以上に残されており、それはそれでいいのだが、ずいぶん観光地化されている。
それに比べたら、小須戸の町屋は、あまり観光地化していない。
あくまでも、自然である。
自然に残されてた古い街並みだ。
この古い街並みを小須戸としては町の売りにしていこうとしているが、あまり観光地化してほしくない気もする。
幼い頃、祖母の家で暮らした1ヶ月半の期間に、幼い私はこの道を歩いたのだろう。
おぼろげで断片的な記憶でしかないが、こういう木造の古い建物を私が好きなのは、こういう建物のある町が幼心に好きだったからだ。
これらの古い建物は、ここで暮らしている人にとっては「住まい」である。
なので、通常は建物の中の一般公開はしていない。
自宅を一般公開することだからね。
でも、たまに、イベントみたいなものの一環として、一般公開することもあるらしい。
そんな時に来てみたかった。
それにしても・・・静かだ。
人っけがあまりなかった。
それは、すぐ近くで火事があったせいか、それともあまりに暑いからか、あるいは・・人が少ないからか。
この町には、鉄道の駅はない。
鉄道の駅があるのは、隣町だ。
隣町にある駅から、この町には歩きでくるには、けっこう距離がある。
なので、バスが主な交通手段らしい。
じゃなければ・・マイカーで移動するしかない。
本来ならばこの町にも鉄道駅ができるはずだったそうな。
だが、諸々の事情で鉄道は走らなかった。
焼けて消失した町屋風景は、もう帰ってこない。
せめて、焼けなかった、この町屋の風景を大事にしていってほしい。
一日でも長く、未来に残っていってほしい。
それが、かつて・・幼少の頃に、この町で過ごしたことがある私のささやかな願い。
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