「静かな午後の対話」

「静かな午後の対話」


猫が窓辺で丸くなって眠っている午後、私はふとリンドン・B・ジョンソンの言葉を思い出した。「話しているあいだは何も学ばない」。ジャズのレコードをかけながら、その言葉の意味を噛みしめる。静かな部屋で、時計の秒針の音がやけに大きく聞こえる。

かつて、若い頃の私は、同じ会社の女性と付き合っていた。彼女との会話はいつも一方通行で、私は彼女に話題を振るたびに、「なんか面白い話ないの？」と尋ねていた。彼女はいつも静かに微笑んでいたが、私はその意味を理解していなかった。そしてある日、「僕なら新聞や週刊誌を片隅まで読み、僕の知らなそうな話題を持ってくるけどね」と、自分でも驚くほど偉そうに説教してしまった。

その女性とはその後別れてしまい、今ではどうしているかも分からない。今になって思えば、彼女は常に私に興味を持ち、私の話を聞いてくれていた。相手の話を聞くことは、最高のもてなしだったのだ。人は自分の話を聞いてもらえると誇らしい気分になり、自信がつく。私は彼女を褒めてあげたかっただけだったのに、その重要さを理解していなかった。

今、私は猫とともに過ごす静かな午後に、ジョンソンの言葉をもう一度考える。話している間は何も学ばない。本当の学びは、静かに聞き、理解しようとする瞬間に訪れるのだと。