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絵とテニスと数学が好き

楽しい仲間が一杯の津幡町テニス協会の情報や、日々行っている数学の授業などについてお知らせします。

【教育】長野県飯田高校へ行ってきました(1)

2005-09-21 18:36:55 | Weblog
 長野県飯田高校へ行ってきました。津幡から飯田高校までは7時間もかかります。名古屋から高速バスを乗り継ぎ、飯田線の伊那上郷から10分くらい歩いて、ようやく飯田高校の門の前に立ったときには「やっと着いたなあ」と感じました。
 僕はここで数学の授業をするためにやってきたのです。僕の友人からこの話を紹介されたのはまだ春の頃です。僕は高専の先生ですから、高校の授業のベテランの先生が揃っているところで授業をするわけで、話す内容から話し方まで、まったく自信がありません。その僕が今回の出前授業をお受けしたのは、飯田高校の下平先生が数学の教師としても、人間性あふれる情熱家としても、素晴らしい方だということを聞いたからです。それなら、僕は数学を教えにいくけれども、僕のほうは数学の教え方を学びにいこう、という気持ちになったのです。春からの準備や打ち合わせを経ていたので「やっと着いたなあ」という気持ちになったのだろうと思います。飯田高校は建物が素晴らしいばかりでなく、掃除が行き届いた気持ちの良い学校でした。


 僕がその高校に呼ばれることになったのは、常歩頃から、電卓やパソコンといった、いわゆるテクノロジーを使った数学の授業を行っているからです。僕が使っている TI-89 という数式処理電卓は、グラフを描くことも、因数分解や積分の計算をすることも、およそ高校で習うことは何でもできます。数学を学んでいくときの道案内をしてくれる道具という意味で、僕はこれを数学ナビゲータ(数ナビ)と名付けました。
 数ナビがいくら高性能であるからといっても、もう数学を勉強しなくてもいいんだという考えは、間違いもいいところです。いくら優れたカーナビを持っていても、車の行き先を決めるのも運転するのも人間です。もっと大事なことは「そこに行って何をするのか」ということを考えることでしょう。数学を学んで何をするのか、そのためにどんな勉強が必要なのか。これは自分で考えなければなりません。それが分かったのなら、なかなか歩いていけないような遠くに旅行するために、数ナビを利用してもいいではないか、というのが僕の考えです。

 僕が今回、3時間半の授業で伝えたかったのは、自分で考えることの大切さです。そのために選んだテーマは「自由な曲線を描いてみよう」ということでした。数学を教えてもらうことは、知識を増やすために必要不可欠で、また効率が良い学習方法です。しかし教えてもらったことを元にして、自分で考え、自分で発見し、人に伝えていくことは、それと同じように大切なことです。

 金曜日の90分間の授業では、さまざまなグラフを見て、なぜそんなグラフになるのかを考えるという体験をしました。手では1つのグラフを描くのに1時間もかかってしまいますが、数ナビなら授業中に20個程のグラフを描くことができます。翌日の2時間の授業では、グラフを使って平面上に曲線を描く、という体験をしました。最後には「自由な曲線を作ってみよう」ということを課題として授業を終わりました。
 飯田高校40人の生徒たちは素晴らしい集中力を見せてくれました。生徒たち一人一人の名前も知らないのですが、きっと何人かの生徒たちは、あれからたくさんの曲線を描き、その理由を考え、さらに、自分の気に入った曲線を作り出すための挑戦を繰り返していることでしょう。そして「数学の楽しさ」を感じてくれている生徒もいるに違いありません。残してきた課題についての生徒たちのレポートは、やがて僕の元に届くはずです。僕はそれがとても楽しみです。やがてその報告もしたいと思います。それが今日の記事に(1)をつけた理由です。

 今回の機会を設定してくれた中澤さんと、僕を呼んでくれた下平先生に心から感謝します。ずいぶん緊張しましたが、僕にとってはとても楽しい、有意義な体験となったことを申し添えます。(本当はちょっと疲れました。)


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1 コメント

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授業を見せていただき感謝 (浜 恒弘)
2005-09-22 16:56:29
阿蘇先生

長野県下諏訪向陽高校数学科の浜恒弘と申します。



飯田高校では授業を拝見させていただき、ありがとうございました。阿蘇先生の授業を拝見しながらいろいろなことが思い浮かび、反省会ではうまくまとめられず取り留めのない話しをして、失礼致しました。tamsのメーリングリストでは毎回メールを拝見しているのに、実際お会いするのは初めてで、想像していた以上に若くて颯爽として驚きました。



授業の進め方も丁寧で板書もきれいで大変わかりやすかったです。生徒に出される課題を生徒と一緒にグラフ電卓で解いて行くのですが、媒介変数で線分を描く課題はいままでに考えた事がなく(他のことはいろいろやっていても)休み時間もいろいろ試してみました。となりの教頭先生もやめられない様子で、生徒達も夢中になって電卓をいじっていて小型ゲーム機に夢中になっている様子と変わらず、その姿を見るのも面白かったです。



グラフ電卓のように簡単に生徒達が扱えて、数学的実験が気軽にできるのはいいなあと思いました。もっと安くなって生徒達が簡単に買える値段になるといいですね。

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