読んだ本たち

内容を忘れないように

遮光 / 中村文則

2017-07-30 21:00:27 | 





高校の同級生の男の子にオススメしてもらいました








読書芸人で又吉と若林が好きな作家として
中村文則をあげてたので気になっていたので買いました



あと私が又吉の好きな本や作家が似ているのでこれは読んでおくべきかな、と




同級生にオススメされた作品のうち
1番初期の作品だったのでまずは、と遮光を手に取りました



これはすべての虚言癖の人に読んで欲しいなぁと

というか、虚言癖までいかなくてもしょっちゅういらない嘘をつく人とか、結構いますよね




まずあらすじが、恋人が事故死したことを周りに隠してアメリカに留学してると嘘をつき続けている男が、死んだ恋人の指を瓶に入れて持ち歩いている、



重っ!って感じなんですけど、
さすがはいい文章でものすごくスラスラ読めます



中村文則の好きな作家、調べたらカミュとかドフトエフスキーとか、暗い作品が多かったのでなるほどと笑



重いというより、ずっとずっと辛かったし、
主人公の嘘にでてくる美紀(恋人)が幸せそうでとてもキツいです



人は何故嘘をつくのかという問いに、自分自身を守るためだっていう答えをつけてくれるような本だったと思います




優しい嘘、なんて柔らかいものじゃない、
もっとどこにもいけない感情とか、人間の奥の暗いところから滲み出るような、そんな嘘でした




この人嘘ついてるな、とわかってしまったとき、
その嘘を責めるだけはせず、
その人のどうしようもなさや、何故言ったのか、嘘をついて何を守りたかったのかの背景を考えながら騙されてみようかなと思いました。(嘘付かれるのは本当は嫌だけど)







ネタバレ含む













主人公の虚言癖は小さい頃に両親を亡くして
親戚に引き取られた時の回想シーンで始まりましたね


本当の気持ちを出さずに殺すために、嘘をつくことが1番手っ取り早いことを知ってしまうんですね、




途中の描写で、美紀のことなんて実際そこまで好きじゃない、みたいな箇所がありますが

最後に崩れていく様をみると本当に愛してたことがわかるから、

ただ虚言を繰り返していただけじゃなく
自分自身にもずっと嘘ついていたことがわかります


そこまで好きじゃなかったから大丈夫、と嘘つくことで自分を保っていたんでしょうね




最後、人を殺す描写の必要があったか?問題ですけど、どうしようもなさの爆発だけなのか、それとも嘘つきすぎて現実との区別がつかない、というのは考えすぎか…?




美紀の指を食べるラスト、納得のものだったと思います


前読んだ短編(忘れた)で、好きな人の遺骨を食べるシーンがあったことを思い出しました


居なくなってしまったからこそ、一緒にいて欲しかったんでしょうね、これについてカニバリズムがどうとか無粋なことを言うつもりはありません







世界の終りとハードボイルドワンダーランド / 村上春樹

2017-07-19 23:07:57 | 




わたしの思う村上春樹〜!という感じ





一角獣の頭蓋から夢を読む、住人たちに心が存在しない街に住む僕の「世界の終り」パートと

老科学者に脳をいじられ、自分の意識や思考回路にある秘密を探す私の「ハードボイルドワンダーランド」パートにわかれて話が進む。




世界の終りは主人公の想像世界で
ハードボイルドワンダーランドは現実世界で
平行に話が進むSFな作品だった



作品全体としての感想は、村上春樹作品の中では読みやすく、読んでる間にあれこれ考える余裕があった



主人公は想像世界と現実世界で生きるかの選択を迫られた時に、想像世界を選ぶんですけど、そのときの影との対話がものすごくいいです。

この最後の会話に物語の全てがつまっている感じ、影との別れの切なさ、でも暗くなくて青春のようなすっきりした終わり方が最高


影の意味はアイデンティティー的な、ほとんど現実世界の私と同等だと捉えて読んだので、現実世界の自分との別れでもあるラストにぐっときました。



私の思考がチープなので現実世界と想像世界でどっちを取るかという話の進め方が、どうしても既婚男性の不倫みたいだなぁと捉えてしまって(笑)


普通は妻子(現実世界)のほうに戻るんですよ、某不倫ドラマみたいに、笑
今回は浮気相手(想像世界)に責任を感じて、この恋愛(想像)を作り上げてしまったことへの責任ってところですかね、


で、この作品は多分想像世界を最終的に選んだってところがミソだと思うので、浮気相手(想像世界での)との今後は語らず、それについて考えることもしなくていい、って感じなのでしょうか



わかりにくいですねすみません



ここからは私の個人的なつっこみになるので適当に読んでください笑



世界の終りでは、住人たちの心がない世界だったが、それが理想郷なんてあまりに悲しいのでは?と思ってしまった



心がないと完全な世界になる、確かに、無駄ないざこざや汚い感情がないからあれだけ静かで穏やかな街になっていたのかもしれない(メン●ラもいないし)


でもなぁ、と正直思ってしまう、
先ほどいったように想像世界を選んだ後のことは語るべきではないからこれでいいのかもしれない。



ハードボイルドワンダーランドのやみくろ、またきたよ村上春樹のへんないきものシリーズ!と思ったけれど、やみくろが何を意味しているのか全然読み取れませんでした、誰が意見ください。




ハードボイルドワンダーランドにでてくる太った娘、祖父に35オーバーの男にヴァージンを捧げなさいって言われてるからセックスしよ!みたいな感じ、いくら物語でもは?という感じ

そして想像世界ならああ僕はロリ●ンなのね、と納得(?)するけど現実世界での話ですよ?笑




村上春樹作品の主人公、全員激モテなのは変わりないですね、好意持たれてセックスしてやれやれってタバコ吸いながらウイスキー飲んでる、もれなく


なんでモテるのか考えたんですけど、女の子に対して決めつけないところがいいのかな、と。

女の子からの抽象的な質問に対して、よくわからないな、けど僕だったらこう思うな、君は?という余裕が女の子を引きつけるゆえんなのかと。

あとみんな昔の音楽と詩的なものが好きですね、古い海外の名作のセリフ引用したりするところとか、言い回しが絶妙



太った娘にあなたの意識の中で生きたい、みたいな告白されてたけど、あれ、プロポーズより深い告白なのでは?
あなたの想像や思想の中で生きたいなんて普通言えるわけないですよね、


まあ想像と現実両方で登場してるのが図書館の女の子なんですけど。


想像世界でも現実世界でも両方にいてほしいと思われるなんて、さらっと書いてあるけどものすごい愛なのでは、、、


図書館の女の子の「私誰とでも寝るわけじゃないのよ」とか今何時?に対しての「夜中よ」とか「あなたのことは少しずつ知りたい」とか「ねえ知ってる?私、褒められるのって大好きなの」みたいなセリフが最高、こんな女の子になりたい




いらないことまで語りすぎた気がするのでやめます






殺戮にいたる病 / 我孫子武丸

2017-05-28 23:24:52 | 





有名なサイコホラー、叙述ミステリー







叙述ミステリーといえば葉桜の季節に君を想うということですね!葉桜の季節ですね!って言おうと思ってたら葉桜の季節はとうに終わっていました。



始まりがエピローグからで犯人の逮捕から始まること、
話の時系列がバラバラでもしっかり時期が示されていたこと、
叙述ミステリーだと知っていたこともあり
語り手(登場人物)が騙していくタイプのやつかな〜と疑って読んでいたのにどこにミスリードが存在するのかわからなかった。


(今思えばあぁ〜ここ〜!ってなるのに)



蓋を開けてみればミスリードは簡単で、
ぎりぎりなこじつけやちょっとイラっとしてしまう(笑)ようなトリックもあって
そんなに有名になるような作品かなと思ってしまう部分も多かった。

叙述トリックならアガサクリスティのアクロイド殺しに敵うものあるの?くらいの。




でも解説にもあった通り、近現代ミステリーは
現代における社会問題を絡めて話が進むものが多くて、
そう言った点において評価されてるのかな〜、と。



この作品では母親の息子への過度な干渉、家庭内における父親の存在…とかなんでしょうね。



でもとにかくグロテスクなのと、それに被さるような性表現がキツいので頑張って読んでください
(私は去年の解剖実習を思い出しました)




これだけは言いたいのが、帯の永遠の愛っていう文なんですけど、読了の正直な感想としては

「な〜〜〜〜にが永遠の愛じゃ!(ネタバレなので言えない)なだけだろ!綺麗にまとめるな!ゴミ男!清々しい顔して逮捕されるな!」



という感じです。





以下ネタバレ含む



























「あなたお義母さんを」でウワアアアそういうううううってなりましたね。


直前の時系列がちょくちょく変わってるところで
あれ?殺されてるのになんで母親のとこに向かっているんだ?ていうか雅子こっちにいるじゃん?あれ?ってなったらそっちかーーーー!!!みたいな…




見た目と年齢の差は少し?ってなるところがあった。
老けて見える息子と若く見える父親…うーん、こじつけな気がしてならない。
流れ的にしょうがないけど。



車の描写で、稔は自分の車持ってるって話してたのに、
回覧板でまわってきたときに夫の車で子供たちも乗りますって雅子が言っていた時もあれ…?と思った。



母親(容子のほう)が一緒に住んでるとは思わなかった。温泉にいこうと話しているシーンでお母さんといけば?は雅子の母親って意味なのかな〜と思っていた。う〜ん。




息子(信一)の様子がおかしいと雅子が思っていたのも、父親(稔)が殺人犯だと気づいていたからなんだと思うと頷ける。
信一は疑われたのち父親に殺されて1番不当な扱いを受けた登場人物だなぁ…



雅子は行動が、というより存在自体がミスリード。そして息子のゴミ箱漁ったり、特に性に関して干渉しすぎ。20歳の息子に対してそれなら反抗されても致し方ない部分もある。



稔は、ネタバレだから言えないと言ってた部分はマザコンが入ります(笑)
愛を受け入れてもらえなかったの理由だけでそんなに自分を正当化できるなんてただのサイコパス



樋口、かおるペアは感情移入がしにくかった。というより、好きではない。

かおるはお姉さんの夫と浮気して離婚させたし、浮気、ダメ、絶対。しかもお姉さんのものが欲しいという理由だけで離婚までさせ悲劇のヒロイン気取りなのがいけ好かない。


樋口の捜査は頼子のことを思ってなのか、それとも元警部としての血なのか、と思ってしまう。
自分のことを好きなの知ってて自宅で家事させたり、帰りたくないところを無理に帰すのが優しさだと思っているところ…
あと奥さんのこと引きずりすぎ、強く生きろよ!!!





ということで実際あまり好きではなかった、というために熱く語ってしまった。

知ってからではないと嫌いと言ってはいけないというポリシーのためです。





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限りなく透明に近いブルー / 村上龍

2017-01-31 00:00:35 | 





本を読み進めることがなかなかできずに
更新滞ってた、、、




村上龍のデビュー作









暴力的で痛々しい描写の中に
爽やかさや青春を感じられた



限りなく透明に近いブルーという
綺麗な作品名からは想像できないほどの
ドラッグとセックスにまみれた内容で
かなりショッキングな感じ



暴力的な表現の間にある
置いてきた青春のようなものとか
疾走感とか

前読んだコインロッカーベイビーズに
通づるものがあった


一気にガッと読むのがいい作品かもしれない









以下ネタバレ含む











主人公の名前がリュウってことは
自分のオマージュでもあるんだろうか?


もう黒人とのドラッグ乱交パーティーのシーンは
痛い痛い痛い!って心の中で叫びながら読んだ




仲間たちはあんなに知能がなさそう(失礼)なのに
なんであんなにクラシックの
知識があるんだろう…

クラシックが知能が高い人が
好みそうっていうのは偏見だけどな…




リュウがずっと達観的に
周りのしていることを見ていたのに、

薬のせいで大事な人(リリー)の前で
どんどん意識というか自我がなくなって
だめになっていく様子も痛かった


リュウのいう「鳥」は現実のことを
指しているのかなと考えたんだけどどうだろう…





痛々しい描写は多くて、
でもその光景がすんなり頭に浮かんできて
さらさらと読んでしまえるような文、

限りなく透明に近いブルー、っていうのは
文章そのもののことを言っているような
生き生きした文というか……




とりあえずは
「セックス&ドラッグ&ロックンロール」
って本でした




全く関係ないけど、村上龍のエッセイで

「好きなことや好きな人を捜すのは、
この世の中で最も難しいのに、
誰もそういうことを言わないから、
子供や若い女の子は好きなことは簡単に
見つかると思って一生を棒に振ってしまう、」


っていう部分がお気に入り

それだけ!










儚い羊たちの祝宴 / 米澤穂信

2016-11-30 15:54:01 | 








お友達が貸してくれました
読みたい本リストにあったので嬉しい













全てバベルの会と関わりがある短編で

最後の儚い羊たちの祝宴に帰結する、



ミステリーコーナーにあって
読みたい本リストミステリー篇に入れてたけど

どちらかというとホラー、
サイコホラーのような印象





貸してくれた友達が
「殺意の動機があまりに幼い、浅い」
って言ってたんですが

確かに!!!と言った感じ





短編だし、少ない文で
殺意の芽生えと動機と行動をまとめると
しょうがないかなとも思う





ミステリーだと思うと、確かに
動機が稚拙だなと感じるけど、



ホラーだと思うと、サイコ的な考えで
すぐ殺してしまう展開もあるはず






綺麗な伏線回収もあるし
サクサク読めるのでいいとは思うけど

やっぱりミステリーコーナーにあるのは
腑に落ちない笑





あともっと自分に海外や日本の昔の
ミステリー知識があれば、
もっと楽しめたはず



勉強不足の一言に尽きますね




あと読了スッキリはしない、、、













以下ネタバレ含む






















個人的には玉村五十鈴の誉れが1番好き、

最後の一文の怖さが傑作

赤子泣いても蓋、とらなかったんだな…


五十鈴はお父さんの言いつけを
守っただけなのか、

それともお嬢様への情か、


ん〜〜〜〜〜〜




全体的に本当のところは?本当の気持ちは?
というところがうやむやになってる




そこが小説っぽいのかもしれない






最後の儚い羊たちの晩餐は

「羊たち」が食べられる側である
バベルの会の会員たちなのか、


食べる側も「儚い羊たち」と表現してるのか


2つ目は考えすぎな気もするけど、笑




ミステリー読み漁って知識がちゃんと
ついてさえすれば

ヒントを受け取れたのになあという感じ




まだ早かった!













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