Amadeus

クラシック音楽を中心にした音楽評論
カメラ時評ほか

エフゲーニ・キーシン ピアノ・リサイタル

2009-01-11 06:51:11 | Weblog
 ハイビジョン ウィークエンド シアター 2009年1月11日 Bモード・ステレオ

  ヴェルビエ音楽祭~2007~
  エフゲーニ・キーシン ピアノ・リサイタル

 1. 32の変奏曲ハ短調        (ベートーベン作曲)
 2. 6つの小品作品118         (ブラームス作曲)
 3. アンダンテ・スピアナートと      (ショパン作曲)
     華麗なる大ポロネーズ作品22
 4. カルメン変奏曲             (ビゼー作曲/
                      ホロヴィッツ編曲)
       
       ピアノ: エフゲーニ・キーシン
 [収録: 2007年7月,サル・メドラン(スイス・ヴェルビエ)]
 ー制作: アルテ・フランス/イデアーレ・オーディエンス/NHKー

 エフゲーニ・キーシンのピアノ・リサイタルを聴きました。丁度1年半程前の2007年のヴェルビエ音楽祭の時のものでした。このヴェルビエ音楽祭は1993年以来続いている音楽祭で出演するメンバーも非常に個性的な演奏家が集まっていることで、有名になっています。
 13歳で衝撃的なデビューを果たしたキーシンの演奏を聴く機会は少ないものですから、真夜中の放送でしたが、しっかり聴く事が出来ました。
 素晴らしい演奏ばかりで、あっという間の1時間でしたが、少々頭のふりがおおげさな感じもありましたが、実に本格的な美しい明晰な演奏でした。
 この人は、いつもアンコールが長くなるという話ですが、今回のホロビッツ編曲のカルメン変奏曲も普段あまり聴けないもので、貴重な経験になりました。


タチャーナ・シェバノワ ピアノ・リサイタル

2009-01-10 05:41:36 | Weblog
 ハイビジョン クラシック倶楽部 2009年1月9日 Bモード・ステレオ

  タチャーナ・シェバノワ ピアノ・リサイタル
 1. 前奏曲変二長調作品28第15「雨だれ」
 2. エチュードハ短調作品10第12「革命」
 3. 舟歌作品60
 4. 華麗な大円舞曲作品18
 5. 軍隊ポロネーズ作品40第1
 6. ノクターン変ホ長調作品9第2
 7. アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ作品22
 8. エチュードへ短調作品25第2
                    (以上ショパン作曲)
        ピアノ: タチャーナ・シェバノワ
  [収録: 2005年11月20日,東京オペラシティコンサートホール]
   タチャーナ・シェバノワ
 ロシア人の女性ピアニストであるが、この人は例の第10回ショパン国際コンクールで第2位を受賞したのである。この第10回のショパンコンクールは審査員騒動があったことで知られているが、そのことに少し触れると、それは優勝したのは、ベトナムの著名なピアニストであるダン・タイ・ソンであるが、その時の演奏者であるイーヴォ・ボゴレリッチの評価を巡って審査員が紛糾し、マルタ・アルゲリッチがボゴレリッチの排除に異議を唱えて退席するという騒動があったのである。
 そんななかでのシェバノワはやや印象が薄れてしまった感のある立場であったかもしないが、コンクールにはいろいろと運不運がつきものである。
 今回の収録も2008年10月20日放送分でこのサイトで紹介しているのですが、同日同場所の収録であり、すでに3年以上経過しております。
 シェバノワは全曲ショパンで固めていますが、今回も同じくオールショパン。
 演奏した曲は前回はバラード第4番、幻想即興曲、子犬のワルツ、エチュード「黒鍵」、スケルッツオ第1番でしたが、今回もショパンのポピュラーなよく演奏される曲ばかりで、聴き手にとっては、他の演奏家とよく聴き比べることが、よくできたと思います。
 評については、前回しているので、今回は控えますが、全体的には無難な演奏で、やや平板的な感じは前回とあまり変わった感じはないのですが、最後のアンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズは今回の収録分のうちでは一番良かったように感じました。
 話は突然飛びますが、5番の軍隊ポロネーズを聴いている時、昔、天才画家といわれた岡本太郎があるとき、ショパンの軍隊ポロネーズを演奏したの聴いたことがあり、おと飛びは少々ありましたが、雰囲気はしっかりとした演奏だったことをふっと思い出しました。

岡田博美 ピアノ・リサイタル

2009-01-09 05:19:43 | Weblog
 ハイビジョン クラシック倶楽部 2009年1月8日 Bモード・ステレオ
  
  岡田博美 ピアノ・リサイタル
 1. 無言歌作品17             (フォーレ作曲)
 2. ノクターン第13番ロ短調作品119    (フォーレ作曲)
 3. ハンガリー舞曲第1番~第10番  (ブラームス作曲・編曲)
 4. パヴァーヌ               (フォーレ作曲)
 
            ピアノ: 岡田博美
      [収録: 2005年11月17日, 東京文化会館小ホール]
   岡田博美
 富山県出身。安藤仁一郎、森安芳樹、マリア・クルチオに師事。桐朋学園大学在学中、第48回日本音楽コンクールで優勝。桐朋学園を首席で卒業後、1982年、第28回マリア・カナルス国際コンクールで優勝、同時にスペイン音楽解釈賞を受賞。1983年、第2回日本国際音楽コンクールにてピアノ部門第1位、1984年、第2回プレトリア国際コンクールにて第1位、リサイタル賞も同時受賞と、次々に優勝を果たし注目を集める。1984年よりロンドン在住。1985年、ロンドンでデビュー・リサイタルを行う。以後、ロンドンを中心に世界各地で演奏活動を続け、日本国内においても、1993年、ショパン・エチュード全曲演奏に対して第20回日本ショパン協会賞を受賞。
 オーケストラとの共演も数多くあり、1987年、フィルハーモニア管とロイヤル・フェスティヴァル・ホールにてデビューを果たした後、BBC響、ロイヤル・フィル、イギリス室内管とまた日本では読売日本饗、日本フィル、東京都饗ほか、多数のオーケストラと共演。2000年、横浜の「アジア音楽週間」において、イスラエルの作曲家A.ベン=シャべタイのピアノ協奏曲を世界初演するなど、新作の初演も数多い。各地の音楽祭へも数多く出演している。
 今回の演奏も3年以上前のものであるが、素晴らしく、明晰な演奏であり、フォーレの曲が3曲ありましたが、圧巻はブラームスでした。このハンガリー舞曲を1番から10番まで演奏会で聴くことはあまりなく、とても期待を持っていました。ハンガリー舞曲のなかで、第8番には両手によるグリッサンドがあり、ブラームス自身も当初作曲したものから、後に編曲を加えたものによるのでしょうか、初めて聴いたように思います。


ミシェル・ダルベルト ピアノ・リサイタル

2009-01-08 08:19:29 | Weblog
 ハイビジョんクラシック倶楽部 2009年1月7日 Bモード・ステレオ
  
  ミシェル・ダルベルト ピアノ・リサイタル
 1. 映像第2集から            (ドビュッシー作曲)
      「荒れた寺にかかる月」
 2. 映像第2集から            (ドビュッシー作曲)
      「葉ずえを渡る鐘」
 3. 映像第1集から            (ドビュッシー作曲)
      「水に映る影」
 4. 夜のガスパール              (ラヴェル作曲)
 5. こどもの領分から           (ドビュッシー作曲)
      「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」
  
           ピアノ:ミシェル・ダルベルト
      [収録: 2008年11月20日, すみだトリフォニーホール]
 
   ミシェル・ダルベルト
 1955年生まれ。フランス・パリ出身のピアニスト。
 1975年、クララ・ハスキルコンクール優勝。1978年、リーズ国際ピアノコンクールに優勝。アルフレッド・コルトーの影響を強く受けていると言われている。1996年、フランス政府より国家功労賞を受賞。
 非常にレパートリーが広く、なかでもシューベルトの作品には特に関心を持っているピアニストである。やはりこの人の叙情性の深い解釈は演奏にもよく現れている。
 現在、イタリアのイモラ音楽院で教鞭をとるほか、コンクールの審査員を務めるなど後進の育成にも努力している。
 日本では、NHKの『スーパーピアノレッスン』でもやはりシューベルトのピアノソナタを取り上げていて、ファンにはよく知られた存在である。
 この人のピアノ指導はあくまでピアノは歌うかのごとく弾くべしがモットーのようで、その曲を作った作曲家のその時の心情まで汲み取った演奏を一番大切にしている。

カメラ時評 是か非か動画論争 (3)

2009-01-07 05:41:17 | Weblog
次に否定派の意見を並べてみよう。
 こちら側は12人の意見が取り上げられている。
 1. 携帯電話の動画機能も使わないのに、デジタル一眼レフに動画機能は必要ありませ    ん。それよりもカメラとしての機能向上を望みます
 2. 動画撮影はビデオカメラのほうがいいのでは?
 3. 静止画と動画では撮り方が違います。カメラとビデオの両方を持ちたくない場合もあ   るとは思いますが、一眼レフは本来の目的で利用すべきでしょう
 4. 一眼レフは写真を極める機器であってほしいから
 5. 現在のカメラは機能が盛りだくさんで、これ以上は特に必要ないと思う。その分カメ   ラをやすくしてほしいから
 6. やっぱりカメラは1枚撮りの勝負が基本
 7. 写真は一瞬を切り取るということ。これを目標に撮っているから動画の一部を作品に   するという方法は邪道だと思う
 8. 余計な機能よりも一眼レフ本来の目的のための機能充実を望みたい
 9. なじめない
 10. スチルとムービーを融合させた1台のカメラですべてをまかなってしまうというのは   あまりにも安直であると感じます。どこまでいってもスチルカメラとムービーカメラ   は別ものであると思います
 11. デジタル一眼レフはスチルに専念してよいものを安くしてほしい
 12. 比較的大きくて重いデジタル一眼レフでビデオを撮影している姿を思い浮べると、あ   まりに美しくない気がします。一眼レフはやはり写真一枚で勝負する道具であると思   います
 
 以上の12人の意見を大づかみに共通点を探し集めると次のような結論になると思います。
 先ず、この両派の持っている人たちの意識の違いからくるもので、肯定的な意見の人よりも否定的意見の人は写真とかカメラに対するプロ意識的な気持ちの持ち方がより強いと言うことです。
 またコストについても否定的な意見の人たちは非常に意識が高く、基本的に必要なものはにはきちんとカネはかけるが、なくても良い、というか、ないほうが良いというものにはカネをかけるなということです。
 否定派の人たちは自分は写真やカメラの撮影に関しては、それぞれの本格的な撮影機能がある使い方があるのであって、本道を歩いている、われわれの邪魔はしないでほしいという気持ちだと思われます。
 言葉をかえていえば、職人気質的なものの考えがこの否定的な意見の人に多分にあると思われます。中途半端なことは性に合わない性格の持ち主たちであるわけです。
 

フランク・ブラレイ ピアノ・リサイタル

2009-01-06 06:12:13 | Weblog
ハイビジョン クラシック倶楽部 2009年1月5日 Bモード・ステレオ
  フランク・ブラレイ ピアノ・リサイタル
 1. 即興曲変ト長調D.899第3       (シューベルト作曲)
 2. 即興曲へ短調D.935第4        (シューベルト作曲)
 3. 前奏曲集第1巻から          (ドビュッシー作曲)
      「沈める寺」
      「とだえたセレバード」
      「亜麻色の髪のおとめ」
   前奏曲集第2巻から
      「ピーノの門」
      「交代する三度」
      「枯葉」
      「変わり者のラヴィーヌ将軍」
 4. ラプソディ・イン・ブルー      (ガーシュウィン作曲)
          ピアノ: フランク・ブラレイ
     [収録: 2008年11月20日, 東京文化会館小ホール]

 1968年生まれ。フランスのピアニスト。4歳でピアノを始める。10歳でフランス放送フィルとのコンサートデビュー。その後、パリ国立音楽院で、パスカル・ドゥヴォワイヨン、クリスティアン・イヴァルディ、ジャック・ルヴィエらに師事。ピアノと室内楽でプルミエ・プリを獲得。1991年、ベルギーのエリーザベルト王妃国際音楽コンクール優勝。さらにインターナショナル・ミュージック・アワードを審査員全員一致で受賞。1991年パリでデビュー・リサイタルを最初にヨーロッパ各地で演奏活動を始める。
 初来日は1991年。その後数多く来日。2003年の第6回アルゲリッチ音楽祭にはアルゲリッチの代役として急遽登場し、喝采を浴びる。2008年5月にはN響とベートーベンの第4番ピアノ協奏曲を共演。2005年からは毎年東京で開催される『ラ・フォルジュルネ・・ジャポン』に参加している。
 演奏はさすがフランスを代表する実力派といわれる明晰な演奏振りで、形にとらわれない自由な弾き方は何時もと変わりはない。
 3番目のドビュッシーなども演奏の順番を自分流に変えているところも、いかにも彼らしい構成でした。なんとなく、一瞬違う曲かと思わせるところが新鮮みがあり、面白い。
 最後のガーシュウィンなどクラシックとジャズの融合したラプソディ・イン・ブルーなどは彼の好みのレパートリーと思えます。さらりと弾いてすっと立ち去るところがとてもなんともいえない。


N響アワー 年の始めの第1番

2009-01-05 07:21:27 | Weblog
 2009年、年の始まりの新年企画として、歴史に名を刻む作曲家の、さまざまな「第1番」にスポットをあてます。
 歴史に名を残した作曲家は、ほぼ人生の後半に書かれた円熟の作品群であるということができるでしょう。しかし「作曲家」としての礎となった「第1番」に注目すると、後年の萌芽ともいえるユニークな個性、その後の歩みを予言するようなエピソードなどが見えてきます。
 「はじめの第一歩」ならではの「第1番」の魅力を紹介します。・・・でスタートを切った今年のN響アワーの始まりです。

   交響曲第1番変ロ長調作品38「春」 第1楽章   (シューマン作曲)
               指揮: 阪 哲郎
           [収録: 2003年9月4日, NHKホール]

   ピアノ協奏曲第1番嬰へ短調作品1 第1楽章   (ラフマニノフ作曲)
              ピアノ: 中村紘子
               指揮: 佐渡 裕
           [収録: 1995年1月28日, NHKホール]

   交響曲第1番ハ短調 第3楽章          (ブルックナー作曲)
         指揮: ヴォルフガング・サバリッシュ
           [収録:1985年5月8日, NHKホール]


   パッサカリア作品1              (ウェーベルン作曲)
            指揮: ハインツ・ワルベルク
           [収録: 1994年3月16日, NHKホール]

            管弦楽: NHK交響楽団

               ー司会ー
            池辺晋一郎   (作曲家)
            岩槻里子 (アナウンサー)

 最初はシューマンであるが、すでに作品番号は38になっている。交響曲第1番にはなっているが、そんなに若い頃とは言えない作品である。名前のごとく、溌剌としたうきうきした感じのする曲でまさしく「春」そのものを表現した作品である。
 2曲目のラフマニノフは驚きますが、作品番号は1なのです。彼は素晴らしいピアノの名手であるだけに、自分のピアノに対する、人並みはずれた思い入れがこの曲からは、感じ取れる名曲である。第1楽章の最初の出だしにしても随分力強いタッチで始まりました。ほぼ14年前の収録でピアノの中村紘子の演奏も当時の油の乗り切った頃のもので、このラフマニノフのピアノ協奏曲の第1番にふさわしい演奏で、懐かしさを込めて昔の演奏を思い浮べながら聴きました。指揮の佐渡裕の棒振りもすでに、今と変わらぬ熱演でした。
 3曲目のブルックナーの交響曲第1番は実に面白い話があり、自分ではこの交響曲第1番が本当の第1番と思いつつ考えていたというのですが、どうもその前にももう一つ曲を作ったような気がしていて、時折家捜しをしていたというのも、ほんとにおかしな話があったものですね。以前にもこのブルックナーの話をしたことがありますが、結局その作品は見つかり、今更「第1番」も後から変更することも出来ずに、その曲は「第0番」としたというのも、またまた面白い話です。
 最後のウェーベルンはやはり作品番号が1の作品ですが、これも決して若い頃のものとは言えず、人生後半のものですが、曲想はなかなか素晴らしものでした。人生いろいろで何でも早いばかりがいいのではない、例と言えるかもしれません。


第52回 NHKニューイヤー・オペラコンサート

2009-01-04 06:27:20 | Weblog
第52回 NHKニューイヤー・オペラコンサート 教育テレビ ライブ放送
  
  第52回 NHKニューイヤー・オペラコンサート
 
 新春恒例の 「NHKニューイヤー・オペラコンサート」52回目となる今回は、「幻想と熱情の名場面、名アリア」をテーマに、国内外で活躍するソリストを招き、名作オペラからファンタジックなシーン、ドラマチックな旋律を選りすぐり、新年を飾る絢爛豪華な舞台を繰り広げます。
  日時    2009年1月3日 開演: 19:00 終焉予定:21:00
  会場    NHKホール   渋谷区神南2-2-1

  出 演
  
  ソプラノ
 臼 杵 あ い   大 村 博 美   幸 田 浩 子   佐々木 典 子
 高 橋 薫 子   安 井 陽 子   横 山 恵 子
  
  メゾ・ソプラノ
 小 山 由 美   林   美智子 

  テノール
 佐 野 成 宏   高 野 二 郎   成 田 勝 美   樋 口 達哉
 福 井  敬
  
  バリトン
 小 森 輝 彦   直 野  資    堀 内 康 雄

  バス
 佐 藤 泰 弘

  指揮
 飯 森 範 親

  管弦楽  フィルハーモニー交響楽団

  合唱   二期会合唱団  藤原歌劇団合唱部  親国立劇場合唱団

  バレエ  スターダンサーズ・バレエ団

  ゲスト  ディナ・ハンチャード(ジャズ・ボーカリスト)
       山 中 千 尋(ジャズ・ピアニスト)

  司会   中條誠子アナウンサー

  予定曲目
  
  プッチーニ/歌劇「蝶々夫人」から 蝶々夫人のアリア「ある晴れた日に」
  プッチーニ/歌劇「トスカ」から カヴァラドッシのアリア「星はきらめき」
  レオンカヴァルロ/歌劇「道化師」から カニオのアリア「衣装をつけろ」
  ビゼー/歌劇「カルメン」から 前奏曲~ハバネラ「恋は野の鳥」
  ワーグナー/楽劇「ワルキューレ」から 二重唱「冬のあらしは過ぎ去り」
  モーツアルト/歌劇「魔笛」から タミーノのアリア「美しい絵姿」
         夜の女王のアリア「復讐の心は地獄のように胸に燃え」
  ほか

 今回のオペラの舞台作りはNHKプロモーションが担当したのであるが、相当大規模なものでオペラの中でも幻想的なシーンをファンタスティックな雰囲気で作り上げていました。
 総じて力の入った演奏ばかりでしたが、ワーグナーの通常四夜にわたって上演されるオペラ「ニーベルングの指輪」が演奏されましたが、長い歴史を持ったこのオペラコンサートでも同オペラが上演されたことは、記憶にない。今回はその中から「ワルキューレ」の二重唱「冬の嵐は過ぎ去りて」なども印象的でした。 


バレンボイムとパレスチナ問題について

2009-01-03 06:59:13 | Weblog
 2009年1月1日のニューイヤー・コンサートでウィーン・フィルを指揮したバレンボイムについて少し触れてみようと思います。
 彼の親しい友人であるパレスチナ系アメリカ人学者のエドワード・サイードに共鳴し、1999年にウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団の創設に加わったことがありました。このことは以前、NHKの特集番組でテレビで放映されたことを思い出しましたが、これは毎年、イスラエルとアラブ諸国の才能あるクラシック音楽の演奏家を集めて結成されるオーケストラである。
 同管弦楽団が結成された際、指揮者選びをめぐって楽団員が糾合した時、アラブ側を納得させるために担ぎ出されたのが、他ならぬバレンボイムであったわけである。
 これはバレンボイムが、たびたびイギリスやアメリカにおいてパレスチナ寄りの発言をしてきた過去や、歯に衣着せないイスラエル政治批判、エドワード・サイードとの交友関係、イスラエル本土での演奏よりもイスラエル占領地区での積極的な慰問演奏がアラブ側に評価されてのことであった。バレンボイムとサイードの2人は、この活動に対して、「諸国民の相互理解の向上」に寄与したとして、2002年にスペイン王室より「アストォリアス公褒賞」を授与されたのである。
 2004年5月、バレンボイムは、イスラエル国会であるクネセトのセレモニーみおいて、ヴォルフ賞を授与された。その時、バレンボイムは政治状況について、次のような持論を唱えているのでそれを記しておきます。

  心に痛みを感じながら、私は今日お訪ねしたいのです。征服と支配の立場が、はたして  イスラエルの独立宣言にかなっているでしょうか、 と。他民族の原則的な権利を打ちの  めすことが代償なら、一つの民族の独立に理屈というものがあるでしょうか。イスラエ  ル国家は、社会正義に基づいて実践的・人道主義的な解決法を得ようとするのではなし  に、揉め事にイデオロギー的な解決を図ろうとたくらむがごときの、非現実的なうつつ  にふけっていてもよいものでしょうか。

 以上の発言に対して、イスラエルの元首と数名の国会議員から、バレンボイムは名指しで非難されている。
 現実の世界情勢においても、このイスラエルとパレスチナ問題は以前として好転の兆しなどは見えないようである。とても考えさせられる問題で新年早々の楽しい音楽会の裏に潜む苦しい悩みを抱えたままのバレンボイムの心境を慮るところである。 


ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート 2009

2009-01-02 08:17:42 | Weblog
教育/デジタル教育2009年1月1日 19:00~22:00 生放送
  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ニューイヤー・コンサート 2009
               -第1部ー
 1. 喜歌劇「ベネチアの一夜」序曲[ベルリン版](ヨハン・シュトラウス作曲)
 2. ワルツ「東洋のおとぎ話」作品444     (ヨハン・シュトラウス作曲)
 3. アンネン・ポルカ作品117         (ヨハン・シュトラウス作曲)
 4. 速達ポルカ作品159            (ヨハン・シュトラウス作曲)
 5. ワルツ「南国のばら」作品388       (ヨハン・シュトラウス作曲)
 6. ポルカ「百発百中」作品326        (ヨハン・シュトラウス作曲)
 
               ー第2部ー
 1. 喜歌劇「ジプシー男爵」序曲        (ヨハン・シュトラウス作曲)
 2. 喜歌劇「ジプシー男爵」入場行進曲     (ヨハン・シュトラウス作曲)
 3. 宝のワルツ作品418            (ヨハン・シュトラウス作曲)
 4. スペイン風ワルツ          (ヨーゼフ・ヘルメスベルガー作曲)
 5. ザンパのギャロップ作品62a       (ヨハン・シュトラウス父作曲)
 6. アレクサンドリーネ・ポルカ作品198    (ヨハン・シュトラウス作曲)
 7. ポルカ「雷鳴と電光」作品324       (ヨハン・シュトラウス作曲) 
 8. ワルツ「天体の音楽」作品235      (ヨーゼフ・シュトラウス作曲)
 9. ポルカ「ハンガリー万歳」作品332     (ヨハン・シュトラウス作曲)
 10. 交響曲第45番「告別」から第4楽章      (ヨーゼフ・ハイドン作曲)

          管弦楽: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
          指 揮:       ダニエル・バレンボイム

                  スタジオ出演
              中島誠之助(古美術鑑定家)
              甲斐栄次郎(バリトン歌手)
              森田美由紀 アナウンサー
           [2009年1月1日, ウィーン樂友協会]
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、長年にわたり新年に、シュトラウス一家やその同時代の作曲家の数々のレパートリーより、明るく楽しい、そして内容豊かなプログラムでニューイヤー・コンサートを行っています。このコンサートは、ウィーンのムジークフェラインの観客に大変人気があるだけでなく、世界中へのテレビ中継もすでに46ヵ国で行われており、オーストリア国内のみならず海外でも大変によく知られ親しまれている。
 かってのオーストリアの歴史の暗い一幕においては、これらのコンサートはオーストリア国民に自国の回帰の念を呼び起こし、同時により良い時代への希望をもたらした。今日では、世界中の何百万という人びとにとっては、ニューイヤーコンサートの軽やかで、また内容の深い音楽に感動し、新しい年を喜びと期待につつまれた贈りものになっています。 
 またウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、ニューイヤーコンサートを通じて、この名作の貴重な音楽の演奏のみならず、オーストリアの音楽大使として、世界中の人々に希望と友情そして平和の挨拶を届けたいという願いでもあるわけです。
  ダニエル・バレンボイム
 1942年、アルゼンチンのブエノスアイレス出身のユダヤ人ピアニスト・指揮者。現在の国籍はイスラエル。ロシア出身のユダヤ系移民を両親として生まれる。5歳のとき母親にピアノの手ほどきを受け、その後は父エンリケに師事。少年時代から音楽の才能を表し、1950年まだ7歳のうちにブエノスアイレスで最初の公開演奏会を開いてピアニストとしてデビュー。
 1952年にイスラエルに移住。1952年夏、両親に連れられ、ザルツブルクでイーゴリ・マルケヴィチの指揮法のマスタークラスに出席。同年夏、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーを訪ねて、演奏を聴いてもらう。1955年にパリで和声と作曲をナディア・ブーランジェに師事。
 ピアニストとしてのヨーロッパ・デビューは、1952年にウィーンとローマにおいてである。1955年にはパリ、1956年にはロンドンにデビューしており、1957年にはレオポルド・ストコフスキーの指揮で、ニューヨークにおいてオーケストラ・デビューを果たす。
 ピアニストとしての名声を確固たるものとした後、1967年にロンドン・フィルハーモニー管弦楽団と共演して指揮者デビューを果たす。
 なを2005年~2006年のシーズン修了後のシカゴ交響楽団音楽監督を退任。その後、今回のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートを指揮することになったわけである。

 新年の初めであり会場の観客は正装をしているが、新年を祝う気軽で陽気なコンサートである。会場で飾られる美しい花々は1960年以来、イタリアのサンレーモ市から贈られることが伝統になっていうそうです。
 このコンサートであるがその切符を入手するのは極めて困難で、数ある音楽会の中でも最もプレミアが付く演奏会の一つである。日本人が会場に多いのは非常に有名であるが、この高額なプレミアを支払う財力は日本企業がウィーン・フィルやオーストリアとの密接なビジネスパートナーである証明といわれています。