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第105回全国高校野球選手権大会 予選展望その6 【近畿】

2023年06月30日 | 高校野球

≪第105回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望6 近畿 -

【滋賀】(参加50チーム) 
やはり近江が本命。選抜出場の彦根総合がどこまで迫る。

◎ 近江  
〇 彦根総合 
△ 滋賀学園 彦根東 
▲ 綾羽 立命館守山 甲西 

一昨年、そして昨年と、エース山田らを擁して県勢初の全国制覇まであと一歩と迫った近江。経験十分のメンバーは去ったが、まだまだその力は衰えてはいない。春に秋の雪辱を果たし県大会を制し、夏への準備は万端だ。1年から聖地を踏む横田が中心の打線は相変わらず鋭い打球を飛ばし、心配された投手陣は西山、河越ら一人、また一人と台頭してきて、近江らしい層の厚さを形成している。しかし昨年までのような「絶対」ではないだけに、他校にも付け入るチャンスはある。まずは宮崎監督率いる彦根総合が上がる。期待された選抜では自分本来の力が出せず初戦敗退したが、野下、勝田らの投手陣は近江を上回る。打線の援護で投手陣を助ける展開になれば、うれしい初の夏が飛び込んでくる。滋賀学園も今年は肉薄。左腕エース・大城の安定感は抜群。投手陣の層はやや薄いが、打線が鋭く援護したいところ。彦根東のエース・山田はひょっとすると昨年に続く「滋賀の山田」の系譜を継ぐ男かも。綾羽のエース野田も速球は146キロを記録し、一発逆転を狙う。2年連続で決勝で敗れている立命館守山は、打倒近江の気持ちがこれ以上ないぐらい高まっている。そしてオールドファンには懐かしい光星がシードを獲得。ヒゲの源さんはいないが、また暴れまわる姿が見たい。

(6/27ここまで)

【京都】(参加73チーム)  
京都国際vs龍谷大平安の一騎打ちか。立命館宇治、乙訓も戦力充実で今年も古都の熱い夏。

◎ 京都国際
〇 龍谷大平安   
△ 立命館宇治 乙訓
▲ 京都共栄 京都翔英 鳥羽 

京都国際が3連覇を狙う。森下の抜けた投手陣が心配されたが、杉原・松岡の両輪が健在。投手力は昨年までと遜色ない陣容となった。打線もつながりがよく、昨年に引けを取らない好チームになっている。一方選抜出場の龍谷大平安は、選抜では仙台育英に力の差を思い知らされたが、エース桑江を軸とした投手陣が安定し、守りは固まってきている。あとは打線がつながり得点力がどこまでアップするのかが課題。ライバルに対して一歩も引かない構えで、今年も古都の夏は熱く燃え上がる。立命館宇治は個々の選手の力では決して2強に劣ってはいない。北川・稲葉・築山のクリーンアップは破壊力満点。2年生投手の十川がエースに上り詰めれば、課題の投手陣の底上げができ、覇権奪取への態勢は整う。乙訓は秋の府大会の覇者。夏の初出場を目指し、全員野球で上位を倒したい。京都共栄は新監督の下グイグイと力を上げている。こちらも初出場を狙う。京都翔栄は小笠原が4番エースで存在感を見せる。鳥羽は強力打線で府制覇に挑む。



【大阪】(参加160チーム) 
どんな状態であろうとも、大阪桐蔭をあげない選択はない。エース前田の復調で万全な状態を作り、夏の全国制覇に挑みたい。

◎ 大阪桐蔭
〇 金光大阪 履正社
△ 近大付 大商大堺  
▲ 関西創価 興国 関大北陽 東大阪大柏原 大商大高  

昨年のチームとは全く違う歩みを見せる大阪桐蔭の戦いに注目だ。選抜の準決勝で報徳学園にまさかの逆転負けを喫して以来、大阪桐蔭に関してネガティブなニュースが流れ続けている。まずは府大会決勝で金光大阪に敗れ府大会7季連覇、56連勝が途切れた。そして続く近畿大会初戦でも智弁学園に打ち負け、さらに遠征試合でも連敗と、およそ絶対王者らしくない戦いぶりを見せて全国のファンのため息と興味を誘っている。その間大エースの前田は全く登板せず、噂が噂を呼ぶ展開。しかしながら、夏になればしっかりと仕上げてくるはずというのが、大部分のファンの見方でもある。エース前田はドラフト1位有力候補の好左腕。その速球の速さ、キレ、変化球の精度などだけではなく、マウンド経験が豊富で投球の肝を心得ているところが他の投手とは違う。その前田が100%ではなくともしっかり投手陣の真ん中に座れば、まずは大阪桐蔭の戦いは万全に近づいていくであろう。打線では期待のラマルが春から中軸に座り快打を連発。南川とともにド迫力の打線を引っ張る。少しぐらい弱点を抱えていても、大阪桐蔭の『絶対』は変わらない。今年も全国制覇の最有力候補だ。揺さぶりをかけたい後続勢で真っ先に名前が挙がるのが金光大阪。昨春の選抜で甲子園でも戦えることを証明し、一皮むけた感じで大阪桐蔭に肉薄してきた。エース・キャリーは左腕の好投手。打倒大阪桐蔭には、戦力だけではないプラスアルファが必要。全員が束になる戦いができれば、ひょっとしたらも起こせる。履正社はポスト岡田の2度目の夏。今年は選抜に出場も初戦敗退、福田・今仲らを擁する投手陣に破壊力満点の打線は大阪桐蔭の強力なライバルになりうるが、どうも全体がうまく機能していない感じだ。あの全国制覇の夏のような一体感を醸し出せれば、大阪桐蔭に対峙できる戦力ではある。近大付は市村・有方の2枚看板が自慢。うまく機能すれば面白い戦力だ。しかしやはり打線が今一つ他校に見劣りする。鋭い援護を見せることができれば本当に面白い戦力なのだが。。。。。大商大堺はエース志賀を軸にバランスの取れた好チーム、大商大高は履正社を破ったエース板倉次第。関大北陽、東大阪大柏原ら、上位が手を焼くチームも多数。大阪大会は大阪桐蔭が1強を確立しているが、少しでもその力を落とせば、寝首を掻く勢力はわんさかといるのが現状。さて、今年はどんな大会になるのか。


【兵庫】(参加156チーム) 
選抜準優勝、今年は復活の報徳が強い。力勝負なら神戸国際大付、滝川二の速球エース坂井にも注目。  

◎ 報徳学園 
〇 神戸国際大付   
△ 滝川二 社 明石商    
▲ 東洋大姫路 神戸弘陵 小野

今年は新チーム結成からこれまで、報徳学園が盤石な強さを誇る。期待された選抜では大阪桐蔭を破り準優勝、まず死角は見当たらない。エース盛田は春のシーズンはベンチを外れたが、甲子園で投げた今朝丸らを中心とした投手陣の底上げが成り、かえって充実した陣容を作っている。森田も夏には復帰の予定で、暑い夏を戦う盤石の態勢が整った。打線は全国屈指の破壊力を誇る。堀、西村、石野、辻田に竹内など、どこからでも攻撃を仕掛けられる。この県大会は通過点、今度こそ全国の頂点を狙っている。その報徳に真っ向から挑むのが神戸国際大付。ここ3大会連続で夏の決勝に進んでおり、とにかく夏に強さを発揮する。中村、津嘉山、高松など投手陣はバラエティに富み報徳に劣らない。打線も勝負強い打者が並び、一発勝負の夏に逆転制覇を狙っている。滝川二は、高校代表合宿に参加したエース坂井に注目。Maxは149キロ、夏までには150キロ越えを達成すると豪語する。こちらも真っ向勝負で、力で報徳、神戸国際大附をねじ伏せるつもりだ。昨夏、そして選抜出場の社も好チーム。3季連続での甲子園を狙う。社は常に全員一丸で相手に立ち向かう迫力で相手を圧倒する。それに伝統の応援のボルテージも、相手を圧倒するのに一役買い、相手にとっては対戦したくないチームだ。ここのとこる数年音なしの明石商だが、狭間監督が何か秘策を考えているかもしれない。報徳とも接戦を経験、一発勝負には怖いチームだ。東洋大姫路は岡田監督2回目の夏。しかし部内の問題が表面化するなど、今一つ盛り上がりに欠ける展開になっており、さてどう巻き返すか。選抜21世紀枠候補だった小野は、夏はどう戦っていくか。



【奈良】(参加35チーム) 
猛打で春の近畿大会制した智弁学園が圧倒か。ライバル・天理も戦力は充実で、今年も2強対決が濃厚。

◎ 智弁学園 
〇 天理
△ 高田商 奈良大附 
▲ 御所実 生駒 郡山  

今年も変わらぬ2強対決の奈良の夏。このところやや分のいい智弁学園が今年も候補筆頭か。何しろ春は県大会から打ちまくり優勝、さらに近畿大会では初戦で大阪桐蔭を打撃戦で破り、楽々優勝まで駆け上がった。その打力は全国屈指の破壊力と言って差し支えないだろう。松本、山崎、高良らの強打者は振りが鋭いだけではなくしぶとく、それがことごとく点に結びついている好循環だ。そして今年は投手陣も安定。藤田、中山でつなぐ継投は盤石で、他の追随を許さない。ライバルの天理は、秋優勝、春準優勝と、今年もライバルに引けを取らない。大谷・松本の中軸はともに2年生、そこに赤埴や下林らの3年生が絡み強力打線を形成する。やや投手陣に弱さは感じられるが、夏には活躍する主戦が必ず登場するのも天理。1勝1敗のライバル対決に、夏で決着をつける腹づもりだ。秋に近畿8強、選抜も有力視されたが吉報が届かなかった高田商が夏を獲りに行く。エース仲井がコンディション不良からベンチを外れたため春は敗退したが、万全の態勢を整えれば2強とも対峙できる。強豪の仲間入りを果たしている奈良大附は、今年も強打を中心に勝ち上がりたい。御所実は春3位に躍進。全国レベルのラグビー部に続けと息荒い。昨年決勝で涙をのんだ生駒は、夢よもう一度と気合を入れ、レジェンド監督・森本元監督の逝去の報を受け、名門・郡山も胸に期すものがある。



【和歌山】(参加36チーム) 
夏には圧倒的に強い巨人・智辯和歌山が今年も抜け出る。春に智弁破った市和歌山がどこまで迫ることができるか。

◎ 智辯和歌山
〇 市和歌山 
△ 和歌山南陵 箕島   
▲ 和歌山商 初芝橋本 近大新宮 和歌山東  

智辯和歌山は、監督が高嶋監督から中谷監督に代わっても夏の選手権には圧倒的な強さを見せる。ここまで5大会連続の夏制覇。今年も当然のごとく6連覇を狙う。期待された選抜ではまさかの初戦敗退を喫したが、力は全く落ちていない。むしろ悔しさを知って、夏はさらに凄味が増したよう。打線は1番から下位までどこからでも一発が飛び出し、さらに足という武器も手に入れていて得点力が高い。投手陣も充実のラインアップ。清水、吉川、中西らを揃え、プロ野球の捕手出身の中谷監督が始動することで夏までにもうひと伸びしてくる。その智辯和歌山のライバルになるとすれば、春の決勝で勝利をあげた市和歌山だ。ここ数年ずっと県大会では智辯和歌山との2強となっているが、なかなか甲子園にたどり着くことは難しい。今年も投手陣中心のチーム。エース栗谷が智弁相手に3失点完投勝利をあげて夏へのめどが立ったのが大きい。打線は智弁と比較すると及ぶべくもないが、しっかりとつないで得点力をアップさせたいところだ。和歌山南陵は昨夏4強に進出して覇権争いに顔を出してきたニューフェース。そして今年の春も4強に進出し、いよいよ絶対王者に挑む態勢は整った。創部8年、機は熟したか、それともまだ早いのか。。。夏も2枚看板の投手陣がしっかり試合を作り、接戦をものにしていけるか。名門・箕島は秋も春も4強に進出、名門復活がなるか。まだ王者との力の差は大きいとみるが。。。和歌山商は戦力が整った印象、初芝橋本は勢いのある好チーム。近大新宮は秋に近畿大会を経験し、これを夏に生かしたいところだ。いずれにしても、35チームが絶対王者の智辯和歌山にいかに挑むかというのが、ここ30年以上続く「和歌山の夏」の定番。今年は波乱が起こるのか、それとも順当に収まるのか。




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