≪第87回選抜高校野球大会≫
【第6日】
第1試合 東海大四 3-0 豊橋工
~2回戦~
第2試合 大阪桐蔭 4-1 八戸学院光星
第3試合 常総学院 8-1 今治西
選抜高校野球も、昨日の第1試合で出場32校がすべて登場。
第2試合からは、いよいよ2回戦《ベスト16》に突入です。
夏春連覇を狙う大阪桐蔭は、
3年前に春夏とも甲子園の決勝を戦った【宿敵】とも言うべき八戸学院光星と対戦。
初回に相手にもらった2点を、
エースの田中が素晴らしい投球で守り抜き、
完璧な攻守の仕上がりぶりで8強にコマを進めました。
強打と粘りで相手をなぎ倒していった昨夏のチームと比較しても、
今年のチームは攻守の洗練度と落ち着いた戦いぶりはむしろ上回っているように見えます。
大阪桐蔭というチーム。
かつて同じ大阪のPL学園がそうだったように、
『甲子園ではまず負けない』
というオーラを感じさせる戦いぶりにチームが昇華して来ています。
『大阪桐蔭王国』
の完成も間近だと思います。
ワタシは、
智弁和歌山の高嶋監督が提唱していた『チーム10年説』というものに与していますので、
チームのピークは10年間続くと見ています。
まあ、この論に当てはまるのはごくごく一部の【最強】と言われたチームのみですがね。
PLで言えば初優勝の昭和53年から春夏連覇した昭和63年までが、
チームのピークだったと言えるでしょう。
智弁和歌山で言えば97年の選手権初優勝から、
恐ろしい強打で4強に進出した08年ぐらいまででしょうか。
横浜は勝てなかった時期をようやく脱し春夏連覇した松坂の98年から明らかにチームにオーラをまとい始め、
やはり10年後の08年にかなり強いチームを作ってきて選手権4強まで進出しました。
各チームともそれ以降も甲子園にはたびたび出てきますが、
『あれっ』
という戦い方も増えてきて、
甲子園での勝率もがくんと下がってきます。
以降はピークアウトしてしまうという感が強くなってきますね。
まさに『高嶋監督のおっしゃる通り』という感じになります。
それだけ『全国屈指のレベル』を維持するのは大変なことなのでしょうが、
『そのピークの10年間』
は本当に、
まさに『相手が戦う前から勝手にビビり、こけてくれる』状態になるほど、
強いチーム状態となりますね。
大阪桐蔭で言うと、
91年の全国制覇の時代、
その後の西岡の時代、中村の時代、平田の時代、中田の時代など、
時々で『ものすごい大型チーム』を作ってきたのですが、
その頃のチームは大型チームにありがちな『もろさ』も同居している印象があり、
力を持ちながら全国制覇できない・・・・・
という感じのチームだったように思います。
しかし08年の浅村の時代のチームが全国制覇した当たりから、
チームに『洗練』『しぶとさ』など戦いのエッセンスが加わっていき、
簡単には負けないという『真の強豪への道』を歩み始めたと思います。
ワタシなりに『大阪桐蔭のピークの10年』の始まりを定義づけるなら、
その08年か、春夏連覇の藤浪世代の12年か、
どちらなのかということで迷いますね。
しかし08年の優勝以降12年までは『じっと牙を研いでいた』と考えると、
やはり”ピークの入り”は12年ではないかと考えています。
ということは、
まさに今、絶頂期をむかえ一時代を築こうとしているのが、
大阪桐蔭というチームなのだと思います。
余談ですが、
数日前からしきりに報道されている、
『使途不明金』
の問題が、
どうか野球部に影を落とさないでもらいたいと思っています。
昨日の戦いぶりは、
難敵である光星に対して、
確かに打線は爆発しなかったものの、
『負けるかも?』
と思わせたことは一回もないという様な安定感抜群の戦いぶりでした。
『打線が打てないときは投手が踏ん張る。投手が打たれれば、打線が打ち返す。』
という、
『負けないチーム』の典型的な戦い方がしっかりできていると感じます。
かつての『どうも接戦に弱い』姿など、
みじんも感じさせることはありません。
見事です。
やはり今大会、
最も紫紺の大旗に近いところにいるチームだと思います。
その『王者』大阪桐蔭に準々決勝で挑むのは、
名門の常総学院。
この常総学院、名門と言われるものの、
野球部の歴史はわずかに30年ほど。
しかし『甲子園の名将列伝』に名を連ねる木内監督のもと、
『輝ける30年』の歩みを続けてきました。
87年に驚きの『選手権初出場で準優勝』を飾った後は、
毎年のように甲子園に出場して、
しかも必ず上位に進出するチームを作り上げて、
『優勝候補の常連』と言われるチームでした。
春優勝、準優勝、夏優勝、準優勝を成し遂げているチームは、
そんなにはないのではないかと思います。
しかし03年の選手権優勝による木内監督の勇退後、
何だかチームは『悩みの期間』を過ごしてきました。
もちろん甲子園にはよく登場しましたが、
かつてのような勢いはなく、
05年センバツで初戦敗退してからというもの、
『負けない常総』
の姿はどこへやら。
05年春から、06年夏、07年夏、08年夏、09年夏と、
なんと5回連続の甲子園初戦敗退。
その間にまさかの木内監督の復帰などもあったりしましたが、
それでも状況は変えられず。
常総学院は木内監督とともに去った『かつての強豪』という感じの姿になっていました。
しかしながらその間に、
”木内監督の教え子”である現佐々木監督が就任して、
チームの変革に取り組んでようやくチーム全体に変化を起こしました。
木内野球を踏襲するのではなく、
新しい常総学院の野球というものを、
佐々木監督が作り上げている感じがして、
なんだか見ていて楽しいなあと思ってしまいます。
プロ監督である木内監督のもと、
”普通とは違った木内野球”は、
『何をしてくるかわからない野球』、
『複数のエースをじゃんじゃん使いまわす』
『ベンチ入り全員を使い総力で相手に向かう』
という野球を推進していて、
それが常総学院というチームのチームカラーになっていました。
目まぐるしく変化し、選手を的確にコマのように使いまわして勝利に向かっていく『木内マジック』と評される野球は、
プロ野球を見ているような感覚でファンに『面白いなあ』と支持されていました。
しかし佐々木監督に代わり、
チーム作りの哲学は、『オーソドックスながら、監督が野球をやるのではなく、選手が野球をやる』
というように変化しているように感じます。
”グラウンドでの勝負”よりも、
”グラウンドに上がるまでが勝負”、
そして”グラウンドの上では、ノビノビと暴れまわる”という様なことが、
佐々木監督の野球なのではないかなと考えたりもしています。
かつて木内監督は、
90年代ぐらいからは決して『一人のエース』に頼ることなく複数投手を小刻みに使いまわす野球でしたが、
佐々木監督は12年の飯田投手、そして今年の鈴木投手など、
『エースを育てる』ということもチーム作りの大きな柱にしているような感じです。
佐々木監督自身、
取手二高時代は木内野球をしっかりと叩き込まれていたと思いますが、
佐々木監督が真紅の大旗を獲った1984年のチームは、
それはそれは『いい意味ではっちゃけた』軍団でしたからね。
その大いなるエネルギーが同じ方向に向かっていった時、
ものすごい力を発揮するんだということを、
骨の髄までわかっているんだと思います。
そうでなければ、
あの最強の桑田・清原のPLを倒せるわけがありませんものね。
木内監督自身も、
取手二時代と常総学院時代では、
大きくそのチーム作りとか采配とか、
そんなことが変わっていったように感じました。
佐々木監督の【ニュー常総】は、
選手の力を信じて、
その『結集した時のプラスアルファ』をチーム力の源泉にしているようなにおいがします。
木内時代とは全く違った、
佐々木常総の進撃が、
楽しみですね。
プラスアルファの力が出れば、
【最強軍団】である大阪桐蔭とも、
いい試合ができるのではないでしょうか。
この試合で常総が一皮むければ、
センバツ2度目の優勝に大きく道が開かれることでしょう。
そういう意味でも、
どちらが勝つにしても優勝の行方を占う一戦になるのではないか、
そんな気がする準々決勝第1試合です。
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