【9】 モー？ いるんだろ？

・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・


《しばらくしてJackはピアノの手を止める》

Jack：ダメだ、そんなんじゃ。それはバッハをやる時の演奏だよ。もっとスウィングしなくちゃ──。 いいかい？よく聴いてくれ。

Jack：（ピアノを弾きながら） ・・・・アクセントだよ・・・・バックビートを掴むんだ・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・


《（男）目を閉じて指を鳴らしながらJackの演奏に聴き入る──》


男：Jacky、もう一度やろう。 もう一度、はじめからやろう。 いいだろ？

Jack：オッケー、今度は少しテンポをおさえてやってみよう。 いいかい？（指を鳴らす） ・・・・ ワン・ツー 1.2.3.4


《再び演奏が始まる》

・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・


Jack：

いいぞ！その調子だ・・・・
タンギングをしっかり！・・・・
今の下降フレーズはよかったぞ！・・・・
さぁ、もっと外側に行くんだ・・・・
少しコードからアウトしてみなよ・・・・
わたしの音をよく聴いて・・・・
もっと高音域を捉えるんだ・・・・
わたしが支えているから・・・・
いいぞ！やるじゃないか・・・・
（右手で天を指差して）さぁ、もっと外側へ行くんだ！・・・・


《照明が落ちる。演奏→フェイドアウト》


しばらくおいて再び照明がつく。Jackのスポットライトのみ。Jackは電話をかけている。男はいない──。










――――つづく―――――













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