高校の同級生の男の子にオススメしてもらいました
読書芸人で又吉と若林が好きな作家として
中村文則をあげてたので気になっていたので買いました
あと私が又吉の好きな本や作家が似ているのでこれは読んでおくべきかな、と
同級生にオススメされた作品のうち
1番初期の作品だったのでまずは、と遮光を手に取りました
これはすべての虚言癖の人に読んで欲しいなぁと
というか、虚言癖までいかなくてもしょっちゅういらない嘘をつく人とか、結構いますよね
まずあらすじが、恋人が事故死したことを周りに隠してアメリカに留学してると嘘をつき続けている男が、死んだ恋人の指を瓶に入れて持ち歩いている、
重っ!って感じなんですけど、
さすがはいい文章でものすごくスラスラ読めます
中村文則の好きな作家、調べたらカミュとかドフトエフスキーとか、暗い作品が多かったのでなるほどと笑
重いというより、ずっとずっと辛かったし、
主人公の嘘にでてくる美紀(恋人)が幸せそうでとてもキツいです
人は何故嘘をつくのかという問いに、自分自身を守るためだっていう答えをつけてくれるような本だったと思います
優しい嘘、なんて柔らかいものじゃない、
もっとどこにもいけない感情とか、人間の奥の暗いところから滲み出るような、そんな嘘でした
この人嘘ついてるな、とわかってしまったとき、
その嘘を責めるだけはせず、
その人のどうしようもなさや、何故言ったのか、嘘をついて何を守りたかったのかの背景を考えながら騙されてみようかなと思いました。(嘘付かれるのは本当は嫌だけど)
ネタバレ含む
主人公の虚言癖は小さい頃に両親を亡くして
親戚に引き取られた時の回想シーンで始まりましたね
本当の気持ちを出さずに殺すために、嘘をつくことが1番手っ取り早いことを知ってしまうんですね、
途中の描写で、美紀のことなんて実際そこまで好きじゃない、みたいな箇所がありますが
最後に崩れていく様をみると本当に愛してたことがわかるから、
ただ虚言を繰り返していただけじゃなく
自分自身にもずっと嘘ついていたことがわかります
そこまで好きじゃなかったから大丈夫、と嘘つくことで自分を保っていたんでしょうね
最後、人を殺す描写の必要があったか?問題ですけど、どうしようもなさの爆発だけなのか、それとも嘘つきすぎて現実との区別がつかない、というのは考えすぎか…?
美紀の指を食べるラスト、納得のものだったと思います
前読んだ短編(忘れた)で、好きな人の遺骨を食べるシーンがあったことを思い出しました
居なくなってしまったからこそ、一緒にいて欲しかったんでしょうね、これについてカニバリズムがどうとか無粋なことを言うつもりはありません