大山は袋一杯に20個ほどの高級アイスクリームを買って、その日のスタジオに入ってきた。
そこは民放のニュースショーのスタジオで、彼は夜勤のADのアシスタントをしていた。
要は雑用係りだ。その午後の三時間を受け持っていたのがアルバイトの康子だった。
大山とはほんの30分重なるだけのタイムスケジュールだが、その日大山はいつもより早いスタジオ入りだった。
「おうい・・ちょっと麻雀で儲けちゃったからさ・・みんな食って・・このアイスクリーム」
と、言いながら手当たり次第に配り始めた。
すぐもらうものもいれば、甘いもの拒否派もある。
康子のところにはちょうど中ごろに現れて
「お!まだいたいた、食べて行けよ。女の子は甘いものを食べた方がいい。」
などとちょっと機嫌よく手渡した。ハーゲンダッツのバニラだった。
康子はわざと
「大山さん、ラムレーズンはないの?」
と、聞くと
「康子ちゃん・・ありますよ・・僕の好物・・あと一個だけ・・特別にあげよう・・」
と、袋の底から出して手渡してくれた。そのときに
「この間・・はがきありがとう。」
と どうやら先日康子が出した旅の絵葉書のことを言っているらしかった。
その顔は実に真顔だった・・と 康子は感じた。
そこは民放のニュースショーのスタジオで、彼は夜勤のADのアシスタントをしていた。
要は雑用係りだ。その午後の三時間を受け持っていたのがアルバイトの康子だった。
大山とはほんの30分重なるだけのタイムスケジュールだが、その日大山はいつもより早いスタジオ入りだった。
「おうい・・ちょっと麻雀で儲けちゃったからさ・・みんな食って・・このアイスクリーム」
と、言いながら手当たり次第に配り始めた。
すぐもらうものもいれば、甘いもの拒否派もある。
康子のところにはちょうど中ごろに現れて
「お!まだいたいた、食べて行けよ。女の子は甘いものを食べた方がいい。」
などとちょっと機嫌よく手渡した。ハーゲンダッツのバニラだった。
康子はわざと
「大山さん、ラムレーズンはないの?」
と、聞くと
「康子ちゃん・・ありますよ・・僕の好物・・あと一個だけ・・特別にあげよう・・」
と、袋の底から出して手渡してくれた。そのときに
「この間・・はがきありがとう。」
と どうやら先日康子が出した旅の絵葉書のことを言っているらしかった。
その顔は実に真顔だった・・と 康子は感じた。