SPORTS! SPORTS! 寝てもさめても

16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

ありがとう! 山中慎介 長谷川穂積

2016年09月17日 | ボクシング

9・16≪ワールドプレミアムボクシング24≫  ~エディオンアリーナ大阪~

【WBC世界バンタム級タイトルマッチ 12回戦】
チャンピオン                挑戦者・同級1位  
山中慎介(帝拳)◎ 7回1分9秒TKO ● アンセルモ・モレノ(パナマ)


【WBC世界Sバンタム級タイトルマッチ 12回戦】
チャンピオン                   挑戦者・同級5位
ウーゴ・ルイス(メキシコ) ● 9回終了TKO ◎ 長谷川穂積(真正) 



感動で震えた!

ボクシングを見続けていて、よかった!!

そんなことをつくづく感じさせてくれる、
感動の一夜となりました。


ダブル世界タイトルマッチ。
山中慎介と長谷川穂積。

近年の日本ボクシング界を引っ張ってきた、
まさに”スーパー王者”の二人。

その二人が挑んだ、
乾坤一擲のこの日のタイトルマッチでした。

山中慎介は、
アンセルモ・モレノというWBAのタイトルを12度も防衛した世界のビッグネームとの再戦。

昨年の初対戦では、
この強豪に対して山中は、
素晴らしい技術の応酬の末、
2-1と僅差の判定勝ちを収めました。

確かに僅差の判定でしたが、
判定自体は何ら文句のない、
公正で正当なものだったと思いますが、
口さがない面々からは『地元判定』というような揶揄する言葉が聞かれ、
山中のV9はすごくゆがめられたような印象になってしまいました。

山中自身、
このことはすごく彼のプライドを傷つけたようで、
本来やらなくてもいいこの強豪との対戦を再度選択して、
『前の試合の決着をつけようぜ!』
という気迫に満ちた姿を見せてくれました。

そしてこの日は、
『ディフェンスマスター』であるモレノに対して、
山中はより踏み込んで得意の左を当てて倒しに行くという、
まさに≪決意をもって切り込んでいく侍≫そのものの戦い方でした。

強豪同士が相打つ対戦でしか見ることができない、
見る者にも感じさせる殺気のようなものが両者からビンビンに伝わってきて、
第1ラウンドのゴングから、
瞬きさえも許してくれないような戦いとなりました。

そんな中、
山中の左がモレノにヒット。
第1ラウンドからダウンを奪います。

『よっしゃ!いったれ!』

とイケイケの気持ちになるものの、
モレノが”すごい右フック”で反撃開始。
4Rにはもろに山中がこの右をもらいダウン。

試合は一進一退のまさに”ぶった斬り合い”
しかしその中に、
両者のきらりと光る超絶な技巧がちりばめられていたりして、
なんだかドキドキしながらも、
『こんなすごい試合、いつまでも見ていたい』
というような、
妙な感覚にも襲われていました。

5Rもモレノの攻勢は続き、
ドキドキもピークになった6R、
山中の『神の左』と言うか、
『神の刀』が炸裂。

まさに正宗を持った宮本武蔵のごとき、
すごい左でした。

モレノはもんどりうってキャンバスへ。
その目は、
驚きに満ちた感じでした。
『なんでこいつは、こんなパンチを打てるんだ』
とでもいうような。

そして迎えた7R。

もうここからは、
山中のフィニッシュの時間。

再度ものすごい左でモレノを吹っ飛ばしダウンを奪うと、
最後はラッシュをかけ、
モレノは静かにキャンバスに崩れ落ちました。

山中チャンプが、

『俺が山中だ!!!文句あるやつは、出て来い!!!!』

とでも言っているように左手を高々と天に向けて掲げて見せ、
見事すぎるKOで11度目の防衛を飾りました。


すごい!すごすぎる!!

この試合、
もちろん日本の『年間最高試合』であるのは疑いがありませんが、
世界の中でも『年間最高試合』に選ばれてもいいぐらいの、
ものすごい試合でした。

ワタシはもう、興奮が止まりませんでした。


そして長谷川穂積。

思えば長谷川が心身ともに絶頂だった2010年4月30日。

WBC王者として10度の防衛を達成した長谷川は、
WBO王者のモンティエルと、
『統一世界王者』を目指した防衛戦を行いました。
(*当時はWBOが日本で認定されていなかったので統一戦と表記はされませんでしたが)

長谷川の負けるところなんてこれっぽっちも頭に思い描いていなかったワタシは、
日本武道館で衝撃のシーンを目撃してしまいます。
『あの長谷川が、KO負け』

その試合での、
真剣での斬り合いのようなすさまじい殺気と、
KO負けのあとの、
まさに水を打ったようなと表現できる会場の雰囲気。
いまでも昨日のことのように、
思い浮かべることができます。

その後の長谷川のボクシング人生は、
常に引退との戦い。

『2階級特進』でWBCフェザー級のチャンピオンになるも、
やはりその『大きすぎる階級』での戦いは無理があり、
初防衛戦で衝撃のKO負け。

その後2014年に3年ぶりに挑んだSバンタム級世界挑戦で、
『やはり無理なのか・・・・・』
という試合でKO負けを喫し、
それからは世間の風も変わり、
『いつまでも現役と言わないで、引き際を汚さないで引退してほしい』
という声が大半を占めました。

その間、
井上尚弥、八重樫東、村田諒太に山中慎介など、
素晴らしいボクサーたちが次々登場して、
長谷川穂積の存在感は、
薄くなっていったといっていいでしょう。

今回世界戦を迎えるにあたって、
世間の声は『あの長谷川の最後の試合を、見届けてあげよう』という声が多く、
長谷川の戴冠を期待する声は、
多くはありませんでした。

会場に駆け付けた多くのファン、
そしてテレビの前で声援を送ったファンも、
『長谷川ファンが、長谷川の最後の試合で、長谷川を介錯する』
という心持だったのではないでしょうか。

しか~~~~~~し


やってくれた!!!!

長谷川穂積が、
まさに魂のファイトを見せてくれて、
TKOでタイトルを奪取。

まさか、まさかのあふれた試合となりました。


序盤から長谷川本来の『打たせず打つ』のヒット&アウェーの原点に戻ったような軽快な動きで相手から主導権を奪います。

この序盤の動きを見て、
ファンは『もしかしたらがあるかも』と期待したと思います。

しかし時折相手のパンチをもろに食らう場面もあり、
過去3度にわたって目にした【壮絶KO負け】のシーンが頭をかすめました。

しかしこの日の長谷川は、
その『無理に打ちあって、壮絶に負ける』長谷川ではなく、
撃ち合いながらもどこか余裕があり、
『あの強かった長谷川』の姿をほうふつとさせるファイトでした。

そして迎えた9R。
ルイスのパンチにぐらりとした長谷川は、
ロープに詰まって連打を浴びかけました。

しかし長谷川、
ひるまずに打ち返しものすごい打ち合いに。

しゃにむにパンチを繰り出すルイスに対し、
長谷川はしっかりと相手のパンチを見ながら返しのパンチを叩き込み、
見事に相手を”返り討ち”。
会場のボルテージは最高潮になりました。

そしてルイスは、
この9Rの激闘のあと、
10Rのゴングが鳴っても、
コーナーの椅子から立ち上がることはできませんでした。

長谷川の、
見事なTKO勝ち。

35歳での、
見事なチャンピオン復活でした!!!!


山中の試合は、
ワタシは”絶叫モード”で叫びながら見ていたのですが、
長谷川の試合、
とくに8R・9Rあたりは、
ワタシは”祈りと涙”で声を上げることができず、
黙って拳を握りながらみていました。

後ろでワタシの様子を見ていた家族からは、
『なんだか不思議な感じの見方だったね』
と言われ、
『もしかして、泣いていたの?』
とからかわれてしまいました。

人間って本当に集中しているときは、
声すらも出ないんだなあと、
あらためて認識しているところです。


山中チャンプも長谷川チャンプも、
『なぜボクシングが凄いのか』
を体を張って見せてくれた夜でした。

日本のボクシングの試合で、
ここまで感動に打ち震えることって、
なかなかありませんが、
この夜はサイコーでした。


八重樫vsロマゴン
畑山vs坂本


あたりの試合がワタシの脳裏に浮かびましたが、
最近のボクシングの世界タイトルマッチとしては、
並ぶもののない試合となりました。

やっぱり、ボクシングって、いいな~!


そんなことを感じさせてくれる二人のチャンプに、
深々と頭を下げながら、
ありがと~~~~と叫んでいる、
ワタシです。



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