House of velocity／後編

初日は打ち上げの後、ホテルに帰ってから早朝五時半くらいまでHさんと語っていた。約四時間ぶっ通し。
それが原因で二日目は寝坊してしまい、朝食を逃し、温泉にも入れなかった。残念。

昼前にkさんにホテルまで迎えに来てもらい、kさんのファンの聖地ともいうべきファミレスのJへ。
そこでも飛行機の時間ギリギリの午後六時半までぶっ通しで語らった。
ジョイフルロボや夜叉猿、ちゃんばぁやドイヒーなど、とにかくグイグイ語りまくった。

空港でkさんと別れ、H空港に戻ったのは午後九時頃だったと思う。
心地好い疲労の中、K県の地元に帰還したのは日付が変わる頃だった。
その最寄り駅で僕はとある女の子と偶然にも再会して何とも言えない気持ちになるのだけれど、それはまた別の物語。


Kさんは今でもY県でイラストレーターを続けている。時々、こっちまで遠征して個展を開いたりしている。ここ一、二年はなかなか会う機会を作れないでいるけれど、僕が結婚した時は僕と妻のイラストを、こどもが産まれた時はオリジナルデザインの子供服を贈ってくれた。本当に嬉しいし、ありがたい限り。
Hさんは二年前から新たなバンドを結成し、ライブ活動を精力的に行っている。今年も開催される件のフェスにも参戦する予定。観に行けないのが残念でならない。
「また三人で何かやりたいね」と話した三年前は最早、遥か遠い過去だけれど、美化され尽くした思い出にだけは成り下がっていないと信じたい。例え、三人の出会いがそれぞれの長い人生の通過点に過ぎなかったとしても。


…なんて言ってね。




…おわり