Barineko's memorandum

個人的に忘れちゃいけないこと、大事にしたいことを書きまする。

施設に行けば

2007-12-20 00:07:55 | Weblog
施設にいる祖母に会いに行った。
近くにいるのにうまくいえない理由で足が中々向かずもう年も終わりになってしまった。
うちのばーさんは97歳。まさに生きた化石そのもので
白内障になった両目も、医者が挿す薬のおかげで「片目がはっきり見えるようになってきた」らしく
ちっちゃい目を見開いている。

私を忘れてやしないかと心配しながら部屋に入ると
「ゆず子」
と呼ばれたものの、ちゃんと孫と認識してくれたのでホッとした。


施設では「ゲーム大会」の真っ最中。
馬のぬいぐるみを車椅子に座りながら職員と一緒に引っ張りまわして遊んでいる。
うちのばーさんは参加しておらず、大量の飴玉をベットに散らかしていた。

施設からの贈り物のようだった。
「わしゃこの年になって飴玉なんて食いたくない」
飴は安いし、クリスマス近いですからね。
アンタ若いからやろうといわれたけれど、
欲しくないし後で捨てるのも悲しいから断った。


全く顔を見せない罰当たりな身内にとって、ここでは何かなら何までが
「場違いな存在」の気がして、申し訳ないやら落ち着かないやらで仕方がない。
ケアマネージメントの人たちも、こんな来訪者に対してどう思ってるだろう。


施設は、とても臭った。


慣れのせいで、気がつかないだけなのかなと思ったが
気がつかないフリをしてるのがきっと正解なんだろう。

おばあちゃんの口から出てくるのは過去の恨み事が9割を占める。
それはいつも同じ内容で、変化があるのはその口調のみだ。
時間が立てばたつほどに増幅し、何年間も爆発し続けている状態である。
前のめりになって、こちらの問いかけも耳には届かず
私も彼女の言葉が理解できなくなっていく。

言霊、という言葉を思い出していた。
うらみのこもった祖母のそれは、私を攻めてる内容じゃなかったけれど
とても傷ついた。


臭いと、祖母の表情と、言葉、そして飴玉。
嫌いになりきれない。でもとっても辛いんだよ。

身体が冷たくなって精神的な危機すら感じながら部屋を出た。
侵食された感じ。かなりやばい。


ケアマネージャーの方に通りすがり挨拶する。
型どおりの挨拶をした後、私は彼に、
「この施設、臭いますよね」と口走っていた。
けど嫌味なんかじゃない。


今は割と落ち着いて、日記を書いている。
祖母に何かを買ってあげるとか家に呼ぶとかよりも
もっと会いに“施設へ”行くべきなんだと、思う。
場所よりも、会いに、こちらから出向くべきなんだ。

でもここまで辛いとは思わなかった。
帰宅後の父との会話も疲れる。思いやりってきっと誰もが忘れてる。
心が壊れそう。そっとしておいてほしい。



ひとつ救われたのは、祖母の服装。
明るくて綺麗なオレンジ色のニットを着ていたんだ。
似合ってるよ、と結構な回数を繰り返し耳元で言ってやった。


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4 コメント

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無題 (ニャル)
2007-12-20 18:58:45
あなたは、正直な人だね。
自分に正直な人だ。
それで、いいんだよ。
嘘をつくより、ずっといい。
返信する
どうもありがとうございます。 (barineko@管理人)
2007-12-21 01:24:36
>ニャルさん
色々考えちゃうよ。一歩間違えれば深いところに落ちていってしまいそう。
ああいうお婆さんにはなりたくないんです。絶対イヤ。
けど、イヤイヤ言ってるうちに、そうなってしまいそうな気もするし、イヤイヤ言ってる今の自分にもウンザリします。
追い詰められたとき程気持ちに嘘をついたら、
私自身がどっかに行っちゃいそうで怖い。
「いい人間」の尺度は持っていたんですよね。
返信する
お久しぶりです (ニャル)
2008-01-24 21:01:38
ひと月ぶりです 元気にしてますか
眼鏡屋さんから素敵な葉書が届きましたよ(笑)

俺は自我の無い人が羨ましかった
幸せそうに見えたから
でも今は 今の自分で誇らしい
抑鬱も強迫も痛風も全部俺のもんだ
誰にもやるもんか(笑)

あなたはあなたの表現を大事にして欲しいな
辛いことも幸せなことも昇華して
作品に昇華して欲しい

1月4日にオーロラタウン地下街に行ったとき
あなたがペイントした鳥のコーナーに人が群がっていた
表現する人の凄味を感じたのだった
この幸せ者ッ!
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お返事遅くなりました (barineko@管理人)
2008-01-31 00:11:06
ニャルさんこんにちは。
私のこと、知っていてくださってるのですね!
お会いした事あるのかな?ありがとうございます。

自我の無い人かー。私の10代はまさにそれだった。自主性ってなんだろうって…。
全然見えませんでした、自分の単純な欲求すべてを。

今27歳。良くも悪くも我が強い、なんて言われたりしますが、悪いってこたぁないでしょうと思います。
表現で失敗もするのは人間なんだから当たり前で、
傷つく事も、傷つけられる事も最後は許されていいのでは、とね。

私自身を一つでも認めてあげていいところは何か、といえば、それは絵。
表現は生きることだから、上手くウソ付く事も覚えながら出来るだけ正直に、やりたいなぁ。

病気すらもニャルさんの生き方にしてしまうななんて、強いですね!!
そういう生き方って素敵!

私は、私の表現についてまだまだ認識していないところが多いようです。
けど、確かに私は幸せ者かも。
ありがとう。
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