はじめての 伊勢郷土史

伊勢地方の自然・歴史・文化などを紹介・考察します。

はじめての 伊勢郷土史   資料室と、映写・談話・休憩室

2023-12-04 22:22:46 | 郷土史
 
 私達が生まれ、育った伊勢市。
 
 しかし、伊勢市およびその周辺に関しては、歴史的にわからないこと多く、あたかも謎のようになっていることたくさんあります。
 
 また、わかっていても、市民がほとんど知らないこともたくさんあります。
 
 例えば、全国にある神宮は「伊勢神宮」「熱田神宮」「樫原神宮」「明治神宮」などのように、一般的にはどこの神宮も「○○神宮」と表現されていますまた、実際にそれがほとんど正式名称です。
(○○はその神宮がある地名とか由来などです。)
 
 しかし、正式名称には○○が付かず、「神宮」という正式名称の神宮が、日本で一カ所だけあります。
 
 それが伊勢にある「神宮」です。
(一般的には「伊勢神宮」と呼ばれていますね。)
 
 
 「神宮」は、内宮と外宮だけではなく、伊勢市およびその周辺の125の別宮・神社を合わせたグループで「神宮」を形成しています。
 
 しかし、伊勢市民の中にも、伊勢神宮の正式名称が「神宮」であることを知らない人も多くいます。
 ま、正式名称なんて、伊勢市民にとってはどうでも良いのでしょうね。神宮がいつも通りに存在して下さっていれば。
 
 日常生活では「ないくさん」「げくさん」「やまとひめ」「さるたひこ」などと、内宮と外宮のみ「さん」をつけ、後は呼びつけのようにすら呼んでいます。
 それだけ伊勢市民にとって、普段、神宮は肩のこらない親しい存在であり、また、水や空気のように(無いと大変困る存在でありながら)、日常生活ではあまり意識しない存在です。神宮があることが当たり前だからです。お隣さんや、町内会のメンバーの一人のように。
 
 しかし、無意識には、とても大切な存在であることを知っており、絶対的に共存していくべき存在であることも感じています。
 
 ちなみに、歴代の御所・皇居には、伊勢の方角に向かった礼拝所があって、天皇・皇后両陛下が毎朝、伊勢の神宮に遙拝してきたそうです。現在の天皇・皇后両陛下も、同様に伊勢の神宮に遙拝して下さっているのでしょうか。
 秋の京都御所の一般公開の際に見学すると、その礼拝所も見ることが出来ます。
 
 伊勢の神宮が、単に神宮と呼ばれる由来を述べます。
 
 まず、昔から日本の国民・庶民は、伊勢に祀られている天照大神(あまてらすおおみかみ)を「天皇の祖先」と教えられ、天皇も「人間の形をした神(あらひとがみ)」であると教育されてきました。
 
 大日本帝国憲法でも「天皇は神聖で侵すべからず」と記載されており、明治政府が国家神道を形成(統合)し、神である天皇が日本を統治する事という話になっていました。
 
 しかし、1945年に憲法が改正され、日本国憲法ができたあとは、国家神道も神社神道にまとめられ、仏教やキリスト教などと同等の、普通の宗教になりました。
 戦前にあった全国神職会・皇典講究所・神宮奉斎会の3団体が中心となり、神社本庁という宗教団体が設立されました。
 
 神社本庁は伊勢の神宮を本宗と仰ぎ、伊勢神宮を「神宮」との正式名称に定めました。
 
 
 神宮・神社の格は、あまり差が無いようです。
 
 元々日本人は、八百万の神(やおよろずのかみ)として、土にも、水にも、風にも、その他すべてのものに神が宿ると考えてきたため、どの神も平等に祀る傾向にあります。格付けはしたくないのですが、強いて言えば、
 1.伊勢の神宮が別格の「神宮」。
 2.神社ではなく、神宮(皇室にゆかりの深いものを○○神宮と呼びます)。また出雲大社・春日大社・諏訪大社などの大社も、全国にある同名の社の頂点に位置する重要な大社。
 4.太宰府天満宮・日光東照宮のように、偉人を祀った宮。
 3.上記以外の神社。
 
 しかし、上で述べたように、「神宮のみが別格。その他の格は同等」と、私は考えたいです。