秋紀 芳慧 (Yoshie Akinori)

柴犬と白々と化していく世界の夢

広大な駐車場を駆けている。

息も切らさず駆けている。

えんえん飛ぶように駆けている。


ふと見るとリードがついている二匹の柴犬がいる。

二匹は道端にたたずんでいる。

そばには小太りのおばあさんがニヤニヤ笑いながら立っている。

おばあさんは大きな一匹の柴犬のリードをにぎって立っている。

おばあさんは、「もう一匹いるはずなんだけどどこだか…」と言って探している

様子で困っている風に見える。


もう一匹を僕は探しに駆け出した。

えんえん駆けていく。

すると二匹の柴犬は僕の先を走って逃げていく。

僕は二匹を追いかけていく。

長い間走ってリードをつかんで二匹を捕まえるが、三匹目の柴犬は見つからな

い。

駐車場を抜けて路地に入ってえんえん駆けていくと、またあのおばあさんが

路肩に白い柴犬と一緒に座っている。

「おばあさん、それが三匹目ですか」

「ああそうだ。忘れていた。これで全部だ」

その言葉を聞いて、二匹の柴犬といつの間にかいた大きい柴犬と一緒にもと来た

道を駆け戻っていく。


ようやく始めにいた駐車場に着くと、昔の映画に出てくるような前輪の大きい自

転車に乗った女の子と、一緒に歩いている女の子らにすれ違う。

もといた場所に戻ると、手話のように大きく身振りをしながらお悔やみを述べて

いる三人家族に出会う。

そのそばのフェンスに柴犬をくくりつけて、僕はその家族の奥さんがお悔やみを

述べている様を眺めている。


ふと道に目をやるとは熊の手がひっついている。それがまだ生きていて動いてい

て、宙を引っかいている。された熊だとどこからか声が聞こえる。


少し離れた場所に巨大な脳みそと唇がくっついた生き物が息絶えようとしてい

る。

おばあさんが何か言っている声が聞こえる。それは何か不吉なものを感じさせ

る。

「巨大な脳みそ唇は胃拡張のような状態で、生活習慣が影響して今死ぬところ

だ」

不吉な生き物は痙攣して死んでいく。


すると澄み渡る夕焼けだった世界が急に灰色のもやに覆われていった。

怖くなった僕は隣にいた多部未華子似の女の子と手をたずさえて一緒に逃げて

いった。



しばらくすると僕はあることに気がついた。

風景が変わらないのである。

同じ景色の中をループしているような中をハードルを越えるように何度も繰り返

す中を逃げている。

しかもループする風景はどんどん白く輝く虹彩の輪郭だけになっていく。

感覚だけしか感じられないそんな世界になっている。

これでは全く逃げれていない。


僕は焦って元の場所に戻ろうと女の子に言う。

だが女の子は言う。

「私は舞台に生きる。光の中で生きていく」



途方にくれた僕はそこで目を覚ましていった。

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