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第100回全国高校野球選手権大会 予選展望第8回【四国】

2018年06月29日 | 高校野球

≪第100回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望8 四国地区 -

 【香川】(参加38チーム)  
四国制覇の大手前高松の勢いを止めるチームがあるか?!

◎ 大手前高松
 
〇 英明 高松商  
△ 寒川 三本松 四国学院大香川西  
▲ 尽誠学園 観音寺総合

新星・大手前高松が春の四国大会で”四国の絶対王者”明徳義塾を倒し勢いに乗って初Vを飾った。夏も勢いに乗って甲子園を掴みに行く。チームは強力打線が看板。秋に悔しい負け方をした後しっかりと強化に励み、春は驚きの強打を披露した。四国大会3試合で26点と爆発した打線は他校には脅威。一方守りは3投手の継投でしのぎ切る。久々の新星登場が、香川大会にハレーションを起こす。そうはさせじと英明、高松商の両強豪が逆転を狙う。英明は選抜では初戦敗退に終わったが、持っている力はかなりのもの。春に一度コンディションを落として、夏にもう一度リセットという道程を踏んでいて、夏の戦いは楽しみだ。高松商は打線が相変わらず力強い。軸の定まらなかった投手陣も、春から底上げを図り、エース香川も復調して戦える陣容になりつつある。春に決勝まで駆け上がった寒川が3年ぶりの夏を狙う。エース山岡ら投手陣は県内屈指で、あとは打線の爆発待ち。連覇を狙う三本松は甲子園メンバーをずらりとそろえて「あの夏」の再現を狙う。四国学院大香川西は、音なしのところがかえって不気味。無視できない存在だ。観音寺総合は春4強まで進出して、この校名で初めての聖地を狙う。尽誠学園は名門復活へ勝ち上がりたいが、今年のチームのウィークポイントは大事な試合を勝ち切れない勝負弱さ。この克服が大きな課題となっている。



【徳島】(参加31チーム)  
捲土重来を期す鳴門がトップ快走。連覇狙う鳴門渦潮も戦える位置まで上がってきた。初の私学代表へ気合満点の生光学園も圏内。

◎ 鳴門 
〇 鳴門渦潮 生光学園  
△ 小松島 富岡西 城東 
▲ 徳島商 池田 板野

昨年6連覇を狙ったが敗れて久しぶりに無冠になった鳴門。しかし今年はその悔しさを胸に県内の秋春のタイトルを奪還。「やはり強い」というところを見せつけていて、今大会もダントツの筆頭候補だ。スタメンに並ぶのはほぼ2年生だが、打線の破壊力は過去の甲子園出場チームに決して引けを取らない。左腕の西野や球威抜群の上原らを擁する投手陣のレベルも高く、死角を探すのが難しいほど充実した戦力で2年ぶりのVを狙う。昨年現校名で初の甲子園となった鳴門渦潮。しかしその校名を甲子園でとどろかすまでには至らず、今年再度の挑戦を誓う。エース服部と鈴江の2本柱は強力で、市内のライバル・鳴門に一泡吹かせようと狙いを定めている。そして”公立王国”徳島にあって唯一の私立高・生光学園の甲子園挑戦が今年も焦点の一つだ。毎年のように県大会の上位に食い込む力を持ちながら甲子園まではあと一歩届かないという年が続いており、OBの期待はすでにMAX。今年も強打は健在で、何とか勢いをつけて駆け上がりたいところだ。春準Vを飾ったのは小松島。突出した戦力ではないが、全員野球で強豪を倒す、何とも相手にとっては嫌な相手だ。富岡西・城東の両校は初めての夏を狙うには絶好の位置につける。特に城東は鳴門とも互角に戦っており、一発逆転が十分に狙って行ける。名門の徳島商は、今年も戦力的には十分甲子園を狙えるが、今一つ近年勝ち切れないという歴史を積み重ねている。かつて毎年甲子園に登場していた頃の”夏の戦い方”を思い出したい。池田は戦力的には今年も厳しい。しかし100回大会だけに、かつて一世を風靡した姿を是非見せてほしいと願っている。


【愛媛】(参加59チーム)  
「四国の大票田」を制するのはどこ?松山聖稜、聖カタリナの”新しい風”が吹き荒れるか?

◎ 松山聖陵 聖カタリナ 
〇 済美 今治西
△ 小松 宇和島東 新田  
▲ 西条 松山商 川之江 

四国のほかの3県の倍近くの参加校がある「大票田」の愛媛県大会。他の3県が、シード校にとってはかなり有利な大会になるのと違って、愛媛は長丁場の戦いを見据えた戦術を立てなければならない。特に投手は近年の傾向でもあるが「絶対的なエース」さえいれば勝てるというものではなく、層の厚さが求められている。松山聖稜の荷川取監督は沖縄尚学出身で、安定したエースを中心にしっかりとした戦いをチームの哲学とする。今年もプロ注目のエース土居を擁するが、そのエースが春は戦列を離れた。彼の戦列復帰でチームは一気に活性化して、夏への戦いを盛り上げていけそう。一方の聖カタリナはかつての済美と同じく女子高からの転向組で、3年目での県内初制覇を狙っている。監督はその済美の上甲イズムを受け継ぐ越智監督で、打線の破壊力はかなりのものだ。済美は2年で四国、そして全国の頂点に立ったが、この聖カタリナはどうか。勢いに乗れば頂点まで突っ走る可能性は高い。済美は相変わらず県内ではトップの戦力を保持。県の盟主の座は譲れない。名門の今治西は3年ぶりの夏を狙う。例年夏は強さを誇っており、戦い方を知っている点が強み。2年生中心のチームを3年生がうまくまとめており、チーム力は相変わらず高い。宇和島東も昨年、今年とようやく実績が出始めて、復活ののろしを上げている。今年は夏の大会では面白い左腕の2枚看板を有しており、面白い戦いが見られそうだ。昨秋準Vの西条、4強の小松も狙いは甲子園ただ一つ。総合力で戦う両校だけに、波に乗れば一気に突っ走れそうだ。


【高知】(参加28チーム)  
”明徳1強”は今年も変わらず。高知は仕上げの時期に厳しい現実で、今年は絡めないか。

◎ 明徳義塾 
〇 高知商
△ 高知 
▲ 土佐 追手前 

「高知の夏は、明徳の夏」この図式が確立されて既に30年近く。今年は平成最後の大会になるが、平成の間中「明徳1強」状態がずっと続く高知県の高校野球界。瞬間の突風は何度かあったものの、安定して30年にわたり1強状態を維持してきた明徳の強さには、改めて驚かされる。そして今年も夏がやってきたが、今年は例年以上に「明徳1強の夏」になりそうな気配だ。明徳義塾は、選抜でこそ三重に悔しい負け方をしたが、トータルで見ると全国でも上位の戦力を誇っており、今年こそ2度目の全国制覇をすると意気込んでいる。その原動力はなんといっても「絶対エース」の市川の存在だろう。サイドに近いフォームから140キロ台中盤の切れる速球を内外角に投げ分け、安定感はピカイチ。あの大阪桐蔭が最も恐れるピッチャーだ。今年のチームは「良くも悪くも市川のチーム」と言われるぐらい絶対の存在で、控え投手陣の層は明徳としては珍しく薄いのだが、それも市川の力が抜けているから。全国制覇ということを考えると「市川一人では・・・・」との思いもないではないが、こと県大会に限っては、4試合限定の試合数で、彼が本気で投げるのは準決勝、決勝ぐらいだと考えると、ほとんど疲労によるパフォーマンスの低下は考えにくい。そしてそれを支える精度の高い全国屈指と言える守備、さらに谷合・中隈らを中心とした強打線。”ゴリゴリの本命”以上の差が他校とはついているのが現状で、よほどのことがない限り今年も明徳で決まりそうな気配だ。長年のライバル・高知は、明徳が明治神宮大会を制覇したおかげで選抜で甲子園の土を踏む幸運に見舞われたが、夏は正直きつい戦いが待っている。戦力のベースアップができないまま選抜では初戦大敗。しかも春に不祥事を起こして、大事な時期に練習試合が組めない対外試合禁止の措置を受けた。夏は幸いに出場がかなったが、明徳との差はかなり開いてしまった印象だ。やはり来年、下の高知中学から入学してくるであろう剛腕に、打倒明徳を託さなければならないかもしれない。今年は明徳に、何とか食らいついて好勝負に持っていきたい。かつては甲子園が年中行事だったものの、過去20年以上にわたり明徳の軍門に下り続けて、「ほぼ明徳不在」の年に1回だけ甲子園の土を踏んだものの、それ以外では全く勝負をさせてもらっていない名門・高知商。今や全国の高校野球ファンの間でも「古豪」の枕詞で呼ばれるようになってしまったが、かつて毎年ドラフト指名投手を生んだ”投手王国”に、久々に好投手が現れた。エース北代が高知商歴代エースに並ぶ投球を見せれば、明徳打倒の一番手に名前が上がる。しかしまだ「出来上がっていない」感も強く、夏に明徳と当たった時、相手のしぶとく足を絡めた攻撃をどう止めていけるのか。楽しみでもあるが、恐ろしくもある。他校にはほとんどチャンスはないと思われるが、昨年快進撃を続けた梼原など、高知にも”新たな芽吹き”が見え隠れしてもいる。新しい年号の高知の高校野球界は、果たしてどんな図式になるのだろうか。



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