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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

世界Sフライ級タイトルマッチ  『怪物のボクシングは、まばたき厳禁!』と思っていたら・・・・

2016年05月09日 | ボクシング

≪ボクシングフェス5・8≫  ~有明コロシアム~  5月8日

【WBO世界Sフライ級タイトルマッチ】 12回戦
 チャンピオン                同級1位 
 井上尚弥(大橋)〇   判定3-0   ●ダビド・カルモナ(メキシコ)
               118-109
               118-109
               116-111


【IBF世界Lフライ級タイトルマッチ】  12回戦
 チャンピオン                同級10位 
 八重樫東(大橋)〇   判定2-1  ●マルティン・テクアペトラ(メキシコ)
               115-113
                             116-113
               113-115  



GW最終日の日曜日夜。
井上尚弥&八重樫東の両チャンピオンによる、
ダブル世界タイトルマッチが有明コロシアムで行われました。

連休最終日の夜ということもあったのでしょうか。
観客の入りは非常に悪く、
半分もいっているかいないかといったところ。

【若き怪物】井上尚弥の世界戦にしては、
いささかさびしい会場の雰囲気ではありましたが、
まあいいでしょう。

会場では歴代チャンピオンたちが、
熊本地震の義援金募集で、
入口にずらっと並ぶ光景が見られました。


さて、
先週の内山のまさかのKO陥落を受けての世界タイトルマッチ。

八重樫は大学の後輩でもありますし、
期するものがあるこの日のタイトルマッチだったと思います。

そして井上尚弥にとっては、
思い描く『世界戦略』のためには、
勝つだけではなく内容も問われるという、
いつもながら『高いハードル』を設定してのタイトルマッチとなりました。


この日の興行は5試合(+予備カード)。
ダブル世界戦の前に、
世界を目指す若き3人のホープが相次いで登場しました。

高校3冠の実績を引っ提げてデビュー3戦目に臨んだ井上浩樹は、
段々とその大器の片りんを見せ始めました。
1RでのKO勝ちで、
一歩一歩世界へ近づいていっています。

そして井上尚弥の弟である井上拓真は、
自身の持つ東洋太平洋Sフライ級のタイトルマッチ。
前回まで今ひとつインパクトのある戦い方が出来ずに終わっていた拓真ですが、
今回は素晴らしい戦いぶり。
挑戦者を2Rでマットに沈めて、
『年内に世界へ挑戦したい』と高らかに宣言。
いよいよ『兄弟戴冠』が現実味を帯びてきました。

反対に残念だったのが、
世界挑戦への前哨戦と位置づけたこの日の試合でKO負けを喫した松本亮。

この日は動きにキレがなく、
悪い癖である”相手の前に棒立ちになる”ところに連打を浴びて、
『負けてはいけない』試合を落としてしまいました。
再起への道は、険しそうな気がしますね。


そして八重樫のタイトルマッチへ。
『激闘王』の名前の通りのファイトがたくさんのファンの心を揺さぶる八重樫ですが、
この日は体のキレが今ひとつに見えました。

それでもしっかりポイントを奪っていた感じで、
試合終わりでワタシは、
『3~5ポイントぐらい八重樫だろう』
と採点して場内の判定結果を待ちました。

すると、
まず一人目は何と、
113-115で挑戦者を支持。

『えっ』

と思わず絶句して固まっていると、
二人目は115-113で八重樫支持。

心臓に悪いドキドキの後、
3人目は116-113と3ポイントの差で八重樫の勝利として、
ようやく八重樫の勝利が決まりました。

あまり八重樫が『取られた』ラウンドが記憶にないので、
この判定は正直意外ではありましたが、
それもこれも勝ってしまえば笑い話。

何とか勝利を手にして、
今回もまた『おとうちゃ~ん、頑張れ~』と声をからして応援していた3人の子供たちに『強いお父ちゃん』を見せられて、
良かったですね。


最後はメインの戦い。

井上尚弥の3~5RぐらいでのKO勝利を予想していたワタシとしては、
まさかの展開になって試合中ドキドキしっぱなしのファイトになりました。

出足の1,2R、
これまでの試合と何ら変わりない『キレもあってコクもある』井上尚弥の戦いだなあ・・・・・・・
なんてワタシはすっかり安心しきっていました。

しかし、挑戦者が粘り、
『早い回でのKO』
はなくなりました。

このぐらいの時はワタシと同行者は、
『久しぶりに井上のファイトを、長く楽しめるなあ』
なんて余裕ぶっこいていましたが。。。。。。。。

4Rぐらいに、
『むむっ。ひょっとして、挑戦者、結構タフ?』
なんてコメントに変わり、
5・6Rぐらいに『ちょっとおかしいぞ』ということになりました。

会場もなんだか、
『いつもと違う』
とざわめいている感じで、
内山戦に感じた『いや~~~~な感じ』がちょっと出だしたりして、
ワタシの心も、
ざわざわしてきました。

6Rぐらいからは、戦い方も明らかにおかしくなっているのがはっきりとわかりました。
あの『超絶な右拳』が全く出ない、出さない展開になって、
『ああッ井上、右拳やっちゃったんじゃないか?』
というヒソヒソがそこかしこで。。。。。。

それでもしっかりと足を使い左のジャブを中心に、
相手に攻めさせるということは全くなかったのですが、
心のざわつきは止まりませんでした。

8R,9R,10R・・・・・・・

回が進んでいくとともに、
インターバルでの井上の表情からも、
余裕や自信といったものが消えていく感じがして、
見ているのがツラい防衛戦となりました。

しかしそれでもポイント的には圧倒して勝つのが井上の真骨頂。

この日の後半戦の戦い、
それは見事なアウトボクシングでした。

動きは相手と比べて段違いで、
井上の新たな引き出しを垣間見たような気がして、
そういう意味ではとても素晴らしいタイトルマッチだったということもできますね。


迎えた最終ラウンド。

井上尚弥チャンプの、
『プロフェッショナル』な部分が垣間見えた最終回でした。

負傷した拳をムリさせることなく『流して』ラウンドを終えれば、
勝利は間違いないということは、
本人がいちばんよく分かっていたと思います。

しかし、
にもかかわらず、
井上尚弥チャンプは渾身の力を込めて、
左、右とパンチを振るい相手を追い詰め、
ダウンを奪ってKO寸前まで追いつめました。

その精神力とプロ根性。
『おみそれしました』
という感じでしたね。

見ている方は、
『そんなに無理して右のパンチ振るうなよ~~~』
なんて思いもありましたが、
やっぱりその超絶なラッシュには、
酔いしれてしまいました。


勝負は判定にもつれ込みましたが、
結果はほぼフルマークに近い完勝でした。
一人だけ5ポイントという僅差をつけたジャッジがいましたね。。。。。。。(116-111)
どこをどう見たら、
井上がラウンドを4つも落としていたのか、
聞いてみたいものですよ。
酷いジャッジでしたねえ。。。

でも、
こういう『恐ろしいジャッジ』があるからボクシングの判定は恐ろしい。
やっぱりKOで勝って、
すべてのそういった要素を封印しないとね。。


井上尚弥チャンプ。

なんにしても、
拳の具合がとても、とても気になります。

昨年は拳のケガで約1年を棒に振っているだけに、
再度同じ個所をやったら、
今度は選手生命の危機になってしまうのではないだろうか……なんて、
本当に心を痛めています。

どうか、軽傷でありますように。


それにしても彼の強打だけではないアウトボクシングでポイントを稼いでいく能力にも、
昨日は感嘆しました。
彼の引き出し、まだまだありそうですね。
世界へ打って出た時に、
色々な試合展開が考えられますから、
引き出しが多いというのは何とも頼もしいこと。

それだけに、
何度も言いますが、
拳のケガが大したことなければいいのになあ。。。。。。

GWの締めを飾るには、
ちょっと心臓に悪い夜でしたが、
大好きな井上尚弥・八重樫東両チャンピオンの激闘が見られたので、
すっきりとした気分です。


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