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食道がん手術(2008/10/31)、“食・免疫・がん”についての情報収集

2351 がんになった看護師

2015-01-07 11:16:00 | 食・がん・免疫・漢方
自分の病院に入院なんて

 東京都江東区のがん研有明病院。泌尿器科病棟に勤務する看護師の佐藤友貴絵(さとうゆきえ)さん(27)は、車いすを右足でこぎ、電子カルテの入ったパソコンや薬剤を載せたカートを両手で押しながら、病棟を自在に行き来していた。

 病室では立ち上がり、患者に尋ねながら寝具の位置をなおす。検温、血圧測定、点滴の準備。てきぱきと仕事を進める。ベッドの柵や壁を伝い、右足を軸に動く。

 看護師だった母が肺がんの祖父を自宅で看護し、みとったのが高校生の時。技術や専門性にあこがれ、自分もそんな存在になりたい、と思った。

 看護大学に進み、2人に1人ががんになる時代だと知る。「がん患者さんの看護をしたい。将来は緩和ケアの現場で働きたい」。夢を抱いて、2009年4月、新卒で同病院に就職した。

 泌尿器科病棟に配属された。機器をうまく使えなかったり、術後の患者の氷枕を替えなかったり。先輩にたびたび注意された。症状の重い患者を担当し、つらい気持ちになった。

 経験を重ね、病棟で戦力になりつつあった10月下旬。未明に自宅で、胃の辺りがねじれるような激痛に見舞われた

 近くの大学病院に駆け込み、検査入院した。エックス線撮影の結果、骨盤の左前部に腫瘍(しゅよう)が見つかった。整形外科の医師から、骨のがんである「骨肉腫」と告げられた。頭が真っ白になった。

 がん研有明病院に勤めていると伝えると、医師は「そちらで治療した方がいいのでは」と勧めた。骨肉腫治療の実績が多く、国内外から患者が集まることで知られていたからだ。

 「自分の病院に入院するなんて」。気乗りがしなかったが、周囲の強い勧めに従った。

 がん研有明病院の整形外科は、勤務する泌尿器科病棟と同じ階にあった。

 見慣れた景色の中で、医療を受ける違和感。患者を支える側の看護師なのに、自分が患者になってしまった。ベッド横の名札、患者用のリストバンド、点滴ラベル……。自分の名前を見るたびに、現実を認めざるを得なかった。看護師であることを奪われたようで、悲しかった。(2014/12/15 朝日新聞))

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