帰り道。ぎりぎり明るさが残っていた時間に、青色の光に照らされて白冷たく浮かび上がった雲を見つけました。実際には青色の光に照らされていた訳ではないのだろうけれど、そうとしか見えない光の返し方でした。いよいよ夏ですね。
さて、「かばん6月号」が出ましたので、出詠した歌をこちらに掲載します。少し季節は逆戻りです。
桜橋 あまねそう
一呼吸おいて鳴り出すオルガンのように歩めり京島の春
新東京タワーが此処に建つという遠近法でも君より高く
天水尊タンクに耳をあててみれば水のひいやり震えいる音
業平の名の残る町ラーメンののびることなきサンプル多し
震災も空襲も経た業平の地図に四角い区画が並ぶ
業平橋駅はとうきょうスカイツリー駅に 居酒屋うさぎはうさぎ
橋多き町を行き交う人の目の皆上を向く空ひらければ
橋のない理由は昔、橋のある理由も昔、ただ桜橋
ここしばらく(これからもしばらく)、かばん関西歌会のブログの更新を担当しています。歌会記を中心に、かばん関西有志で発行している歌集等の紹介もしていますので、ぜひご覧ください。今月はかばん関西歌会の進行役にもなっています。西へ西へと行きたい気分。
→かばん関西のブログ
夏を引き寄せたい生き物たちの総意が少しずつまとまりつつある時節となりました。
さて、EテレのNHK短歌のテキストである「NHK短歌6月号」のジセダイタンカ(天野慶さん編集のページ)に、連作「野営火」7首を掲載していただきました。
「歌集後」を意識しつつ、キャンプファイヤーをテーマに詠んだ連作です。お読みいただき、一足早く夏を引き寄せていただければ幸いです。
かばん関西の県別合同歌集第2弾「奈良でよわさを」に参加しています。
PDFでもご覧いただけますので、ぜひご覧ください。
カナディアンロックのように突き抜けた薬師寺の空「So far so good」 あまねそう
「奈良でよわさを」PDF版
もうすぐ2月31日。
そこで、AmazonのKindleストアより販売中の歌集『2月31日の空』の無料キャンペーンを開始しました。
期間は本日2月27日より2月31日の日没頃までの5日間です。
前回の発売直後のキャンペーンは謹呈の意味合いが強かったのですが、今回はここ1年間のスマホやタブレットの普及に伴う短歌読者の拡大のための企画です。Kindleの電子書籍は、Kindle端末だけでなく、スマホやタブレットのKindleアプリ(無料)でも読むことができます。
電子書籍でしかできない試み。この機会にぜひお読みいただければと思います。また、お近くの方にもお伝えください。よろしくお願いいたします。
▼Kindleストア 『歌集 2月31日の空』はこちら
ロングボード(2月31日の空より抜粋) あまねそう
傷つきしロングボードは墓碑のようガレージ裏に野菊が咲けば
白色に濃さのあること思いつつ牛乳を飲む 雨の降る朝
開通を待つ海道の信号機目の黒きまま並んでおりぬ
人ひとり死んでくような風が吹く16号の地下くぐるたび
傷跡をさらして海に真向かえば友の腋の毛みな生えており
呼吸器をはずしたような静けさにときはなたれて海は金色
先週の大雪から一週間、また東京に大雪予報が出ています。ちょうど雪についての連作を、かばん2014年2月号に出詠しています。連作8首。【 】内はルビになります。
静寂の単位 あまねそう
新鮮な寒気にのった雪の香に鼻腔をひらき我白くなる
氷点下とは静寂の単位なり雪を踏む音だけが聞こえて
エンジンを止めて峠に息つけば「凍結注意」ただ光りおり
独りなら君を温める心配もせずに寒さはただ自分事
渓谷の夜に降り出した雪はまだiPhoneのほか光を知らぬ
ぬばたまの夜の液晶【Retina】に雪は落ち三原色で縁取られてく
ステレオは低音のみを車外へと伝えどどんど雪を降らせる
「電脳」が死語になりゆく 朝なのか夜かは問わず降るだけの雪
かばん関西有志による歌集「おおさか逃走」 が、セブンイレブンのネットプリント版として出ました。セブンイレブンのコピー機で「ネットプリント」を選択し、下のプリント番号を入力すると入手できます。期間限定ですので、この機会にぜひご覧ください。あまねも一首出詠しています。
プリント番号(2枚あります。1枚20円)
58682815
40195064
(2014年)1月14日まで出力ができます。
そのままでも読めますが、切って貼って赤い糸で結ぶと、製本できます(^^) 「赤い糸」というお茶目な指示があったので、とりあえずその通りに製本してみました。
とみいえひろこさんの企画制作で、「おおさかの歌ください」という呼びかけに対し、かばん関西有志が歌を寄せ合った形です。随所にとみいえさんらしい発想やお茶目さが活きています。「逃走」っていうタイトルも含め。まさか逃げるとは……。
(かばん2014年1月号より2首) あまねそう
冬木立雪にたじろぐこともなく春を含みてまっすぐに立つ
日本史のノートに記す名はどれも覚えなければならぬ死人
※ルビ 死人=しにびと
かばん1月号は名刺交換号といわれ、会員作品は全員2首(タイトルなし)となります。また、新春題詠の詠草が発表され、1月の東京歌会にて選歌結果が発表されます。
明けましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願いいたします
心理の仕事で何人もの方の相談を受けていると、多くの方の(おそらくは一生に数回であろう)一大事を聞くことが、自分にとっての日常であり普通のことになっていきます。聞くことしかできない時、でも祈ることくらいはできるかな。
さて、写真は2013年7月に撮影した荒川河川敷から見た夕焼けです。夏の花火大会直前、冷たい風が吹いていた足立の夕方でした。半年後、すばらしい夏が来ていることを願って。
心より、みなさまにとりまして今年一年がよい年でありますように
■歌集 2月31日の空 「夏のひかり」より
[1.5頭上注意]の線路下くぐればチャリは堀切あたり
菓子を売る商店の灯がアスファルトを鈍く照らして夜がはじまる
たいていは忘れてしまう ビルの間に割れた水そうあったことなど
川べりの工場を染める夕まぐれ どうして誰もいないのだろう
紫波橋 あまねそう
心より憎むものなど無き頃に戻らんとして紫波橋渡る
鼻濁音なめらかなれば盛岡のこれも心地のよき訛りかな
佐藤亀商店の戸は開かぬまま日に褪せてゆくビスコの包み
かつてかく遊んだだろう刈田にて父も祖父母とイナゴを追って
墓所の位置確かめながら「農協」の名のなくなりしバス停降りる
元治なる元号もあり名も知らぬ我の先祖の墓碑をたどれば
真夜中の4号線のトラックの音に心音重ねて眠る
初雪は根雪になれず我もまた父の故郷の冬知らぬまま
※1首目 紫波橋=しわばし というルビが付きます。
こんばんは。いよいよ本格的に冬が近づいてきましたね。先日、インフルエンザの予防接種を受けてきました。痛みどころか何かが触れている感触もないまま接種が終わり、注射のあとを確認したり腕の重さをたしかめたりしながらようやく自分なりに納得しました。痛みが無いとそれはそれでなんか違和感があるものですね。
さて、タイトルの通り、「かばん2013年12月号」にて、
特集 あまねそう第一歌集『2月31日の空』
を、組んでいただきました。
かばんの外部、内部より、8名の方から評を寄せていただいています。ありがとうございました。
なお本号では、新鋭短歌シリーズとして注目されている鯨井可菜子さんの第一歌集『タンジブル』の特集と、本年3月に急逝された溝井亜希子さんの追悼特集も組まれています。
【 『2月31日の空』 特集内容 】
●あまねそう 自選20首
・・・自選はきつい。解剖実験のような心地でした。
●歌集評 : 小島ゆかりさん(外部評)、光森裕樹さん(外部評)、東直子さん(内部評)、法橋ひらくさん(内部評)
●一首評 : 俵万智さん(外部評)、江戸雪さん(外部評)、伊波真人さん(内部評)、ながや宏高さん(内部評)
・・・特集チーフ、サブチーフのご提案もいただきつつ相談しつつ、8名の方にお引き受けいただきました。恐縮です。
●歌集の電子書籍出版についての考察 あまねそう
・・・気になった点を記録として。
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歌誌「かばん」をご購入いただくには、下記のかばん公式サイトをご参照ください。
▼かばんWEBの「取り扱い書店」へ
追って特集について紹介してみたいと思います。
特集チーフの伴さんが評の依頼等、交渉をしてくださったことに加え、サブチーフの古田さんと編集部のみなさんの土壇場のお力添えをいただき、今回の特集を形にすることができました。本当にうれしく思います。ありがとうございます。