木村伊兵衛は小説家や役者、女優たちも数多く撮ったが京都や銀座の舞妓さん・芸者さんたちも多く撮った。粋な写真家には知的で美しい舞妓さんはまた似合ってしまうのだ。この動画で言及される小説『Memoris of the Geisya』(アーサー・ゴールデン著)とその映画化『さゆり』のモデルとなった芸者中の芸者-伝説の芸者である岩崎峰子氏を、木村伊兵衛氏が撮っていたかは今手元では分からないが、「木村伊兵衛の世界」(東京都写真美術館)では木村伊兵衛氏の舞妓の写真の多くが1950年代半ば(~70年代)になっているのでまったく可能性がないわけではなさそうだ。しかし国内にいると、お座敷をもたないかぎり舞妓さん芸者さんと会ったり深く知ろうということにならないが、外国人からすればもの凄い関心の対象になるようだ。1990年代後半、日本では「ブリジット・ジョーンズの日記」が話題になっていた頃、「『Memoris of the Geisya』は30数カ国に翻訳されたので、同じくらいの超話題の本になっていたらしい。そこで21世紀にはいってからの外国人の芸者ブームが到来することになったようだ。とにかく一度、外国人の立場にたって芸者さんのことを感じてみよう。芸者さんは女優やモデルとはまったく異なり閉ざされた空間で、交わされた話もすべて他言しないことを誇りにし、踊りも唄もできる、世事の事にも通じている。そうした閉じられた世界が、あまりに開かれてきた世界にはこよなく魅惑的に映るのは当然だろう。