≪第100回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望7 中国地区 -
【岡山】(参加59チーム)
本命不在の激戦だが、剛腕擁す倉敷商が駆け抜けるか。
◎ 倉敷商
〇 創志学園 おかやま山陽
△ 関西 興譲館 岡山学芸館
▲ 岡山理大付 玉野商工 倉敷工 玉野光南
昨春まで3季連続出場を決めた創志学園に対し、昨夏・今春と2季連続で甲子園の土を踏んだおかやま山陽。まさに”新興勢力”が県の大会を席巻し始めて、数年前までとは勢力図が一変した。その両校は今年も十分に”本命”と言える戦力を整えて、甲子園に狙いを定める。創志学園は近年県内では4強は絶対に外さない安定感を誇る戦いを見せている。今年は2年生・西がエースの系譜を継ぐ存在になりそうで、一気の浮上が十分に考えられる本命。一方のおかやま山陽は、強力打線で勝負をかける。昨年は決勝で県の高校野球史に輝く大激戦を展開した両校が今年も相まみえる展開になる可能性も十分だ。一方の戦力図を塗り替えられた伝統校の中では、倉敷工が6年ぶりの夏を狙う。今年は秋準優勝、春優勝と実績を残し、しかもプロ注目のエース引地が君臨する充実した戦力。OBである星野仙一氏の弔いともなる今年の夏、絶対に代表は譲れない。かつての常連もここ4年甲子園から遠ざかる関西。監督も代わり戦い方も一新されそうだが、強打で代表の座をつかめるか。4強入りを果たした興譲館は投手陣が充実している。岡山学芸館は昨秋の優勝校。選抜をゲットできなかった悔しさは、エース金村らが他校の強力打線を抑えきって晴らす。その他は常連校がいかに夏に向けて戦力をあげているか。岡山理大付、玉野光南は夏に強い。玉野商工は関西を率いて何度も甲子園出場を成し遂げてきた角田監督が就任。どういったチームに成長するか。
【広島】(参加89チーム)
本命の広島新庄に対抗の瀬戸内。広陵も代表を譲る気は全くなし。
◎ 広島新庄
〇 瀬戸内 広陵
△ 広島国際学院 盈進 如水館
▲ 尾道 西条農 崇徳 高陽東 市呉
レベルの高い大激戦が続く夏の広島大会。昨年は過去数年間、他校に後れを取っていた広陵が3年ぶりに甲子園の登場すると、甲子園新記録の6本塁打を叩き込んだ主砲・中村を軸に大暴れ。準優勝に輝きそのレベルの高さを見せつけた。今年は昨年の広陵ほどの大型チームはいないが、多士済々の好チームがそろってレベルの高い大会となりそうだ。本命は春の中国大会で圧勝した広島新庄だ。ここ数年安定して好投手を輩出しているチームだが、今年も2枚看板を擁してレベルの高い守備力が自慢だ。竹辺はサイドの好投手、桑田は本格派。名将・迫田監督が鍛え上げた守備とともに、全国レベルの戦力を誇る。対抗は選抜出場の瀬戸内と夏の連続出場を狙う広陵か。瀬戸内は選抜で好投した浴本が安定感を増したのが好材料。広陵は昨夏快進撃の後遺症に悩まされて秋春ともに県大会早期敗退の憂き目にあったが、夏は必ず仕上げてくることが予想される。昨夏以上に充実した投手陣が自慢で、エース森はプロ注目のレベルだ。3チームに続くのは昨秋準Vの広島国際学院。3枚そろう投手陣で秋の快進撃の再現を狙う。盈進は秋の優勝校。昭和49年以来の半世紀近くのブランクを経ての出場を狙う。投打でスキのない野球を目指している。名門の如水館は来年を目標にしたチームだが、波に乗れば上位も十分に狙える。尾道、西条農など今年実績を残す強豪も気合満点。崇徳や高陽東、市呉なども虎視眈々と代表の座を狙う。
【山口】(参加57チーム)
飛び出した下関国際の勢いは続いていくのか。県内の盟主を自認する宇部鴻城の巻き返しはあるのか。
◎ 下関国際
〇 宇部鴻城
△ 高川学園 早鞆 宇部工
▲ 南陽工 柳井学園 宇部商 岩国
昨年まで県内で無敵だっただけではなく中国地区でも力を見せつけていた宇部鴻城に対して、昨夏突如として現れたシンデレラチーム・下関国際がその座を奪い取り夏を迎える。下関国際は昨秋、今春と連続で中国大会準優勝に輝き、力を満々と蓄えている。エースで4番の大黒柱・鶴田は全国でも注目される存在になりつつある。打線の力は甲子園でも実証済み。今年の夏こそは聖地で校歌を高らかに歌い上げるつもりだ。一方とってかわられた方の宇部鴻城は、盟主の座を奪い返そうと躍起。今年のチームで初の上位大会となった春の中国大会では1勝を挙げた後に下関国際とのライバル対決が実現。敗れはしたものの互角の戦いを演じ、夏に向けてモチベーションが高まっている。この両校の”2強対決”が今大会の焦点だが、追っていくチームにも好チームが多い。まずは2年ぶりの甲子園を狙う高川学園。常に県大会では上位に顔を出し、すっかりその地位を確立している。今年は投手陣の層が厚く、コツコツと点を重ねる攻撃陣とのコラボで聖地帰還を狙う。早鞆はプロ出身の大越監督が指導を始めてもう7,8年の年月が経つ。なかなか上位に顔を見せられない期間が長かったが、今年はどうやら優勝争いに絡んできそうな勢いだ。県内最速といわれるエース畑村の出来次第では、大越監督で初の夏をつかむ可能性も。春準優勝の宇部工は、その後の中国大会で手痛い大敗を喫して戦力のビルドアップが必要と実感したことだろう。その敗戦を糧とできるか。そのほかではやはり夏に強い伝統校の動向が気になる。南陽工、柳井学園、岩国に全国のファンが復活を待ち望む宇部商など、多士済々のメンツが甲子園に狙いを絞っている。
【鳥取】(参加24チーム)
今年も全国最小の小規模大会。連覇狙う米子松陰が、いい位置につけている。
◎ 米子松陰 鳥取城北
〇 鳥取商 八頭 米子東 境
△ 米子北 鳥取西
▲ 倉吉北 米子工
全国最小規模の大会だが、今年は昨年よりさらに1チーム減の24チームでの戦いとなった。当然シード校は16強から登場ということで、4試合で雌雄を決するため、他の地区とは全く違う戦術が必要な大会だ。県内の高校野球は古くから「公立王国」として知られていたが、近年は鳥取城北、そして昨夏の代表である米子松陰など私立勢が優勢になってきており、この100回大会は公立勢が復権を狙っている。とはいえ実績を残す2強は米子松陰と鳥取城北。連覇を狙う米子松陰は、甲子園経験のある辰己を盛り立てる総合力のチーム。制球力のある技巧派で、県内ではなかなか打ち崩せるチームはいないであろう。鳥取城北は例年通り大型チームを作ってきた。春の早期敗退でノーシードからの夏になるが、打線の力もエース浦林・野田の投手陣の力も県内では抜けている。チームが一つになることができれば、今年も”本命”と言って差し支えない。公立勢では秋春ともに4強入りした鳥取商と春優勝の八頭が2強。両校ともにパワーでは引けを取るものの、総合力と野球力で私学2強に迫ろうと躍起だ。米子東、境の両古豪も100回大会という特別な大会に気合は十分だ。米子東は鳥取西とともに100回の大会を皆勤する全国でも屈指の名門校。”必ず甲子園へ”というOBの熱い期待を胸に、今年の大会に臨む。
【島根】(参加39チーム)
”私学3強”が今年も強い。順当に3強の中から代表校が出る可能性が大の無風大会になりそうな気配。
◎ 石見智翠館
〇 立正大淞南 開星
△ 大社 益田東
▲ 平田 出雲 出雲西 浜田 大東
ほぼ昨年、一昨年と同様の予想が立てられるほど、県内の勢力図は固まっている。”私学3強”と言われる石見智翠館・立正大淞南・開星が今年も優位。というよりも、この3強のたたき合いは例年のごとく激しさを増しており、非常に激戦が予想される。石見智翠館は夏は3年ぶりを狙い打力を充実させてきた。春は開星に10-9、立正大淞南に5-4とまさに紙一重の勝負を制して県大会を制覇。夏への弾みをつけた。エースの復調待ちの投手陣に光明が見出せるかが夏へのカギ。準Vの立正大淞南は試合に強い。春は決勝までの3試合でわずか失点が1。崩れないエース新田がライバルの強力打線を抑えられるか。昨夏の覇者・開星は強力打線が看板。こちらはライバルの投手陣をどう打ち崩すかが勝ち抜くためのカギになりそうだ。3強を追う勢力は、例年通りの顔触れ。公立の雄の座を占め続ける大社は守りの野球を推進。益田東も同じ型のチームではあるが、3強を打ち破るにはややパワー不足か。ダークホースの中では好投手・中田を擁する出雲西が面白い存在。20代の指揮官がフレッシュな野球を展開しており、甲子園まであと一歩のところまでやってきている。