市内のネズミ・テン・蛇・ムカデや黄金虫が一斉に巣を捨て,必死に町から逃れようと,大通りをまっすぐ南に下っていった *1
このシステムこそが,ほんものの「第六感」を作動させるメカニズムである可能性がある.私たちが時折,伝統的な五感では通常とらえられないはずの情報を受け取ったりする,いわば超自然的な能力を発揮するのは,このシステムのおかげなのかもしれない,ということだ *2
ドロシー・C・ダニングはコウモリを多少飼いならして,機械を使って空中にほうり投げたミールワーム(小鳥などの餌にする幼虫)をつかまえるように訓練した.コウモリがこれに慣れたとき,こんどは虫をほうり上げるのと同時にガが出すカチカチ音のテープ録音を聞かせてみた.すると虫をつかまえようとして急降下してきたコウモリは,その音を聞くと向きを変えて飛び去ったのである.後になって,これらのガはコウモリにとってひどくまずい味がするものであることが分かった
ことによると第六の感覚が存在するのではなかろうかという潜在的な疑念は,それがどのようなものであるか誰にもよく分からなかったにせよ,常に存在していた.この第六感とは,常にばく然としていて定義し難く,むしろ,五つの基本感覚と結びつけることができないコミュニケーションの手段をあらわす言葉となっていた.現在では第六感が存在するか否かは問題ではない